山田総括インタビュー:「1年を振り返っての思いを語って下さい!」
チャレンジフィールド北海道が2020年10月に始まってから1年が経ちました。新年を迎えたところで、総括の山田さんから「これまで」と「これから」についてお話いただきました。
今回は前編として「これまでの1年を振り返って」のお話です。
山田さん:
手応えを感じることも、なかなか思うようにならないこともあります。それでも、試行錯誤の中で見えてきたことがあります。正確にいうと、以前から漠然と感じていたことが、チャレンジフィールド北海道の活動の中で、より実感を伴って再認識できたというべきでしょうか。
「私はこのように行動しようとしている」程度なので気恥ずかしいですが、3点お話しさせていただきます。
組織と人
企業にしても、大学、自治体にしても、組織を動かそうとすると大変ですよね。それぞれ違った成り立ちやミッションを背負っており、現在に縛られてもいます。また、組織を安定運営することは慣性が大きい、変化を嫌うことなので、少しのコトを試すにも大変な理論武装を求められて容易に動きません。
一方で、個人は各自の思いで大胆にコトを起こすし、共感でお互いに繋がります。この突破力は絶大です。歴史を振り返ってみても、明治維新は典型的な例ですよね。
結局、組織とは人の集まりじゃないですか。色々な思いやタレントを持った沢山の人たちが全道にいる。また、それを応援しようとする人たちが全国にいる。まさにダイバーシティですよね。チャレンジフィールド北海道での挑戦においても、組織を超えて志を共にする「人」をつなげるようにと意識してから視界が開けてきました。「同志」募集中です。
違いと共通点
ビジネスでは差別化を強調しますし、それに沿った戦略を立案します。だけどそれは必然的に競争の構図を作ってしまいます。
しかしながら、地域づくりや融合でより重要なのは、共通点を見つけてお互いに認識し共有することですよね。
道内の各地域で気質も文化も産業構造も違う、また大学と企業とでは考え方も違う。でも共通点も見つけようとすればいくつも見つけられます。前向きで共感できる共通要素から方向付けし、最大公約数でなく最小公倍数的発想で違いを活かした未来指向でスケールの大きな「共創」を進めたいですね。
昔話ですが、私はつくばで子供の学校のPTA会長をやったのですが、昔からの住民と新しく引っ越してきた住民とでは「当たり前」が違いました。相互に意識もありますし。その場合でも、「子ども」という大事にしたい共通点を介して考えの異なる親たちが協力しあい、徐々に信頼を深められたという経験をしました。
北海道ではその何倍ものことができるはず、ダイバーシティからインクルージョンへの挑戦です。
課題と機会
何かに直面した時に、それを課題と捉えるか機会と捉えるかは人それぞれですよね。私もどちらかというとか課題と捉えて対策を考え始める傾向がありましたが、チャレンジフィールド北海道に関わるようになってからは、その名のとおり、チャレンジするための機会にならないかと考えるように努めています。
北海道が課題先進地域である一面があることはその通りだと思いつつも、時々笑いを取るためにお話しするように「魅力度ランキング47位の茨城から来た自分から見ると、1位の北海道が課題ばかり口にしていることが不思議(笑)」です。実際、愛媛で生まれて、東京、倉敷、和光、ペンシルバニア、つくばと移り住んできましたが、どの地域でも課題らしきものは抱えています。北海道だけが特別ではないってことですね。
ものごとにはすべて表と裏、明と暗があるので、課題は意識しつつ北海道発展のきっかけとなる機会を探る姿勢の方が健全だし建設的じゃないでしょうか。
和田:
PTAの件はものすごく良く分かります。お互いがなかば本能的に大切だ、と思える共通項があるとスムーズですね。それは、この事業で言えば「ビジョン」に近いものでしょうか?
山田さん:
そうですね、多くの人が共感できるビジョンをどう作るか。それは合理的であるとともに、合理性だけでは説明しきれない感覚や感性に訴えるものじゃないでしょうか。その分かりやすいキーワードの一つが「次の世代」だと思います。関係者の属性に関わりなく腹落ちするのではないかと思います。
和田:
あまのじゃくな見方ですけど、子どもや若者に興味のない人は「次世代のために」というワードはピンとこない、ということはありませんか?
山田さん
なぜか私は「社会から受けた恩は社会に返さないと」という思いをずっと持っています。人生を通しての恩の貸し借り収支をプラスにできたら良いなと。もしかしたら人類の生存戦略に関わる本能的な考え方かもしれませんが自信はありません。
そんなこともあり、私は「次世代のために」というワードが自然に浮かぶのですが、確かに納得できない人もいるかもしれませんね。最初にお話ししたとおりダイバーシティ環境は歓迎すべきです。その場合は、別の共通点を探そうとする努力を惜しまないということですかね。
和田:
「おかげさま」という考えですね。日本に住んでいる期間が長い方だと腑に落ちやすいかもしれないですね。
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