見出し画像

妊娠中の「ダメダメのうた」 byクレヨンしんちゃん


夫は今日、飲み会だ。

前職の同僚たちからお誘いがかかったそうな。
ブラックベンチャーで働く彼は、「子供が産まれたら出戻りするかもしれないし、コネクション大事だからネ!」とかなんとか言って意気揚々と出て行ったが、今頃久々のお酒に飲まれていることでしょう。

今日はソファで寝かせよう。
酒臭い身体で、私のベッドには指一本触れさせまい。


妊娠が発覚してから、毎度私がチクチクいうもんで、家では彼も禁酒してくれている。オールフリーを飲みながら「もうこれでいいや、うまい!」とか言っている。これは本当にありがたい。
私とて、酒がないと生きていけない!なんてタイプではないものの、元々お酒は好きでよく飲むたちだから、カシュっなんてプルタブを引く音を毎日聞くのは流石にたまったもんじゃない。

前に焼肉屋に行った時、霜の降りたキンキンのジョッキに注がれた生ビールが人様のテーブルに運ばれていくのを横目に、「お願い、今日いっぱいだけ、飲んでいい?」と可愛い顔で懇願された。
そんなお願いを一蹴するほど鬼でもないので快諾したわけだが、目の前でタンをつまみに美味そうに喉を鳴らす夫を見ながら、複雑な思いに駆られた。

晩酌の我慢はなんてことなくても、「今飲まないなんて反則じゃん!」みたいなシーンで飲めないのは、流石に堪える。妊婦になったからって、お酒が飲みたくなくなるわけじゃないのだぞ。いつもは我慢してるから、今日だけ、みたいな反則は、私には一年以上も先のことなんだぞ。
気軽にお願いしてくるあたり、このひとは本当にそういったこと、自分ごととして想像したことがあるのだろうか。


妊娠して初めて知ったことが、妊婦には本当に食べられないものが多い。気にせず食べる方もいるそうだが、心配性の私はどうもそうは割り切れない。

お寿司、お刺身、ユッケ、ローストビーフ、ぶりんぶりんの赤身ステーキ…
まあそこら辺は特別なものなので、歯を食いしばって一年後を楽しみにというところだが、
いそいそ頼んだすき焼きに添えられた生卵を見て、己の不覚と妊婦の不自由を呪ったのは最近のこと。

フレッシュな、つまり、カビカビしいナチュラルチーズ類にも当たりやすいから気をつけよとか、カフェインがダメならレンモングラスでとしのいでいたら、子宮収縮作用があるハーブティー(代表:レモングラス)は避けるべしという記事を見つけたりとか、昆布はダメとか、鰻はダメとか、あれもダメとかこれもダメとか。

まあ、どれも「食べ過ぎなければ」問題はないらしいのですが、調べ出したらキリがない訳ですよ。(そういえば頂き物の高級明太子が、まだ冷凍庫に眠っている。ケチらず全部食べとくべきだった)

知らなかったよ、妊婦さんがこんなに大変だなんて。

ただでさえ体はしんどいのに、食べたいものを食べたいときに!って自由すらままならんのかい。

そして意外と、こういう情報って調べないと出てこないことにも驚いた。
まあつまり、これまでお母さんになった分別ある女性たちは、妊娠中のアレダメコレダメにも吠えることなく、彼女たちの中でそっと食べ物を選別しながら静かに過ごしてきのだろう。
おそらくなーんにも知らないだろう夫を煩わせることもなく、誰にもその不満をぶつけることなく、仕方のないことと割り切って。
凄すぎる。無理でしょ、無理でした私は。(そうしてここでぼやいている)


ふと時計を見て、まだ帰らぬ夫に思いを馳せる。どうせ今頃、もう何杯目かも分からないジョッキを片手に、中がまだ桜色のささみ焼き鳥とか、うずらの生卵がのったユッケとか、塩分気にせず締めのラーメンとか、食べてるんだろうなあ。いつもは遠慮してるから、今日は羽伸ばすんだ!とかやってるんだろうなあ。

産めるのは女性の特権だから、とは言うものの、産まずに子供が持てる男性だって、それはそれで特権じゃないの?と思う今日この頃。



そうそう、先日我が家に、新しいルールを導入した。
どうしてもビールが飲みたくなったら、
「面白い理由で私を笑わせられたら、よし」。

いつも不機嫌な顔ではいたくないから、お互い気持ちよくやってくために、彼にも一肌脱いでもらおうと思う。

#妊娠#出産#女性#女性の生き方 #プレパパ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?