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さよなら、東京生活:引越しへのリアクションで大事な価値観を知る

関西方面に引越して4ヶ月たちましたが、まだ東京生活を振り返る記事。

2019年10月に引越し先が決まり、12月に引越しした。

引っ越しを伝えた際の友人たちの最初の反応は「驚く」、「寂しがる」、「前々からいつか引っ越すって知ってたから、淡々と受け止める」の3つに分かれた。

そのあとに、「なぜ?」「仕事は?」と聞いてくる人が大半。

仕事はリモートワークで、そのまま東京の仕事を続けると伝えると、「それはよかったね」と受け止める、「いい会社ですね」と会社の柔軟さに感心する人、「今時の働き方だね」と納得するなど。

色んな反応を見ているうちに、これは面白いぞ、と思ってきた。

たとえば驚くの人の中には、「ずいぶん思い切りましたね!」という方もいた。夫と結婚する前から、2020年までには東京以外に住んでみたいという希望は聞いていたから、いつかは引っ越すと思っていた。自分の中では予定されていたことなので、実は何も思い切ってないのである。

我々は、子どもがいないので、環境の変化や教育の質の変化などに対し、心配などがなく身軽である。それぞれの置かれている条件が違うと反応が異なるのだと気がついた。

相手の価値観が垣間見れて面白い。

思うに、思い切りましたねというかたにとって、仕事や環境や生活を変えるということは清水の舞台から飛び降りるみたいな、大きなインパクトなのだと思う。それだけ今ある環境に根を下ろして、大切にしているということが感じ取れる。

住んでいる町での本屋活動や地図活動で、私の発信は「平井推し」していたので、「あんなに平井ブランディングしてるのに!」と笑って面白がった人もいる。それは、ブランディングの専門家。さすが、人が何を切り取ってどう伝えるか、意図していることに敏感だなあ。

「なぜ?」という問いに関しては、人によって回答をランダムに変えてみることにした。

とくに、この人にはふざけたことを言っても通じそうだなという人には、「ノリで!」と答えた。

ふざけたことを言っても通じそうだなという人とは、普段から多様な人に触れて、自身の価値観を揺さぶられることに慣れている人。そこに価値を置いている人。

案の定、「ノリで!」という回答で大爆笑してもらえた。他に理由はいらない。それでもう、通じる。

といっても2年かけてコツコツ下見しているので、この引っ越しはノリで、かつ計画通りなのだ。

そして反応の「驚く」、「寂しい」、「淡々」と、は私自身の感じ方の反映だとも気がつく。

こんなにひょいと、知らない場所へ引っ越してしまうと思わず自分でもびっくりしているし、5年で愛着たっぷりになった町や友人と離れるのは寂しさもあったし、とはいえ、もともと考えていたことを実行しただけなので、世界は淡々と過ぎていったのだった。

こういう感情の移ろいの経験は初めてではない。

そしてそれを私は嫌いではない。

あれ、なんでこの家にいるんだろう? なんでここを歩いてるんだろう? と時々思いながら、新しい生活にも慣れてきた。

ところで一番反応で驚いたのは「家買ったんですか?」という人。その発想はなかった。人生に家を買うという選択肢が今のところないので、思い切って引っ越す=家を手に入れたと思う人がいるということに思い至らなかった。そうか、そういう考え方もあるんだな。

誰かの大事な価値観は、自分の価値観の揺さぶりになって戻ってくる。行動することに意味があるとしたら、お互いの、思いがけない価値観の揺さぶりで自分を作り直すチャンス、自分が物事をどう考えているかを知るチャンスが、たくさんできるということかもしれない。