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子どもたちから教えてもらう

チェアラボのこだわり

こんにちは、チェアラボのマツダです。今日は、私たちが椅子や姿勢について考える上でのこだわりについてお伝えします。座位保持装置を制作するために「採型」を行いますが、これは私一人で行うのではなく、医療職の方や利用する方の親御さんたちと一緒に行うものです。私たちが作る装置や車椅子の利用者さんにはお子さんたちも多く、子供たち自身から教えてもらうものでもあります。ですので、「こうしたほうが良い」ということを安易に提案することはありません。
いくつかの選択肢を分かりやすく提示し、利用者さんに選んでもらうことを心がけています。

それでも椅子や姿勢について考える上で「ここは外せない」というこだわりがあるとすれば以下のようなものになります。
・痛みや嫌なことは解消させる
・頭から胸郭が左右や前後へ倒れず軸ができている状態にする
・座ることが変形の原因にならないようにする
・過度の力を使わず、安楽な姿勢でいられる
・何かに固執したり、こだわらないようにする

こだわらないことにこだわる、と言うと禅問答のようになりますね。
採型の際には採型器を使います。いろんな姿勢を試してもらい、その場にいる方々と姿勢についての認識を合わせ、ゴールのイメージを共有していきます。

「声にならない声」に耳を傾けられるように

採型をする際には多くの場合、利用者であるお子さんの親御さんや医療職の方が代弁者として要望を伝えてくれます。しかし「本当にこうして欲しい」というメッセージはお子さん達自身が教えてくださるように思います。
声にならない声に耳を傾けられるようになりたいです。

以前、このようなことがありました。
その子は緊張が強くて、姿勢が崩れて落ち着かないので椅子を作ってほしい、といった要望でした。しかし、採型をしてみると緊張も抜け、落ち着いて座ってくれました。うまくいきそうだ、とそこにいる皆が感じていました。
しかし、仮合わせをしても吐いてしまうためにその椅子を使い続けることができず、それから何回も修正を続けるようになりました。
なぜ吐くのかが分からずにいろんな姿勢を試していきました。緊張や姿勢の崩れを解決するための椅子を作っていたわけですが、そうした当初の目的は一旦わきにおいて、とにかく「吐かないための姿勢がないか」を探し始めました。その結果、吐いてしまう理由が分かり、吐かない姿勢を見出すことができました。完成した椅子をやっとお届けできたときの皆の達成感は大きなものでした。
その後は同じように吐いてしまう方が来たときに、これまでよりも早く姿勢を検討することができるようになりました。

採型のイメージ

そのお子さんは私の先生として、これからもいろんなことを教えてくださると思っております。40歳を超えて、なかなか恩師と呼べる大人を探すのは難しいものですが、恩師と呼べるお子さん達はたくさんいます。嬉しいことです。






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