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駅伝のルーツは中国にあり Part2

古代,巨大な情報伝達ネットワークの機能とは?

 前回は最も多い時代で1639カ所あったという,駅というシステムの概要についてご紹介しましたが,今回はその駅の具体的な機能などについてご紹介したいと思います。

1.   駅舎
 駅というのは,基本的には官員のために作られていましたので,唐代の駅館は,広々としていてとても快適だったようです。
 特に往来の激しい要衝の地にある駅館は豪華だったようで,中央ホール,広間,東棟,西棟,駅楼,別棟等があり,その他に酒庫,茶庫,漬物小屋等がありました。また庭園には,池があって舟が浮かべられ,草花が生い茂り,とても美しかったので,その景観を,劉禹錫元稹などの文人達が,詩に謳っています。

劉禹錫
劉禹錫



元稹
元稹


駅館は当初,城内にあることが多かったのですが,不便だったので,しだいに城外に移っていきました。

鶏鳴駅
鶏鳴駅


唐代の官駅
唐代の官駅

1.   駅丁駅馬
 駅には駅長(駅将)がいて,駅丁(駅夫)や駅馬の管理や,様々な仕事を担っていました。駅丁と駅馬には規定があり,馬3頭に対し駅丁が1人,水駅であれば,船1艘に対し駅丁が3人という具合です。

楊貴妃のために荔枝を運ぶ様子
楊貴妃のために荔枝を運ぶ様子

 そして駅には等級があり,それによって駅丁と駅馬の数が定められていました。
 駅の等級  駅馬の頭数  駅丁の人数
  都亭駅      75            25
  一等級    60      20
  二等級    45      15
  三等級    30      10
  四等級    18        6
  五等級    15        4
  六等級           8        2

駅丁(駅夫,駅卒,駅隷)は付近の住民から選ばれるのですが,5つのグループに分けられ,1年ごとに交替していました。
駅馬で朝廷から支給されたものは,右側の頸には「駅」の文字,左側の頸には「逓」の文字の烙印が押され,厳重に管理されていました。 その他に民間から徴用した馬もいたようです。
 また馬には「大馬」「蜀馬」の2種類があり,平地では「大馬」を使用し,山間部や江南の高温多湿の地域などでは「蜀馬」を使用しました。
 西域などでは駱駝を使うところもありました。
 しかし開元以降,戦乱が頻発し,馬が軍馬として重用され,駅馬が不足すると,ロバで代用することを余儀なくされました。そして急ぎの場合は馬を,比較的時間がある場合はロバを使ったそうです。

 馬の飼料を確保するため,1頭につき40畝(唐代の畝は約566㎡なので22.6k㎡)の土地が与えられ,ウマゴヤシが植えられていました。駅馬は消耗が激しいため,朝廷で使う他の馬よりも多くの土地が与えられたのです。

 では次回では,駅を利用する人々が,どのように利用していたか,そして駅伝の遅延に与えられた罰則などについてご紹介したいと思います。

                                                             出典:中国古代的郵駅
                 商務印書館国際有限公司(中国)

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