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にゃむ❤️の『看護まがじ〜ん』

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30年以上、自分のスタイルでやりたい看護を自由にのびのびとさせて頂いています。緩和ケアや認知症に関する記事が主になるかなぁと思います。
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#看護

黄色い蝶々になる 〜看取り〜

その彼は いつも気さくで 優しい気遣いの人。 楽しい会話で笑いが絶えない。 部下からも おばさまたちからも 慕われて 人気者だったと 奥様は言われていた。 いやぁ〜、絶対人気者だと思う。 部下にも こんな風にニコニコしながら フレンドリーに声を 掛けられていたのだろうなと思う。 こんなに普通なんだけど その彼・・・ハタさんは 大きな大きなお腹を抱えて ベッドに横たわっていた。 退院後に初めてお会いした。 本当にハタさんは 1ヶ月くらいしたら この場所から 居なくな

一晩だけ

神さまは 一晩だけ 家族の待つ家に 彼女を 帰らせてあげるねと言った そして ニ晩目を迎える前に 約束の日だね・・・って 天使たちが迎えに来た 最期に 地球の空気を 小さく吸い込んで 動きを止め やわらかな光を放った ……⭐︎ 働き者で 元気いっぱいの楽しい彼女のまわりには 沢山の親族が囲んでいた この人たちにとって どれだけ大切な人だったのか お元気な頃を知らない私たちも 容易に想像ができた 意識もかなり薄れている状態で ようやく瞬きでYe

お風呂の一場面

久々に看護のお話。 90歳代の一人暮らしのちえさん宅に訪問に伺った。 初回の契約の際に一度お目にかかり 2回目の訪問だった。 初回は、3人の看護師で伺った。 その時、私は記録など雑務担当していて ご本人やご家族とお話するのは あと2人の看護師が行っていた。 その後、代わる代わる4〜5人の看護師が 訪問していた。 訪問に伺った全員の名刺を見ながら 忘れないように復習をされていた。 私が訪問したのは1ヶ月以上前なのに とてもよく覚えていらっしゃった。 あまり喋らなかったか

あっけない

「今月いっぱい生きれるかなぁ」 すっかり頬がこけた80歳代の男性が 布団から顔を出して力ない声で言った。 「もう生きれないかなぁって感じがするんですか?」と私が聞く。 「いや、そうなことはないけど。でもどう思う?」 「今月はこの調子ならきっと大丈夫。何ヶ月も大丈夫かってきかれたらそれはわからない…。」と答えた。 「いやさ〜、今月みたいな寒い時じゃなくて、もうちょっと暖かくなってからがいいなぁって思ったんだよね〜」と 乾いた唇で語った。 「寒い時はやめとこ。暖かくなって

あるおばぁちゃんに椅子に座って頂き 足のマッサージをしていた 「お母さんと離れて暮らしてて寂しくない?一生懸命仕事して偉いね〜。かわいい」 ふわっと優しい手で 頭をポンポンって撫でてくれた 年齢を間違えられてる感はあるけど 涙が出るほど優しいポンポンだった(感謝♡)

10年前のお客さま

病院勤務を経て いつの間にか 訪問看護の仕事も 10年以上になってた 訪問看護のことも よくわからない頃に 出逢ったお客さま達 10年も前のお客さま達から 最近立て続けに 元同僚つてに ご連絡を頂いた 10年の時を経て 思い出して貰えるなんて 本当にありがたい… 姉妹で暮らしていたお客さま いつもちょっと喧嘩しながらも 女子同士でお料理の味の話で 盛り上がってた 作った鍋を一緒に食べようよと いつも誘われていた 時々ランチの味見をさせてくれたり 楽しい時間だった あ

おばぁちゃんの爪をせっせと磨く

ここ数ヶ月 おばぁちゃんを見つけては セッセと爪を磨いている。 5年くらい前に 東急ハンズで ヘッダー写真のガラスの爪磨きを 購入した。 その時に 自分の爪がピカピカになって 感動した。 職業柄、爪を伸ばすことはなく ネイルケアにも縁遠い爪なので 自分の爪がピカピカになっていくのが おもしろかった。 *   *   この感動を 訪問先のおばぁちゃんたちにも! ってずっと思っていたのに 中々爪磨きが買えず・・・。 ようやく数ヶ月前に おばぁちゃんたち用に購入した。

