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基礎栄養の王道中の王道 アサヒのサプリ ディアナチュラ♪

こんにちは、チャボです。
今回は温故知新シリーズ第二弾!
アサヒグループ食品のブランド「ディアナチュラ」を見ていきます。

このブランドですが、ちょうど機能性表示の2015年前後から徐々に拡大してきたブランドのため、かなり印象に残っているブランドです。特に現在では、基礎栄養系のカテゴリでは「DHC」か「アサヒ」かというブランドまで成長しています。
そんなディアナチュラですが、過去を見ていくとブランドの発端は2000年後半からになります。15年近くで拡大したサプリ市場。いったいどんな変遷を辿ったのでしょうか・・・?それでは見ていきましょう。


市場規模と直近のトレンド

ディアナチュラ単体での市場規模はオープンデータからは読み取れませんでした。ディアナチュラはアサヒグループ食品に含まれ、日本流通新聞によると「ディアナチュラ」の健康食品事業の売上は115億円ほどの規模と推察されます。

リリースなどからはブランドスタートの2007年から16年連続売上伸長と記載されており、継続的に売上伸長していることが見られます。
しかし、直近に関しては某製薬会社の影響があり、前年マイナスが続いてそうです。ここは他の企業とも同様の影響が出ているようで、いくら基礎栄養が中心の売上構成となっていても「サプリメント」というもの自体に逆風となっており、厳しい部分があるのだろうと感じました。

24年6月 アサヒグループ食品 ブランド別売上前年比

各時代の変遷

先ほど記載の通り、ディアナチュラの市場進出は2000年後半からになります。過去の広告から変遷を見ていきましょう。

2007年: ディアナチュラブランドでの広告展開

この時期からマス広告でディアナチュラブランドがお披露目されました。
広告内では「アサヒ」という名称は大きく出されず、「家族を守るサプリ ディアナチュラ」というメッセージだけが発信されます。

これは考察ですが、アサヒはこの時期スーパードライなどビール事業でサントリー・キリンとの戦いが激しく、あまり企業ブランドを強く押し出せなかったのかもしれません。(ビール会社が健康食品やるという部分が違和感あったのでしょうか。。)

また、サントリーが三浦さんを広告起用して情緒的な広告を中心に展開していたのでそれの対抗意識があったのかもしれません。(以前のサントリーセサミンの記事は以下参考)

しかしRTBの溜まっていない無名ブランドの展開が消費者へ受け入れられるはずもなく、結果、この広告は市場認知もとれたのかわからず、1年足らずで終了します。

2008年:アミノ酸市場の確立

ここから広告で巻き返しを図ります。
この頃、DHCが基礎栄養市場での中心で、ビタミンやミネラルサプリメントが市場に多く存在していました。そんな中、ディアナチュラは「アミノ酸」に注目し、それを含む栄養の重要性を訴求しました。これにより、ディアナチュラは他のサプリメントとの差別化を図り、市場でのポジションを確立していきます。

いわゆる「身体に必要なのはビタミン・ミネラルだけじゃない!」というパーセプションの作り出しですね。これを起点で基礎栄養市場でDHCから顧客を少しずつ奪い拡大を広げていきます。

2009年:転換期 アサヒブランドの導入とタレント起用

この時期から、一気にブランド拡大に向けます。おそらく市場の中で勝ち線が見つかったので広告投下で拡大に向けたのでしょう。大手のこういう部分は個人的に好きです。勝てる領域で勝ち切るっていうのは戦略の基本ですし。

