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『自分とかないから』を書いた人の話

しんめいくんの本がやっと完成しました。
3年半待ちました。ちょっとだけ話題になってます。重版しました。
すごく楽しい本です。


しんめいくん(左)黄色い服がしんめいくんのトレードマーク

しんめいくんとの出合いは2019年あたりでしょうか。彼らが台湾に拠点を持っていたことが縁となって、いろいろとお仕事をご一緒しました。

ただ、なかなかうまくいかないことが多く、なんとか契約関係を維持しようとお互いにもがいてみましたが、どうにもうまくいきませんでした。新型コロナの影響も大きかった。

決して彼らに能力がないということではなく、彼らの能力・魅力が委託契約に落とし込みづらかった、というのが正確な表現でしょうか。彼らからは「宝くじみたいな気持ちで契約ってできませんかね(笑)?」とバカみたいなことを提案されたこともあるし、その案を真面目に検討した記憶もあります。とにかく、なんとかしてあげたかった。でも、ほどなく契約は打ち切られます。

しんめいくんたちは、台湾の拠点をなくなく閉鎖し、少し疎遠になってしまいましたが、SNSでの交流は維持していました。そんな中で、しんめいくんのとあるnoteの記事が話題になります。

この記事が編集者さんの目にとまって、出版の話がはじまったようです。SNSでも「本書くよ!」と発信していたので、楽しみに待つことにしました。ニヒルなキャラを演じたいぼくがSNSで発信した虚無投稿にしんめいくんから連絡があって、「シロクマさんを救える本を書いてるのであとちょっと耐えてください!」と言ってくれたので、ますます待ちました(この本に関するやり取りを遡ってみると2020年の年末からスタートしています)。しかしですね、

2021年、発売されず。
無観客の中で東京オリンピックが開催されましたね。


2022年、発売されず。
ワールドカップが開催されました。三苫の1mm。ありましたね。


2023年、発売されず。
WBCで日本が優勝。大谷くん、憧れるのをやめてました。


2024年、ぜんぜん救ってくれないし、ちゃんと書いてるのかどうかも分からないし、すっかりふてくされかけていたときに「本が完成ました!」したと連絡がはいりました。2024年3月。長かった。あぶなかった。なみの人間なら虚無に押しつぶされて木っ端みじんになってます。2024年4月23日、無事にしんめいくんの最初の本は発売されました。ぼくは本屋さんで買いたかったので、5月3日に、京都の大垣書店で買いました。あっという間に読みました。ずっとしんめいくんが漫談してるような本でした。

今回、書評を書くつもりはないので、あくまでしんめいくんにフォーカスしてもう少しだけ書くと、2024年5月7日、大阪のオサレレストランでぼくとしんめいくんは再開しました。人見知り×2の絶妙な空気感だったけども、いろいろと話をすることができました。

ぼくは、広告制作を生業としているので、アウトプットすることが日常ではあるものの、多くの仕事にはクライアントがいて、そのクライアントの考えや思いをくみ取って、表現に落とし込むのが仕事なので、自分の思っていることを表現する機会がありません。だからこそ、自分でテーマを決めて、自分で内容を決め、自分の責任で文章を書ききったしんめいくんを尊敬します。たとえ時間がかかったとはいえ、完成したんだから偉いのです。

ぼくは、文章を書くことも好きだし、イラストも描くし、写真も撮るし、デザインもできるし、印刷会社に入稿もできるし、進行管理も予算管理もできるけども、一冊の本もつくれていない。ちゃんと仕上げたしんめいくんはやっぱり偉いです。

全体を通じて軽い文体だけど、内容は軽くないです。読みやすく書いてくれているけれども、理解しやすいわけでもないです。しっかり深いです。東洋哲学の全体像を掴むことができて有意義な読書体験です。アウトプットのためのインプットをさぼってなくて偉いです。

そんな東洋哲学の本を書ききったしんめいくんはさぞ達観してるかと思いきや、まったくそんなことはなく、いまだ暗中模索中。思いっきり悩んでました。相変わらず『やりたいこと×経済』の答えを見つけきれていない。意地悪なぼくはその姿を見て「よしよし」と安心しました。気持ちひとつで楽になれるほど現代社会はカンタンではない。

おびえるような表情ではにかむしんめいくん2024

でもですよ、この一冊を書き上げた事実はやっぱり尊くて、この本はしんめいくんの幹になります。幹があれば枝も生えるし、葉も生えるし、そして希望の実りもます。逃げずに頑張った人にはご褒美があるのがこの世の常です。だからぼくは書き上げたしんめいくんをみてうれしくなりました。これは本当。

大阪の田舎で生まれ育った神童しんめいくんは、オサレカフェのバイキングで、親の敵でも取るかのようにサラダとピザを食べ、がに股で帰っていきました。そういうところいいです。また、大阪で会いましょう。

みんなも、この本を読んでみてください。救われるかどうかはその人次第ですが、とりあえずとっても楽しい一冊です!

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