長谷川さん_minna

デザインをもっと身近な「みんなの力に」株式会社ミンナ 代表取締役 長谷川哲士さん

自信に溢れる躍動感で人を巻き込み、どこまでも寄り添い「想い」を形にしていくデザイナーの長谷川さんにお話を伺いました。

〈プロフィール〉
出身
愛知県名古屋市生まれ
経歴
2006年:MUJI AWARD INTERNATIONAL DESIGN COMPETITION 01 銀賞受賞
アクシスギャラリー企画「第1回学校選抜 金の卵 デザインショーケース出展」
2008年:武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科インテリアデザインコース卒業
株式会社 Central Line チーフデザイナー (2006-2008)
EDING:POST デザイナー (2007-2008)
2009年:minna設立
2013年:株式会社ミンナ 設立
好きな本
星の王子さま
好きなアパレルブランド
コムデギャルソン

デザインをみんなの力にしていく。

記者:どのような夢やビジョンを持たれていますか?
長谷川哲士さん(以下、長谷川敬称略):世の中にはデザイナーと呼ばれる方がたくさんいますが、その多くは、相手に言われたものをそのままに、キレイに整えているだけのオペレーターになってしまっていると感じます。キレイに整えることだけなら、AIにもできますよね。
例えば、「なんのために?」「何をしたいのか?」というところに寄り添った末、究極言ったら「作らなくても良いのではないか?」という可能性もあると思います。作ることだけがデザインではなく、作らないという選択をすることもまた、デザインだと思うんですよね。
表層の部分、テクニック・スキルの部分だけを意味する狭義のデザインではなく、何のために何をつくるのか?という物事の前提についての対話からスタートするような、想いを可視化する手段としてデザインをみんなの力にしていきたいです。
依頼する側には、「もっと気軽に困った時に相談して良いんだ。」という認識が広がること、デザイナー側には、つくることの前段にある想いに耳を傾けるスタンスが広がっていけばいいなと思いますね。
デザインがみんなの力になっていくよう、問題が起こった時だけに限らず未来への想いを形にするために、次どのような一手を打つべきなのか?を一緒に考えていきます。

続けていくために、積み上げていくこと

記者:夢やビジョンを具現化するために、どのような目標や計画を立てておられますか?
長谷川:まずは、minnaとしてのビジョンを発信する機会や場を増やしていけるように考えています。大学を卒業して一年後にから今の会社を立ち上げました。どこかの企業に勤め、お得意様のいる状態で独立したわけではなく、仕事0の状態から立ち上げたので、もちろん誰も私たちのことは知りません。私たちの考え方に共感してくださった方からの依頼があり、そこで発表した仕事がまた新たな出会いにつながり…という繰り返しで今があると思っています。2019年で設立10周年を迎えたのですが、続けてきたからこそ、声がの届く範囲が少しずつ広くなってきているように感じます。

記者:一つ一つの出会いを大事にしながら形にされているんですね。
長谷川:コツコツと積み上げてきたような印象ですね。考え方に共感してもらえた上で、数字に関しても言われた事に対してシビアに捉えています。予算に対して「これくらいの集客をしたい」と言われれば、それに対してどうやったら到達できるのか?クライアントからの期待を上回ってこそ、次があると思っています。

自分の5感覚で感じ、確かめ、発信する。

記者:目標や計画に対して現在どのような活動方針をもって、どのような基本活動をされていますか?
長谷川:どんな仕事でも人と人との関係性が重要だと思っているので、コミュニケーションを大事にしています。普段はメールでやり取りをしていたとしても、最初は特に対面で会いたいですね。海外の方の場合も同様です。会話の間や、表情、雰囲気なども感じとりたいので、面とむかって話したいです。

地方や工場、販売の店舗など様々なケースがありますが、どんな場合でも現地に行くことを心がけています。例えば、田舎に住んでいる方の「田舎」のイメージと都会に住んでいる方の「田舎」のイメージって違うじゃないですか。その場の空気感と状況は足を運んでみないと分からない事もあると思うので、フットワークは常に軽くいたいなと思っています。

もう一つは、「デザイナーである前に、あたり前のことをあたり前にする、良き生活者であれ」と思っているので、minnaは基本的に残業はなく、9時出社で18時帰宅のリズムです。この業界は残業が多いのが当たりまえなのですが、普通の生活を送っている感覚を持っていないと、「みんなのために」と言っても距離感が生まれてしまうと思うんです。心身ともに健康で健全な状態をできるだけ作れるように心がけています。

また、良いものをデザインしたとしても知られていなかったら意味がないので、携わった仕事や活動についてはメールニュースやSNSを活用し発信するようにしています。

幸せ3条件。

記者:どのような発見や出会いがあって、今の夢やビジョンをもたれるようになったのですか?
長谷川:大学を卒業する時に角田と、「どういう風に生きていきたいか?」話していて、当時の自分たちなりの「幸せ3条件」を考えたんです。
・好きなことを仕事にしたい。
・好きな事をしててもチヤホヤされたい。
・幸せな家族をつくる。

この3つを達成したいということもきっかけとなり、結婚して会社を設立しました。
社会的に存在を認められ、批判されても存在感として認識してもらいたいという意味でチヤホヤされたいと思っていました。
グラフィックデザイン、プロダクトデザインなど小さな業界ピラミッドが大量にあって、どこにいってもボスがいますし、年功序列になっていると感じることもあります。
チヤホヤされる状況をつくるためには、新興勢力的に新しい山をつくることで存在感を生み出すことが出来ると考えて、まだデザインされてない領域をデザインとしたら…という事を考え抜いた結果、「人」「モノ」「コト」にも使われる言葉で、自分たちにデザインの考え方ともマッチする『みんな』という言葉にたどり着き、社名として採用しました。

人と違って良い!

記者:デザインに関心もたれた時の発見や出会いの背景をきかせてください。
長谷川:
小学生までジャージが一番お洒落だと思っていたのですが、先輩がホログラムTシャツを来着ているの見て、他の人と違ってカッコいいと思ったんです。
初めて私腹服を買ったのが、中学生になってすぐの時だったんですが、周りの友達は選ばない、ピンクのTシャツを着てたら目立てると思って、商品を手にレジに向かったことを鮮明に覚えています。そしてピンクのTシャツを着て出かけたら、当時気になってた女子に「男子なのにピンクTシャツでかわいいじゃん!」って言われたことをきっかけに、「人と違う=良い・モテる」という考え方が確立されました(笑)
高校の時は、服を買うだけでなく、自分で服を作ったりしていたので、文化祭の衣装をつくることになった時に、立候補して縫製係になりました。
「男で、しかもサッカー部の自分が衣装つくるって言ったらモテるかも。」って思ったんですよ。「え?そんなことやれるの~?」ってチヤホヤされるイメージですね。
振り返ってみると、中学時代にファッションに目覚め、高校でデザインという仕事を知り、美大に入学できたことが、今の仕事のスタート地点になっていると思います。

記者:人と違う事を選択できるって素敵ですね。貴重なお話ありがとうございました。

長谷川哲士さんの活動・連絡についてはこちらから
↓↓
HP:
https://minna-design.com/

【編集後記】
今回、インタビューを担当させて頂いた小田原と杉本と小田原です。
オフィスに伺わせて頂いたのですが、空間もオシャレで素敵で、長谷川さんの依頼された仕事を部分的に見て形にするのではなく、全体を一体化させる想像力や企画力がとても魅力的だと感じました。
更なるご活躍を楽しみにしております。
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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36

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