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中国初の無印良品“スーパー併設店”【現地レポ】

11月12日、上海で無印良品(以下MUJI)と中国EC大手「京東(JD)」傘下のスーパーマーケット「7fresh(七鮮)」の協業による“スーパー併設店”がオープンした。

MUJIは2018年に大阪で売り場の約半分を食品売り場とした店舗をオープンしており、その後も“スーパー併設店”を展開し続け、中国では今回が初めてとなる。

そして今回、店舗の生鮮食品売り場を運営する7freshにとっても上海で初の出店を果たしたことになる。

今回、チャイトピは現地に足を運び、実際にどのように運営しているのかをご紹介します。


現地から見た特徴は以下の三点となる:

・高級感あるデザイン
・日本商品多数
・エリアも運営も別々

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▲無印良品スーパーマーケット併設店(チャイトピ!より撮影)

同店舗は上海虹口区のショッピングモール「瑞虹天地太陽宮」の地下一階にある。ショッピングモールにはレストランや映画館、ペットショップ、アミューズメント施設などが数多く並び、ハリーポッターイベントを催していることもあって、お子さん連れやカップルの方など多くの人々で賑わっていた。

瑞虹天地太陽宮は地下鉄駅から歩いて5分ほどの場所に位置しており、交通アクセスが便利である。周辺には住宅地が立ち並び、すぐそばには高層マンションも建っているため、ショッピングモール内でもそういった客層向けの高級店が見える。

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▲店内見取り図(チャイトピ!より撮影)

店舗は右側がMUJIエリア、左側が7freshエリアとはっきり分かれていた。

MUJIエリアは雑貨、衣料品、本などに加えて食品やキッチン用品のスペースを大きく取り、他のMUJI店舗と比べて家具などのスペースがなくなっていた。

7freshエリアでは中国国内の食料品や製品以外に、日本の商品も随所で見られ、期間限定の北海道食品コーナーも設けられていた。

7freshエリアのデザインはMUJIが手がけており、中国国内では高級ブランド路線に走るMUJIはフロア全体がシンプルかつ高級な雰囲気を醸し出すように注意を払っている。商品棚はナチュラル感のあるウッド調にデザイン、天井近くの金属棚には鍋やお椀などの食品関連の用具が置かれており、“食生活”というテーマをアピールしているようにも感じる。

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▲セルフレジに並ぶ買い物客たち(チャイトピ!より撮影)

7freshエリアの入り口に近づくと両側にあるレジが視界に入り、そこに並ぶ人々が作る長蛇の列が見えてくる。左側にはセルフレジが多く設置されており、自分で商品のバーコードをスキャンし会計を済ます人たちの様子が見て取れる。中国ではセルフレジの普及が進んでおり、ファミリーマートなどのコンビニでもよく見かける。

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▲商品棚に並ぶ日本ブランドの化粧品(チャイトピ!より撮影)

MUJIエリアと7freshエリアはどちらも新規開店セールを実施しており、会員限定価格商品の札に目が引かれる。しかし、店員に聞くところによると、7freshエリアでは7freshの会員にだけ対応しており、MUJIエリアも同様であると。
レジの部分を除き、両方のエリアは別々に運営している状態にある。

日本店舗との違い

上海のMUJI“スーパー併設店”はどこか中途半端な印象を受ける。

生鮮食品売り場が直営である大阪・堺北花田店と比べると、上海店舗の生鮮食品売り場はMUJI“色”が薄い。堺北花田店ではバナナやりんごなどの値札というような細かい部分のデザインもMUJIのスタイルで統一されていたが、上海店の生鮮食品売り場の値札はごく普通のものだった。イートインコーナーもテーブルが2、3つ置かれているだけ。

生鮮食品売り場の運営部分を他社に任せるという点で同じの横浜・港南台店と比べると、今度は特色に欠ける。港南台店では調理風景を紹介する大きめなキッチンカウンターが設置されていたが、上海の店舗ではそういった特色のあるコーナーは少なく、他の輸入品スーパーマーケットとあまり差が感じられなかった。

まとめ

MUJIは中国でホテル、コンビニ、本屋、レストラン事業にも携わっており、事業の多様化を進めている。中国では高級ブランド路線で展開しており、品質と材質に定評があることとシンプルなデザイン、ナチュラルな雰囲気が人気を博している。

中国のスーパーマーケット市場には国内企業だけでなくカルフールやウォルマートなどの海外企業も事業を展開しており激戦区と化している。

MUJIにとって京東の7freshとの協業は運営コストを抑えることができるでしょう。そして、京東にとってもMUJIとの協業を通して高級感のあるデザインで競合と差別化を図ることができる。

しかし、初めての協業ということもあり店舗全体の一体感が乏しい

デザインに高級感はありながら、MUJIのブランドイメージをうまく7freshエリアに溶け込ませていない。大阪・堺北花田店をイメージして訪れた人たちからすれば、二つの店舗が並んでいるだけに見え、がっかりすることになるでしょう。エリア別で会員に対応していることがその感覚をさらに深める。

今回の“スーパー併設店”は中国の生鮮食品市場に参入するためのテストかもしれないが、MUJIが今後も協業スタイルでスーパーマーケット事業を続けていくのであれば、店舗全体のブランドイメージを一致させることは重要な課題になってくるでしょう。

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