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シグマDP2Xというカメラ

 前回、記事の最後で触れたとんでもないコンパクトデジタルカメラはなにがとんでもないのか? 語るより写真を見るほうが早いだろう。

確実にしめよう


テルマエ・ロマエ・火の始末

  片方はフィルムカメラのオリンパスペンS、もう片方が例のコンデジであるシグマDP2Xによるものだ。なんとも雰囲気が似通っている。おそろしいことにこのコンデジ、出てくる画があまりにもフィルムカメラっぽい。

見上げる
春に寄る
げっきょく(なぜか変換できない)

 こんな写真がデジタルで撮れるとは思ってもみなかった。しかもこのコンデジ、十年落ちである。どうもこの世に存在するデジタルカメラというのはほとんどが一層構造のセンサーを積んでいるのに対して、このコンデジは三層構造の特殊なセンサーを積んでいるところに由来するらしい。面倒な話になるので詳しくは省くけれど、とにかくすごいのだ。

なんだろう
道に沿って花を育ててくれるのはうれしい
楽しいけどすっ飛ぶやつ

 ただこのカメラ、恐ろしく時代遅れだ。フィルムカメラを主に触っていて何を言うかというところではあるけれど、何世代も前のデジタルカメラというか、わたしの父が、わたしが子供のころに使っていたコンデジほど不便に感じるほど、道具としての出来が悪い。なんといっても背面のモニターが明らかにしょぼく、画面の大きいガラケーって感じがする。この画面で怪盗ロワイヤルが始まっても違和感がない。ボタンのガコガコとした心地がよりそれらしいのがまた。

こういうの好き
鉄!鉄は良いものだ
イタズラかと思うくらいの殴り書き
うちの茶トラより可愛い野良の茶トラ

 ただ出てくる画は抜群で、画素数などでは語れないすごさがある。色の乗り方がものすごく好みで、デジタル機で初めて、本当に楽しいと思ったかもしれない。信じられないほど遅い画像の書き込み速度や、件のガラケーモニター、暴れん坊ホワイトバランスに迷子オートフォーカス、体感初代ゲームボーイよりももたないバッテリー等々、カメラとして総合的に見た時の不便さというか、完成度の低さたるや、枚挙に暇がないのだけれど、そもそもわたしはフィルムカメラ、もっと不便なものと付き合ってきたのだ。現像するまで写真は見れないし、巻き上げないと次の撮影もできないし、露出は自分で決めるし、目測でピント合わせをする人間なので、この程度の不便などなんにも問題なかったりする。なんなら自動露出やたまに外すとはいえオートフォーカスなどもあるぶんには便利になったくらいのもので、この小ささ軽さでフィルムライクな絵が出てくるのだから、すっかり気に入ってしまった。

こういうの撮ってしまう
猫よけの花壇
たぶん1番人が多い
なんとなく光と布の質感が素晴らしい

 なんといってもこのカメラの良さというのは、わたしにしてみれば気楽さなのだろう。あてもなく歩くわたしの、きれいなどんぐりを拾うような撮影にぴったりだ。さてあんまり楽しかったので、ただのカメラ紹介になってしまったけれども。


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