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いま注目すべきは山崎八段、だ?

山崎八段が調子いい

79期順位戦、山崎八段がやっとやっとA級に昇格しそうな勢いです。

出典:日本将棋連盟HP

残り2戦を残した今現在(2021年1月19日)でマジック1。でも、ぜんぜん安心できないのは山崎八段がこういう大事な場面で負けちゃう棋士だという印象(実績?)があるからです。そして、そういう所が妙にファンの心をくすぐります。

山崎八段は、将棋連盟の関西本部に所属する人気棋士です。将棋好きの人たちに限れば、同じく関西所属の藤井聡太二冠にも負けないくらいファンが多いんじゃないかと思います。ぼくも山崎八段の魅力に惹きつけられている一人ですので、どういう所が魅力なのかを書き殴ります。※基礎的な情報は、連盟のページWikipedia(真偽は不明)にいろいろ書いてあります。

①戦法が独特

山崎八段は、定跡系の将棋をあんまり指しません。本人は「定跡を勉強してないだけ」とか言いそうですが、他人が踏み固めた轍を歩くのが性に合わない人なんだと思います。定跡から外れた将棋のことを『力戦』と表現しますが、どんな相手に対しても、力と力の戦いを挑むのが山崎八段の特徴です。力戦・乱戦で一見グチャグチャな盤上でも、なぜかバランスが取れている、それが山崎八段の将棋のように思います。

余談ですが、山崎八段と同様に独特な棋風で有名なのが佐藤康光九段や糸谷九段。糸谷八段は山崎八段の弟弟子です。逆に格調高い棋風の棋士で有名なのが谷川九段、森内九段、郷田九段、斎藤慎太郎八段あたりでしょうか。

②単純に強い

そんな、独特な戦いを続けている山崎八段ですが、とても強いです。現在のカテゴリーは順位戦がB級1組(上から二番目のクラス)、竜王戦は1組(一番上のクラス)なので、紛れもなくトップクラスの棋士だと言えると思います。順位戦と竜王戦については長くなるので別の機会に。

③人柄が独特

山崎八段は戦法さながら人柄も独特です。ファンが見ている山崎八段はいつも笑顔で、朗らかで、トークも抜群に面白いし、ファンサービスもサボらない棋士です。解説の最中に女流棋士に告白したり、渡辺さんとの解説で頓死筋を見逃していて「われわれは頓死しました」と笑い合ったシーンはとても有名です。また、若手棋士の面倒見がよいという話しもよく聞きます。いまの関西本部のいいムードをつくったのは山崎八段の貢献が大きかったのではないかと想像しています。でもしかし、勝負師・山崎は、とんでもなく「怖い、辛い」という文章も読んだりもしたので、おそらくは表の顔と裏の顔を使い分けてるんだろうと思います。山崎八段と師匠とのやり取りが書かれている『一門』、めっちゃマニアックですが面白かったです。

④自虐的な語り口

前述したように、山崎八段はトークも面白い棋士です。いつも自虐的に自らのダメさ加減を語ります。でも実際は強い。だからかっこいいです。しかも、その自虐が嫌味じゃないのがいいところです。ネット中継で山崎八段が解説の時には是非とも観てみてください。きっと楽しいです。

西の自虐王が山崎八段だとしたら、東の自虐王は藤井猛九段です。藤井聡太さんの出現で藤井と言えば「聡太!」という人が増えましたが、将棋界を永らく背負ってきたイノベーターは藤井猛九段です。そんな藤井九段を尊敬の念を込めて「元祖藤井」と称したりもします。藤井九段の解説もオススメです。これも余談でした。

だから楽しい山崎将棋

以上、山崎八段の魅力の一部をお伝えしました。
最近の将棋界はAIの活用が盛んです。以前お伝えしたトップ棋士たちもAIを活用した研究をしています。渡辺三冠は「ただ暗記してるだけ」とインタビューに答えたりしていましたが、半分冗談で半分本当なんだと思います。特に序盤研究に関しては試験勉強のような暗記が求められているように見受けられます。

でも山崎八段の将棋は早々に研究から外れます(当然、定跡系を研究をしてないわけではないでしょうけども)。暗中模索の中で正解を探し合う、ある意味古風な将棋です。ある棋士は「棋士の能力はピークを越えた」という話しをどこかでしていました。ちょっと昔の棋士の方が地力がある、ということです。AIを活用することと、自分の頭で考えることはトレードオフの関係にあると考えている人もいると思います。

ここでまた余談。羽生世代の郷田九段はまさに自分の頭で考える棋士の代表です。「こんな序盤で長考してもキリがない」という棋士もいる中、郷田さんは「キリがある」と思って考えているという逸話を聞いたことがあります。今日も一手に180分!考えていました。自分の頭で考え続けた蓄積が血肉になって棋士としての衰えを防いでいる気がします。郷田九段は50歳目前ですが、B級1組所属で昇級争いをしています。これはこれで、すごいことだと思います。なので、郷田九段も大好きです。

そう、話は逸れましたが、そんな山崎八段の腕力ムキムキの棋風は、数ある棋士の中でも特にキラッと輝いている部分だなと思います。

山崎八段は初のA級までマジック1。残り2戦で1勝するか、ライバル(永瀬王座・郷田九段)が1敗すれば昇級です。めっちゃ有利です。だからこそヒヤヒヤします。調子がいい理由は「危機感」と語っていたのが数年前。いまも、最大級の危機感を持ちながら目の前のチャンスを取りこぼさないように真っ赤な顔をして集中していることだと思います。藤井聡太二冠に注目が集まっていますが、山崎八段のことも注目してみると、いまの将棋界がもっと楽しめるんじゃないかと思います。

フラフラとした文章で読みにくかったとは思いますが、また、テーマが見つかったら書きます!前回の記事がちょっとだけ話題になって、怖くなって、完全に手が止まってしまいました。でも、実際はイヤな思いはほとんどしなくて、たくさんの応援をいただきました。将棋界隈めっちゃ優しいなと思います。※ごめんんさい、勢いで書いたので公開後に推敲します。

タイトルや段位は2021年1月19日現在のものです。

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