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海みたいな空みたいに大好き

「海みたいな空みたいに大好き」

娘が作って歌っていた歌詞である。

彼女に海はどんなふうに見えているのだろう。

彼女が初めて見た海は、家族旅行で行った千葉の勝浦の海。

なんかすごい怖かったらしい。

海水浴の時期ではなかったので、そもそも海に入ることはなかったのだが、
砂浜をよちよちと歩きながらも、海の方には絶対に近寄らなかった。
海を触ってみなよと言っても、頑なに嫌がっていた。

夜、花火をしようと砂浜に出たが、昼間以上に怖がり泣き叫ぶので、
僕と娘はホテルの窓から花火を見た。
僕の父と母と弟と妹と妻が、大量に買った花火をとにかく消費しようとしている光景はなんだか間抜けで、悲しくて、嬉しくて、寂しかった。

娘曰く

「広くて、暗くて、怖かった」

らしい。

そんな娘が今は海が素敵に見えているらしい。
そんな海みたいな空ってどんな空なんだろうって、ここまで書いたところで

あれ?娘、あれ以降海見てなくね?だって行ってないもの。

ってことは娘の海の印象って特に変わらない?

じゃあ広くて、暗くて、怖い海?

みたいな空?

曇り空?あの昼間なのに凄い暗いやつ?吸い込まれそうなあれ?

怖い怖い怖い!

だとするとなんか猟奇的な雰囲気漂う大好きだったのかい。

いやまぁきっとテレビとかで見た綺麗な海のイメージでしょう。
それでいいと思う。別に実際に見たものだけが全てじゃないし。

娘が歌っているのを聞いて、妙に感動して

そんな大好きな人に出会ってほしいなと軽く涙ぐんだ。
ちょっと自分でも意味がわからない。
何に泣いているんだ。
でもそうなんだよ、出会ってほしいんだよ。
ロマンチストでもいいじゃん。


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