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光へ



誰にも知られないまま沈んでいた
うまく生きているように沈んでいた
のに
友が言うんだ
君の友達であることが誇らしいんだ
言葉ではうまく伝えられないけれど、と
うまく生きている自信はあったのに
わたしは生きている心地がしなかった
その言葉でわたしが一人死んだ
亡霊が死んだんだ
息苦しくなった
溺れている死んでしまう
必死にもがいて無我夢中で
光の射す方へもがいた
わたしの痺れた腕を引っぱりあげて
友は笑った
昔と変わらない顔で笑った
何も知らないまま笑った
わたしは生きている
もう一度、生きるよ


茶埜子尋子

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