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tomekantyou1
蛍の詩
飛びなれて
忘れたくないものも
なくなってしまってる
草で切れた中指に
露を垂らそうとしても
風に拭われて
オオカミの遠吠えだけが
この谷に響いて
青く光るこの花の名前も
忘れてしまったみたい
覚えていても
心地良さなんてなくて
あれば狂ってしまうのに
今の今まで
そうしてまで
見たかったもの
この谷の守り人も
絶えてしまったというのに
美しく残ったまま
変わらずにいる
泉のほとりから
溢れ出る
光っては消える淡いひかりが
この谷を埋めつくして
静かに黄泉へ
繋げてゆく
あのころの光を
蛍は知らず
導くままに
ほほえんで
茶埜子尋子
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