ジキルとハイド

仕事で緊急電話を持っていたときのこと。 過去最高の50回以上の鬼電があった。 80歳代のポヨさん(仮名)女性から。 ポヨさんは、緊急電話の常連中の常連。 「えーっと、 あのヨドバシの手に乗るくらいの ほらあれよ、何だった?」 みたいな暮らしのカスタマーサービス的な 電話も多い。 因みに上記の正解は ヨドバシカメラのポイントカードのこと。 ポヨさんには時間という概念があまりないので 昼夜問わずかかってくる。 そして夜中に起こしておいて 自分の要件が済むとガチャ切り

認知症のかたの保清(おふろ等)ミッション💫

最近は、看護の記事をほとんど書いていないことにふと気づいた。 ここら辺で久々に日々の看護の中のエピソードを少しばかりお届けしたいと思う。 訪問看護の仕事は多岐に渡っている。ご自宅で人工呼吸器をつけているかたの全身管理・ケアなどもあれば褥瘡(床ずれ)や創傷などの処置、PEG(胃ろう)の管理、バルンカテーテル交換、高カロリー輸液の管理、点滴、注射、血糖測定、吸引、リハビリ、浣腸、摘便、ターミナルケア…と所謂、医療的な処置。 そして、医療的な処置とは別に保清ケアなどもある。

ナミダ壺

きっと誰もがココロの中にナミダを溜める場所を持っている。 壺のような中に小さな頃から溜めてきてるのかなって思ったりする。 ✳︎ ✳︎ 昨夜遅くに80歳代のポヨさん(女性)からお電話があった。 ポヨさんは、このところ精神的に上がったり下がったりを繰り返していた。 電話の最初は、事務的な用件だった。 でもきっとそれは急ぎの用事ではなかったので聞いて欲しいのはそこではなかったのだと思う。 そしてしばらく話をしていると 「私ね、鼻を高くする美容整形を受け

〝こんなおばぁちゃんになりた〜い“(2人目のおばぁちゃんのお話)

今日は、土曜日出勤。今からお仕事してきますが、その前にこちらの記事を投稿してから行ってきま〜す♪皆さま、いつも数ある中から私の記事を読んでくださり有難うございます❤急にお礼を言いたくなりました。      ✳︎ ✳︎ “こんなおばぁちゃんになりた〜い“シリーズ(?)の2人目。 こちらのシリーズは、今のところ2人で終わり! 今回のおばぁちゃんも本当に魅力的なかた! マヤさん 90歳代 一人暮らし マヤさんとは一度お会いしただけですっか

認知症/切なさを少しだけ溶かす時間になったらいいな

彼女の名前は、淑子(よしこ)さん。80歳代女性。 インテリジェンシーも高くついでにプライドも少々高めだった。大学を出てからバリバリのキャリアウーマンだったかた。 認知症状が進み、短期記憶障害もあった。 5分前のことも思い出せないこともある。 スポーツをされていた方で足腰はしっかりされている。 「なんで自分でお風呂に入れるのにあなたたちに入れてもらわないといけないの。私は頭がおかしいの?」と強い怒りを表出される。悔しくて涙が出る時にもある。 それをみているとこちらまで辛くな

勇気を出せば人生は、変わる!/180度違う人生になったおじぃさんの話

<はじめに>2年半前にこんな記事を書いていた。 ギャンブルの果てに廃人のようになってしまったしげさんの話。 実は、このほぼ寝たきりだったしげさんにはこの後ミラクルな人生が待っていた!! その前にちょっとしげさんのおんぼろぼろぼろアパートのおさらいをしておこうと思う。 <おんぼろぼろぼろアパートの住人しげさん> そのおんぼろぼろぼろアパートは、雑草が鬱蒼とした陽の当たらない住宅街にあった。外もジメジメしているけど、中は、ジメジメ度が増していて、なんとも形容し難い匂いがす

コ・ウ・カ・イ(後悔) / あの時が最初で最期になるなんて・・・

“1時間半”・・・。 彼と一緒に居たこの1時間半が、最初で最期になるとは思わずあの時間を過ごしていた。 彼は、50歳代の独身男性の剛(つよし)さん。 薄暗い部屋の中でも彼の中肉中背の体が黄色く(黄疸)見えた。 そして異様なほどの大きなお腹(腹水)をみれば、“がん”が、彼の意思に反して体を占領していることが一目でわかった。 受診した時には、既にエンドステージの状態だった。 ついこの間までバリバリとサラリーマンをしていた彼が、この短い期間の中でこれだけの体の変化を簡単に受け入