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3度目の春は新しい季節の始まり
人と人の間で生きていると、他人の思惑や状況に、ある意味委ねるしかないときがある。思うように生きているつもりでも実際は思うようには生きていない。
そんな葛藤を感じているからか、植物の手入れには癒される。コチコチになった心が解けていくような気持ちになるのだ。
もうすぐ春がくる。
植物と私の季節がやってくるのだ。
◇
この家に住み始めて3年目に突入した。2月に入居したが外構工事を始めるまでに時間がかかり、最終的に庭が出来上がったのは5月の終わりだった。
芝のマットが敷かれたのは4月頃だったと記憶している。
そのときを芝にとっての1度目の春と数えると、目前にやってきている3度目の春。私が手入れを始めて3度目の季節が始まろうとしている。
◇
初めてのことはドキドキするがワクワクが勝る性格である。
だから、芝の手入れは大いに嬉しかった。
庭師の方には「こんなに芝を植えたりしたら手入れが大変ですよ」と言われたりしたし、最初は不安もあった。だが、毎日の手入れはとても楽しかったのだ。
芝の手入れにのめり込み、芝の手入れが生活の中心と思えるようなときもあった。各種本を揃えて、多くのことを学んだ。
◇
芝の手入れをやっていると思うコト。
それは、季節の巡りは同じようで同じではないということだ。
手入れの本には「何月には何々をします」という記載がされている。だが、実際は「この月にはコレをすれば正解」ということは少ないように思う。
季節の巡りは同じようで同じではないのだ。
複数の本を読み比べ、気温や湿度をもとにして、それらの作業が進められていることに気づいてからは、自分なりに「本に載せられた情報」の根拠を探り、応用が利くように噛み砕いていった。
◇
本から得た知識を実行に移すためにはどうしたらよいのか?
経験を重ねて、このタイミングでは何をするのか自分で判断するしかない。
判断基準は、現場の情報収集によって得られる。つまり、芝が植えられた現場の状況を観察することが必要だ。分析できるだけの情報を得ること。即ち五感を働かせて情報を得ることが求められる。
芝の状態を目で見て、気温や湿度を肌で感じる。
天気予報のチェックも欠かせない。自分のスケジュールとすり合わせながら、作業の段取りを決めていく。
◇
作業の一例をあげるなら、水をあげるのか、水をあげるとしたら、どのタイミングで、どの程度の量かといったこと。
水やり以外においても同じく、あらゆる作業の判断が自分に委ねられる。五感を使い、状況を判断し、知識と照らし合わせ、行動に移す。その動きは芝が休眠する冬を迎えるまで継続する。
行動にバリエーションを増やすため、手入れの道具を増やしたり、技術の習得を適宜行う。
それらの行動が全て機能して初めて、美しい芝が保たれるのだ。
◇
癒やしの季節をまた始めよう。
新鮮な気持ちで芝と向き合おう。
3度目の季節は、去年までの繰り返しではない。
また新しい季節なのだから。