見出し画像

今が思い出になるまで

ここに彼との思い出を仕舞おうと思う。

”好きかどうかわからなくなった”

久しぶりの電話で、大好きだった彼とお別れした。
わたしからお仕舞いにしようと伝えた。
今まで出会ってきた人のなかで、いちばん優しくて素敵な人だった。

カナダと日本の遠距離だった。ずるいわたしは彼に好かれたくて、留学することを彼から告白されるまで秘密にしていた。一緒に過ごせた2か月はわたしの人生の中でいちばん充実していたと思う。だけど、遠距離になって時間がたつにつれてわたしはどんどん不安になって、辛くなった。彼の気持ちが離れていくことが伝わってきて、別れたくないってことばかり考えて、いつの間にか前向きに考えられなくなった。彼はわたしと離れて気持ちがどんどんわからなくなって、他のことを優先するようになったと言っていた。

そこですがれるほどわたしのプライドは低くなかった。そっか、じゃあ終わりにしようと伝えた。うん、ごめんね自分勝手でと言われた。ほんとだよ、待ってるって言ったじゃん 日本に帰ったらいろんなところに行こうねって言ったじゃん だけど、そんなの口約束で叶うはずがないということもわたしは知ってしまっていた。強がって、別れることわかってたから大丈夫って言ったら いつからそう思ってた?って聞かれて、もうずっと、付き合ったときから思ってたよって言った。半分本当で半分嘘。彼とだったら大丈夫だと信じていたかった。彼は傷ついたようにそっか、とだけ言った。

失恋なんてさせないって言ってくれてたけど失ってしまった 最後に泣き顔を見せたくなかったけど号泣してしまった。最後まで泣かせてごめんって謝ってくれた。この人といたら私は幸せで仕方なかった でも同時に悲しくて泣いてばっかりだった。

留学しなきゃよかった、と口から漏れた。彼はすぐさまそれは違う、おれのことを選んで留学しなかったら絶対に後悔したよと否定してくれた。わかってる、わたしは留学を選んだ。コロナで帰国のチャンスがあっても、わたしはこっちで頑張ることを選んだ。巻き込んでごめんね、普通の恋愛ができなくてごめんね。今でも思ってる。

ずっとわがまま言ってごめんねって泣きながら言ったら、わがままなのがわたしだったから わがまますぎることもあったけどって こんなにわがまま言える相手は他にいなかったよ。

もう電話も連絡もしない?って言われていや無理でしょって強がった。彼もずるいなと思った。付き合っているときに、別れたら友達には戻れないよねって話していたのに。彼の気持ちが少しだけ残っている気がして、辛かった。最後にもう会わないね、元気でね 留学頑張ってねって他人行儀に言われた。悔しくて、絶対英語話せるようになって、希望先でインターンするからって言ったけど今思えば虚しい抵抗だったと思う。

本当に好きだったし、今も好き。彼の中でわたしはいろんな意味で忘れられない女の子でありますように。離れることが愛でありますように。彼が幸せでありますように。本当は隣にいるのは私でありたかったけど、愛しているから離れる。またいつかこんな風に誰かを好きになれますように。

だけどわたしはなれることを知っているから彼ともお別れした。また素敵な誰かと出会えることを知ってしまっているほど、わたしは大人になってしまった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?