チャコ

なんか好きにするやつ

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最近の記事

引越し

 初夏、梅雨入り、明かりのついていない部屋の外はスタッカートのきいた雨音が近く遠く聞こえていて、曇天の弱い光がカーテンの隙間から入り込んでくる。部屋には、なにも照らされるべきものがない。ただセミダブルのベッドが壁際に沿って置かれていて、ほかにはなにもないアパートの一室。生活感のまるでない部屋は空気が澄んで、しんとしている。ベッドとは反対側の壁にもたれ座り込んで、煙草を吸っている。清潔にととのえられたベッドを眺めながら、ときおり前髪を触っている。  一昨日のうちに荷物はすべて

    • 目で触る

       気に入ったものを拾い集めるように写真を撮る。散歩中の、いわゆるスナップ写真のようなものたちはたいていそういうもので、作品を作ろうと思って写真を撮ることはほとんどない。そもそもカメラ趣味の浅いわたしが作品などというのもどうなのだろうというところではあるが、なんにせよ明確に作品作りをしてみようと意気込んだ時のそれとは明らかに異なる。その最たるところが、モノクロ撮影だろうか  例に挙げた写真は、わたしが山の中で気に入ったものたちの写真を、なんとなく気にいるようにレタッチしたもの

      • シグマDP2Xというカメラ

         前回、記事の最後で触れたとんでもないコンパクトデジタルカメラはなにがとんでもないのか? 語るより写真を見るほうが早いだろう。 片方はフィルムカメラのオリンパスペンS、もう片方が例のコンデジであるシグマDP2Xによるものだ。なんとも雰囲気が似通っている。おそろしいことにこのコンデジ、出てくる画があまりにもフィルムカメラっぽい。  こんな写真がデジタルで撮れるとは思ってもみなかった。しかもこのコンデジ、十年落ちである。どうもこの世に存在するデジタルカメラというのはほと

        • 昨今の撮影など

           先の記事において、カメラ趣味は気を遣う、面倒だけど小さなフィルムカメラならば持ち歩くようになった、と書いた、気がする。しかし実をいうと、デジタル一眼レフも持っていたりする。元来、車を持っていなかったわたしはそんなかさばるものを持ち歩くことができなかったのであるが、車を持つようになってからはしばしばそれを助手席に、撮影に出かけていたりする。それはどうにも大仰で、散策という主題がカメラに奪われるような気がしてやはり、いささか苦手ではあるのだけれど。  大したカメラでもない。十

          趣味と作品と生活とカメラ

           最近のわたしときたら古いフィルムカメラを買い集めては分解し、ピカピカの実用品に仕上げたり、はたまた修理するつもりで壊してしまったり、そんなことばかりやっている。実際のところ、フィルムカメラで撮影するというのは自分が手入れをした結果を見る、という意味合いが強く、写真を撮ることに主眼を置いていることは少ないように思われる。  ただもちろん、修理が完了した、としたうえで気に入ったカメラは普段からポケットに忍ばせておいて、ときおりシャッターを切っている。休みの日には普段、車で通りす

          趣味と作品と生活とカメラ

          小難しいタイプの自分語り

           先日の散文の中でわたしの共感性の低さについて少し触れたと思うので、これをいくらか掘り下げたいと思う。たとえふざけ散らかした文章と言えど、数年ぶりのアウトプットがわたしの脳に与えた影響は、どういうわけか美意識や創作観に繋がってしまい、かつ、なんか元気になったのである。今日わたしめちゃくちゃ喋るやん? って思いました。 ――まず、わたしの共感性の低さがどこに由来するのかということから始めるのだが、恐らく、美意識だと思う。というのも、わたしは素人ながら、かねてより創作に携わり、

          小難しいタイプの自分語り