「ユーザー体験価値をユーザー要求事項としてどのように設計要件につなぐか」に参加した(2020年5月29日)

https://www.hcdnet.org/hcd/event/entry-1443.html

資料はSNS等に展開NGということなので、感じたことのみを文章で書く。

要求周りの言葉を整えていく

このイベントの1日前に黒須さんが話していた内容 があったので、それに比べるとどうしてもボヤケている印象を受けた。必ずしも明確にすることがいいとは思えないが、内容として今までボヤケていたものを明確化していく内容だったので、少し残念だった。

例えば、これまで「ユーザ要件」といった曖昧な立ち位置にあったものを、「ユーザ体験価値」「ユーザ要求事項」「システム要求事項」あるいは「ユーザニーズ」と言葉を分けたことはとてもいいと感じた。
ただ、そのための軸として価値(UX)、品質(ユーザビリティ)、仕様(UI)としていたのは逆にわかりにくくしていると思ったし、どこからどこまでがシステムとしての設計対象で、どこまでがユーザーの心持ち(設計対象ではないもの)なのか、あるいはユーザーの心の動きも設計対象と捉えているのかがわからなかった。

アジャイルと親和性がある、と言い切ることの危険さ

あとは、質問したのだけど曲解され、「わかってない」立場にされたのは、とても不愉快だった。曲がりなりにもアジャイル開発を志向し、完全ではないが実行する立場にいる中で(それは質問内容ではわからないと思う)、アジャイルとの親和性が高いという説明をされたので、質問した。だが、「よくある勘違いをしている」とされ、「海外含めたISO検討メンバーでは、アジャイルと親和性が高い」と再説明されたのは、よくわからなかった。おそらく、SAFeなどの枠組みでは親和性が高いとされている、という説明だったと思う。

UXデザインとアジャイルの相性の良さ・悪さ、というのは時系列で整理すべきだと思っていて、初期開発の手前の段階か、初期開発の段階か、リリース後の改善開発か、リリース後の追加開発か、ぐらいにグラデーションがあると思っている。
そのグラデーションを無視するような形で、親和性が高い、と言ってしまうことは、とても危ないことだと感じている。その辺りは境界に立っている者として、これまであまり発信・問いかけできてなかった者として、残念だった。

アジャイルという枠組み

私はアジャイル開発することは、トライアスロンのようなものだと思っている。最初はUXリサーチが多く(マラソン)、途中は開発やUIデザインの比重が多く(スイム)、後半はユーザーからのフィードバックを受けてどうするかを考え実行していくことが多い(バイク)。その時々で求められるスキルもスピード感も評価方法も違う。
その中で、どのようにうまくやっていくかは、枠組みを整えていくことも必要だし、必要なサポートをうけることも重要だし、自分たちで見出していくことも必要だと思っている。そのような考えを持って聞いてしまったので、何か統一的な枠組みや、SAFeなどの標準を受けて取り組む、というという言い方に違和感を感じてしまったのかもしれない。

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