この時期から「アサヒ」という企業名を出し始めます。さらに、真矢みきさんと井川遥さんをタレントに起用。ジングルは今のCMでもよく聞く

「アサヒのサプリ ディアナチュラ♪」

というあの音楽。消費者に対するアピールを強化しつつブランドイメージをより強固なものにしていきます。

2015年:自分メンテの強化

この頃は機能性表示の拡大始まりの時期です。アサヒはこの時期にDear Nature GOLDシリーズを新たに展開しつつ、母体のディアナチュラでは継続して「自分メンテナンス」のメッセージを発信し続けます。忙しい日々の中でも自分自身を元気に保つためのサポートとして、ディアナチュラはポジションを変えずに「Dear 自分」のメッセージを発信し続けます。
この頃からDHCとの戦いが激化しますが、「国内工場生産」「無添加」などの品質を訴求しながら、安かろう悪かろうのDHCと差を抑えつつ展開を進めます。(ただ国内工場生産ってほぼ当たり前なんですけどね苦笑)

2019年:女性向けイメージの強化

この時期からは、女優の榮倉奈々を起用し、特に若年女性をターゲットにした商品展開が強化されました。
はたらく人が増え、ちょうど若年層の健康意識も上がってきた中、鉄+マルチビタミンの販促に注力した広告を展開しドラッグストアを中心に展開が強化されました。
POS状況やこの当時の販促状況、かなりバイヤーや業界でも話題だったの覚えています。今、UHAが鉄グミの販促やってますがその1歩前の走りかもしれませんね。

またちょうどオリンピック景気に向けたスポーツ栄養カテゴリのプロテイン(ディアナチュラアクティブ)でも、滝沢カレンをプロテイン商品の広告に起用し、女性のセルフケアブランドとして展開を強めます。
プロテイン市場は、明治のザバスや、マイプロテイン・カーブスが市場の上位を占めており、市場で勝つための要素が少し特殊なため最終的にアサヒはほぼ撤退しましたが市場トレンドに合わせて一時的に市場拡大を見せました。

今では榮倉奈々さんに集約され、コピーも「飲むまでが、運動だ」に変わってますね。おそらくセルフケアと栄養補給という軸に戻ったのだと思います。

個人的には、こっちの方が好感持てます。井川遥・滝沢カレン・榮倉奈々。それぞれの「美」の感じが違うからでしょうか。なんとなく井川遥の影響もあって、榮倉奈々の方がアサヒらしいというか、ナチュラルな健康美って感じで好感持てます。

2024年:品質面での信頼強化

某製薬会社の品質問題があってから、広告を「品質面」に舵切りしました。
製品広告ではなく安全性中心にブランドメッセージの広告を展開しています。もともと「国内工場生産」「無添加」などメッセージを発信していたので安全性はイメージあったと思うのですが。念を期してですかね。

これを書きながらあらためて、某製薬メーカーの影響が業界全体にあったことを実感します。今後さらに機能性表示制度にも影響がありそうで。言葉選ばずにいうと1企業の品質問題が業界全体へ影響与えたという、本当にたまったもんじゃないなという所感です(やや憤りのレベル)

最後に〜過去変遷から学ぶこと

アサヒの展開・約15年の変遷を見て学べることは

●無名ブランドで市場エントリーする際は一定のRTB(ブランドを信頼する理由)が必要 ※サントリーの例からより明瞭にわかります(サントリーはこっちを先に固めた印象)
勝てるとわかったら全力で市場を取りに行く勢いが重要(勝てる戦で徹底的に勝つ。戦略の基本)
時代によって「勝ち目」は変わる。常に時代に沿った勝てる要素を見つける目利きが重要。

今の時代「情緒が〜」とか、よく言われますがそんなものだけで顧客を獲得できるなら苦労しません。お客さまが共感して購買するには、それなりの納得できる理由とフックが必要です。
共感だけだと商品広告にはなり得ないなんとなく良い広告となるし、購買推奨だけだと好まれません。

今の時代で売れるには、19年のアサヒの動きのように今のお客様のトレンド・動きを理解することから始めるのが重要だとあらためて感じました。

以上、アサヒディアナチュラのまとめとなります。このシリーズまとめてて面白いので、また別ブランドで定期的に更新します。
(こういう時、過去の自分の蓄積とまとめ癖に感謝。ネタはいくらでもある笑)


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