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中国古代のお葬式Part4

中国古代のお葬式では
1.   初喪礼儀
(1)   招魂
(2)   訃告
(3)   沐浴
(4)   飯含
2.   治喪礼儀
(1)   銘旌,魂帛
(2)   弔喪,賵賻
(3)   入殮
(4)   成服
(5)   朝夕哭奠
3.   出喪礼儀
4.   終喪礼儀

という段階を踏んで行われますが,前回は2.治喪礼儀の(2)弔喪,賵賻についてお届けしましたので,今回は2.の(3)入殮について少しご紹介してみたいと思います。

 入殮には大殮小殮があります。

小殮:死亡した翌日の朝に,柩に入れるための正式な衣服に着替えさせる儀式です。
 まず室内に茣蓙を敷き,その上に「(幅広の布)」を敷き,その上に「(布団)」を敷き,その上に遺体を置いて,殮衣(寿衣)を着せます。

 ※殮衣は身分によって変わり,19種類あったと言います。

蕭太后の寿衣


1000年頃遼の国の蕭太后の寿衣


 殮衣を着せるときには,執り行う主人と婦人は全ての髪飾りなどを外し髪を頭の上にらせん状に結い上げます。そして主人は左腕を肌脱ぎした上で,二人とも号泣しながら行わなければなりません。

 殮衣を着せた遺体は,「絞」「衾」で包み,更にその上から「冒」で包み,最後にまた布団で包みます。


 ※「冒」にも身分によって違いがあり,君主は上半身が錦織,下半身には斧が刺繍してあり,端には7つの結び目があります。大夫は上半身が黒い絹織物で,下半身にはやはり斧が刺繍してあり,端に5つの結び目があります。は上半身が紅い絹織物,下半身はベンガラ色の絹織物で,端には3つの結び目があります。

 小殮が終わると,小殮奠が行われ,庭では一晩中松明がたかれ,家族は号泣を続けます。

大殮:身なりを整えた遺体を柩に収める儀式を大殮といい,小殮の翌日行われます。

 大殮は死亡後3日目に当たる最後のお別れですが,この3日待つのには理由があります。
1つには,生き返るのを待つため。
2つ目には,葬儀のための準備を整えるため。
3つ目には,少し離れたところに住む親戚縁者の到着を待つためです。

 は大きければ大きい程よいとされ,その中にはいろいろなものが納められます。櫛やブレスレット,銅鏡,お椀や箸やスプーンなど
 納め終わったら,親戚縁者は再度泣いて死者とお別れをし,蓋が閉められます。

 柩の前にはお供え物が置かれ,大殮祭奠が行われます。もちろん皆号泣します。そして死者の子供に当たる人が手足をばたばたと動かして号泣する「踊」ということをするしきたりもありました。


                   出典:『喪葬史』など
                      上海文芸出版社
                      

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