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Time is money......時はカネなり

ネットで予約するとお得価格で同じものが手に入るとか、どこどこのサイトを経由してから買い物をするとポイントがプラスになるとか、最近は、そういうサービスが増えている。

それらをまとめて比較して紹介するようなお仕事も世の中には存在するくらいだから、ビジネスとして成り立つほどのサービスが存在しているのだろう。

私も、そういうサービスには乗っかりたいと思ってきた。

だが、最安値を探し出して「一番お得」に利用したいかというと、そうでもない。

Time is money.

「時はカネなり」だと思っているからだ。

「あなたの時間」はお金に換算するといくらですか?

以前、NHKの教育番組で自分の時間をお金に換算する考え方を紹介されていた。

それは次のようなもの。

自分の住んでいる地域の最低賃金が仮に900円とした場合、自分の時間は900円で買ってもらえる潜在価値があると仮定する。

1時間が900円ということは、1分は15円。それを基準として自分の時間をかける価値があるかどうかを判定してみるという考え方だ。

もちろん、最低賃金以上の稼ぎをしている人は、その時給で換算をしてみて欲しい。

「時給」という考え方だけでは単純に扱えない仕事、例えば成功報酬的要素が強い仕事をしていたとしても、時給換算で考えてみる。なぜなら、もし仮にこの時間で働いたとしていたら、いくらのお金が稼げたかという仮定を基準に自分の時間の値段を決めるからだ。

この換算方法には、だれかの経済学者の名前がついていたような気がするのだが、失念してしまった。もしご存知の方がいたらご教示のほどを。

「お得」の判断をしてみよう

チラシを見て1円でも安い値段のところに買いに行くという人もいるだろう。そういう時に意識してみて欲しいのは、次のような考え方だ。

いつものスーパーよりも遠い場所にある激安スーパーに行くとする。仮に、往復で1時間遠い場所だとしよう。最低賃金が900円の地域と仮定すると、移動にかかる賃金が900円と見積もりが可能。

つまり、上記の条件に当てはめてみると、トータルで900円以上の割安なお買い物ができるのならば、激安スーパーにまで行くことが「お得」といえるのだ。

もちろん徒歩で行くという場合での換算だ。もし、自転車で行くとなると自転車を維持するためのコストがかかるし、車で行くとなると、車の維持費や燃料代などのコストも加算して考える必要がある。

この考え方でいくと、思ったより「お得」ではないのかなという感想を持たれたのではないだろうか?

ネットでのお買い物ポイントの「お得」はどこから

ポイント加算は、誰がどのような消費行動を行っているかという「データ」を提供することの見返りということは周知の事実だろう。

だから、ポイントを付与されているのはお得というよりは、全うな見返りを受け取っていると考えてもよい。そうなると、それほどポイントに縛られずに自由に買い物をすることが可能になる。

ネットでの買い物は、サイト間を移動しながら「手間」を取ることがルーティンになっていたとしても、単に「お得感を得るだけ」になっていないか自分でフィードバックしてみることも時には必要だろう。

その時に考えて欲しいのは、先に述べた時間の値段の基準だ。

手間をかけてもお得になるのか?

1分15円以上のお得になっているのか?

そもそも、ポイントは自分自身の消費行動をデータ資源として提供することで得られるものだから、お得というよりは内職に近いのではないだろうか。

「お得」という感覚はどこから来るのか

値段は数字で示されていて安いか高いかを判断しやすいように映る。

同じものが「100円」と「200円」で売っていたら、100円のほうが安いに決まっている。ただ、それはお隣同士のお店で売っていたらという仮定になるのだろう。

ただし、それぞれのお店に入り、レジに並んで買うという時間も換算するなら、場合によっては「200円」のほうが安上がりになることもある。例えば、買いたいものはその1点のみで、かつ、100円で売っているお店は、激安スーパーの人気店でお店に入るまでに30分並ぶという条件がついた場合だ。

もちろん、手持ちが100円しかなかったら、100円で売っているお店に並んで100円で買うしかない。だが、ここでは敢えて、100円でも200円でもどちらでも買うことができるという前提で話をする。

値段は数字で示されているからわかりやすいというのなら、時間も数字で示すことが可能だ。だから、お得の意識に時間の値段を加味して考えるようになることは、案外それほど難しいことではないのではないだろうか?

「お得」という言葉に踊らされないために

先の例でいう、100円と200円のもの。実際に何を買うかにもよる。これが5個組の箱ティッシュだったとしたら、100円は激安だと感じるが、200円でも別に高くはない。

私なら、激安スーパーの人気店でお店に入るまでに30分並ぶということはしない。

けれども、納豆の3個パックだったとしたら、200円は高いなと感じて、30分並んででも激安スーパーの人気店に入ることを考えるかもしれない。そして、折角30分並んだのだからと、30分×15円(最低賃金900円の地域という仮定より)450円分の何か安いものを買おうとして画策するだろう。

お得に踊らされるのではなく、お得をきちんと見極めるというのは、こういうことだと思うのだ。

自分が値段を決めるという意識を持つ

時間は、無限にあるわけではない。

どれだけ時間をかけたくても、お得と引き換えることができないことも多い。

だから、自分が値段を決めるという意識を育てることも肝心だ。

先ほど、箱ティッシュと納豆を例として取り上げたが、それは、いつもはこのくらいで買っているという経験から割り出した「相場」だ。

だが、それらを作っている人、運んでいる人、商品を陳列している人、たくさんの人の「労力」に見合うだけの価格はいくらだろうかと想像してみる。

そして、正当な「相場」はいったいいくらになるのだろうかと考えてみるのだ。

自分の時間を大切にすること

モノではイメージするのが難しい場合は、サービスという形のないモノで考えてみるとよいだろう。

このサービスにならいくら払ってもよいだろか?

そういう自問をする習慣をするのだ。

あの店ならいくら、この店ならいくらと比較して、同じ時間を過ごすなら「一番安い店が最適な店」という考え方を一旦捨ててみよう。

オシャレなカフェで過ごす時間や静かに流れる音楽のセンスのよさに値段を自分でつけてみるのだ。それを繰り返しながら、自分が値段を決めるという感覚を養ってみる。この感覚こそが「お得感」に振り回されることなく主体的な消費者になるということなのだ。

自分の時間に値段をつけるという考え方は、自分の時間を大切にするということに繋がる。

それが「自分を大切にすること」の原点だから。