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無添加表示について、リーガル・マーケット視点から紐解いてみた

こんにちは。チャボです。
24年4月から「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(以下、無添加ガイドライン) の移行期間が完了します。これにより、24年からは無添加表示を見かけることは今までよりも減るのではないでしょうか。
このタイミングで改めて、このガイドラインの狙いや概要を理解し、さらにビジネスでのチャンスをマーケティングの視点から見ていきましょう。


そもそも無添加ガイドライン策定の背景は?

無添加ガイドラインができた背景は大きくまとめると以下の2点です。
①そもそも「無添加」の定義が曖昧であったこと
②「無添加」というワードは「安心、安全」「健康」と強く結びつき、その表記によって消費者の購買意欲が高まる(以下調査リンク)

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms204_210720_05.pdf

しかし、そもそも食品添加物は安全性が担保されているものであり、そのため添加物を使用していない=安心・安全という考えは、誤解を招く可能性があります。
これがあって、検討会が発足され、表示に関する考え方やルールメイキングが進められてきました
(あまり大声で言えませんが、実はこの検討・背景にはとある調味料メーカーが関与しています。昔から化学調味料という名称に異議を唱えていた赤いパンダの会社さんです)。
 
その検討会の結果、パブコメも募集され、以下の考え方が示されました。

フードWEB Weeklyより抜粋

これらの変更は、これまで無添加をアピールしてきた食品業界に大きな影響を与えることが予想されます(味噌、餃子、明太子などは特に影響ありそうですね)

10個ある禁じ手(要約すると7個)の概略

以下、塊で理解をしていきましょう。()内は類型と連動します
ちなみにまず言葉の定義を整理します。
食品において「無添加」とは、以下のように示されます。
 
「無添加」とは、食品添加物が、原材料の産地から最終加工食品完成までの全工程において、一切使用されていないことをいう。即ち、加工食品において表示が免除される加工助剤、キャリーオーバー、強化剤などの食品添加物も使用されていないことをいう。なお、「不使用」、「無添加調理」等も同じ意味である。

①単なる無添加表示(1)

これは、先ほどの調査結果と関連しています。 「無添加」だけが記載されることで顧客を誘引し、さも商品が良いと誤解させるのは、誤った印象を与える可能性があります。そのため、「無添加餃子」などの商品名やPKG、広告は今後修正が必要とされるでしょう。(広告は全体で判断されるので、近くに見えているものだけでなく、一連の流れとして製品名に記載がある場合はリスクが高まります)

②そもそも定義がない言葉での無添加(2)

人工甘味料、合成着色料など、そもそも定義がない言葉を使うことは、商品の品質を誤解させる可能性があります。「人工・合成」を使わない旨、「天然」等を使うことはNGとされています。

③本来使わない/使ってはいけない成分の無添加(3,8)

これは実は一番一般的なケースではないかと思います。特に広告を実施する企業が、元々の食品を知らないことから生じる事例です。
 
例えば、「保存料が使われない商品」に対して「保存料無添加」のように宣伝することは、商品を良さそうに見せることにつながります。(消費者は、普通どの商品が使用されるか、また使用されないかなどを理解していないことがほとんどです)そのため、上記をわざわざ表示するような行為はNGとされます。

④意味を変えて表示する無添加(4,5)

食品においては、役割を変えることで、食品添加物となるものがあります。 1つの例を挙げると、ブルーベリーです。これは栄養素の観点では食品として扱われますが、着色料の観点では食品添加物となります。そのため、ブルーベリーサプリで「着色料不使用」と表示することは、上記の違反に該当します。(さらに言うと、サプリ一般は通常着色料を使用しないので、本来使用されない成分を無添加とする方にも該当します。)

⑤安心安全を主張する無添加(6,7)

これは上記の通りです。「食品添加物で使用できる=一般の食品に使用できるので、安心安全が担保されている」そのため、これが健康に良いなどを主張することは、論理的にも妥当でなく、商品を良く見せようとする観点からもNGとなります。

⑥キャリーオーバーでの無添加(9)

これは、先ほどの「無添加」の定義から明らかです。原材料の産地から最終加工食品完成までの全工程において、一切使用されていないことが求められますので、キャリーオーバーは許容されません。広告業者が判断できる範囲を超える場合がありますので、この点には特に注意が必要です。

⑦過度の強調無添加(10)

パッケージ・広告などで大きく「無添加」と書かれている場合、周りの注釈が小さいなどの状態は、法律的にも望ましくありません。法令を理解すれば、これを行うこと自体がNGであることが分かるでしょうが、それでも行う企業があるため、このような定義を設けたのだと思います

以上大まかなルールとなります。

今後の広告をマーケティングの視点で考える

無添加の表示についてはこれから定義されるところを巧みに回避しながら、どのように安心・安全を演出していくかが問われます。
1つの事例を見てみましょう。

(ケース事例)野菜粉末だけで作られ、「着色料」「保存料」など一切使用されていない製品があるとします。
これをどのように広告していくか?皆さんならどう考えますか?

基本的な考え方は今まで通り、「RTB・ファクトの先」を考えることです。 これまでなら 「○○不使用→なので安心安全」 でしたが、これはNGとなります。

どのようなPR方法があるでしょうか。例えば以下の方法が考えられます。「自然の恵みを考え抜いた○○」
「こだわり抜いた野菜だけから作られた○○」
「野菜だけから作られた自然の恵み」といった表現が挙げられます。
※事実に沿うか?景表法観点は重要。

安心安全を謳っていく方法が今までと変わってくると思います。今後、24年に出てくる広告に注目です。

動画宣伝

景表法の考え方は以下も参考に下さい。
ベースの理解が深まります。

それではまたお会いしましょう。

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