見出し画像

16.勝手に予定決めんなよ!

ねぇ、陽介との約束、6時半なんだけど。
起きがけに、私に向かって旦那が言った。
時計を見ると、もう6時。
え〜!あと30分しかないんだけど!
焦りとイラつきで、私は一気に目が覚めた。
てかさぁ、その話、とっくに昨日片がついたよね?
まさか、今日も陽介と会うなんて。

時を戻そう。
昨日、旦那は朝帰りをした。
朝帰りの相手こそ、既に3回も登場の陽介なのだ。
朝帰りした事ははいい、そこに文句を言いたい訳ではない。
問題は、旦那の《言わなくてもちゃんとわかってるよね》精神なのだ。


陽介が香川からやってくる事は2週間前から聞いていた。
仕事で、5日くらい滞在しているらしいから、日曜日飲みたいってさ。
旦那が言った。
ああ、いいですよ。
私は心の中で返事する。
あなたの予定に付き合わされるのは、いつもの事ですからね。

陽介は、旦那の専門学校時代の友達で、
朝までパチンコしたり飲み明かしたりと散々遊び回った悪友だ。
でも、我が家に泊まりに来ると、
冷蔵庫開けていい?
ゴミって分別してる?
と、まるで主婦目線で気遣いの出来る、繊細で優しい男なのだ。
そう、だから、陽介に会うのは全くもって何の文句もない。

金曜日。
明日、もしかしたら仕事が早く終わるかもしれないらしいから、明日飲むかも。
でも、前日なのに、連絡取れないんだよな〜。
旦那が言った。

ハイハイ、好きにしてくださいよ。
どうせその時間は子供も寝てるし、何でもいいですよ。
心の中で私が呟く。

そう、子供が起きている時間に
長らく留守を頂きます。ってのは、ちょい待てよ!ってなるけども、
むしろ夜中の時間を活用して、昼に役に立ってくれれば、コチトラなんでも良いですよ。
ぶっちゃけ、そんな感じだ。
無事に帰ってくれさえすれば、なんでもいい。


そして、土曜日。
旦那が朝帰りをした。
別に、飲みに行きます。との連絡はないし、
授乳で夜中に起きたら居ないから、
あぁ、結局飲みに行ったんだ。
そう理解した。
同時に、日曜日の予定は実施済の横線を引いて、速攻で頭の中から消し去った。



今日何食べたい?あの中華は?
日曜日の昼食後、旦那が言った。
うーん、乳腺炎ぽいから、辛い中華はなぁ。。
別に無いけど。焼肉!?
私が言った。

ははーん。
昨日の朝帰りを外食でご機嫌取ろうって魂胆ね。
別に良いけど、今日は冷蔵庫整理したかったんだよな〜。
卵もいっぱいあるし、野菜も使いたいし。
明日生協が大量に届くから、冷蔵庫空けたいしな。

内心、ありがた迷惑な外食の行き先も決めずに、
とにかく優先順位は、子ども2人をお昼寝させる事。
寝かしつけをする事で頭が一杯な私。
1時間近く、寝ないみーちゃんと格闘し疲れ切ったのもあり、
起きたら、もう夕方の6時だった。

そして起きがけの旦那の第一声が、
陽介、6時半に来るってばよ。な訳なのさ。

ハァ?陽介と昨日飲んだんじゃないの?
もう終わった予定だと思うじゃん。
と、私が言うと、
え?だから、今日何食べ行きたい?ってきいてたじゃん!!
と怒り顔。


いやいやいやいや、待てよ!!!!
オメーよ、今日のいつ、陽介のよの字でも口に出したかよ!?
なに、共有してましたよね?ツラしてる訳!?
てか、約束してんなら言えよな!!!

こっちは髪も化粧もなーーんにもしてないし、
お風呂も入ってないし、
てか、6時半からって何時に家帰って来るつもりだよ?
1時間できっちり帰ります。とか、絶対ないだろ。
8時、9時に帰って、そっから子供達お風呂って、
寝るの何時だよ。
てか、てか、だったら、昼寝せず風呂入れたわ!
そういうの、少しは考えた事あんのかよ〜〜〜!!!!!

私の低めの沸点に、旦那は見事な着火剤を用意し、火をつけてくれた。


私は腹が立って、しばらく動けず、ふて寝をかました。
これがふて寝ってやつか。って思ったくらいだ。

6時半に間に合わせる気力もなく、困らせてやりたい気持ちもあり、
子供2人は旦那に任せて、ゆーーっくりゆーーーっくり準備をした。
何なら、このまま行くのやめようかな。
子供達にジュースこぼされたり、わがまま言われて、困り果てればいい!なんて思いながらも、
でも、陽介に悪いよね〜とか色んな気持ちを行き来しながら化粧をしていた。
久しぶりの化粧で外行きの顔になると、何だかテンションが上がり、
行っても良いか。という気になったので、急いでママチャリに乗り、
携帯に送られてきた店を目指す。

ひさしぶり〜。
相変わらずの、いかつい見た目の陽介がゆる〜く手を挙げて挨拶して来た。
良い子にしてたよ。2人とも。
旦那が言う。

チッ!!!
私は心の中で特大の舌打ちをする。
こういう時に限って、めちゃめちゃいい子にするんだよな〜。
なんて思いながら、ノンアルビールで乾杯をした。

しばらくたわいも無い話をし、
美味しい料理を堪能し、何だかまあ良いや。と言う気持ちになって来た。

料理美味しいし、この店いいよね!
機嫌は治りましたか?
と旦那が私の顔を見て言う。

今日機嫌悪いって聞いてたから、オレのせいかな〜とか思ったよ!
と陽介が言った。

だー、かー、らー嫌なんだよ!!
はしょらずにちゃんと説明しなさいよ!
めちゃくちゃ嫁、感じ悪いわ!

私は陽介に、今日一日の旦那の言動を
一から十まで説明した。

実はさぁ〜、俺も今日会うんだ⁈って正直おもったんだよね〜。
あっ、違うよ!全然会うのは嬉しいんだけどさぁ、
アレ?そんな話したっけと思ったんだよね。笑

と、洋介が思わぬことを口にした。

ほーらーみーろー!!!

えっ?子供に会いたいって言ってたじゃん!
だから日曜日は絶対なんだなぁって思って。
そう言う話じゃ無かったの!?

旦那はビックリして、それからも
あーでも無い、こうでも無いとぶつくさ何か言っていた。

ほ〜ら、見たことか!
ここに居る全員、同じ気持ちですよーだ。
だあれもあんたの思考についていけてないからな!ほんと気をつけなさいよ!

フゥッ
スッキリしたぁ♪
こんなモヤモヤした気持ちで数日間も耐えられないとこだったわ!

オイ旦那よ、
皆んなあなたの頭の中まで知らんがな。
ジャイアンじゃないんだからさぁ、
ちゃんと情報共有してくれよなぁ。

流石にこの件は、自分が悪いと思ったのか
急に静かになって、帰り道で柄にも無く
カバン持つよ。とか言ってみる旦那であった。

まあ、わかってくれたならいいけども!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?