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風が吹いて、腹が立って、

今日はものすごく風が強かった。ものすごくだ。

夕方、私は自転車に乗ってアルバイト先へと向かう。
ワンピースの裾が捲れ上がらないよう抑えながら、必死に漕いだ。
抑えても抑えても裾はひらひらと捲れつづけるし、髪は顔にくっつくし、息を切らして全身を使って漕いでいるのに全然進まないし、
腹が立った。苛々した。なぜこんなに風が強い??

今日は(今日も)天気用法を見る暇もなく家を出たのだった。

しかしふと思った。
私は風に苛立っているというより、こんなにも強い風がなぜ吹いているのかが分からないことに苛立っていた。もし例えば「台風だから風が強い」と分かっていれば、いくらスカートが捲れてきても、いくら髪がくっついても、いくら進まなくても、きっとこんな苛立ちはない。台風だもんな、仕方ないと思っただろう。まあそもそも台風の時に自転車は乗らないだろうという屁理屈はなしで。

人は、分からないときに苛立つのだなあと思った。
この数日、人間同士の大なり小なりの争いについて考えていたのもあってか。相手の行為が理解できない、なぜそのような思考回路になるのかが納得をもって理解できないから苛立つ。

反対に言えば、自分が苛立ちを感じたとき、自分は今何かが「分からない」のだと自覚し、調べたり対話したりすることで「分からない」を解消すれば、苛々から発生する現象は、少しは減っていくのかもしれない。

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