人的資本経営と新規事業創出
・企業成長に停滞感のある企業は、従業員が成長のドライバーとなるイノベーションを自律的に起こすことを期待。そうしたイノベーションによる利益成長を求め、人の育成に投資する「人的資本経営」が増えている。
・そんな人的資本経営を通じたイノベーション創出について、自身の感じている課題感をリストアップしてみます。
<課題認識>
1、会社のトップダウンでの人的投資、教育
・上から強制によるチャレンジと、本人が自らチャレンジするバランスが必要。一律のプログラムで育つのか?という疑問がある。できれば本人でチャレンジして欲しいところであるが、本人が気づかない能力伸長の機会は会社・上司から提供してあげた方が良い場合もある。
2、イノベーション創出関連
・そもそもイノベーションを起こす、積極的にチャレンジする風土は、そこまでそのようなことがやりたい・できる人材を採用して来なかった会社の人的リソースから生まれるのだろうか?という疑問がある。
・好き(従業員側のやりたい)と得意(会社にとってできてもらう)のどちらを優先するかは難しいバランス。後者を会社は押したいが、本人がつまらなくなって士気が下がってしまう恐れもある。
3、従業員本人のやる気問題
・どうすれば、従業員がイノベーションを自発的に起こすようになるかという変革が難しい。イノベーションを過去起こしていない上司からの動機付けで変わるとも思えないし、部下が強いパッションを最初から有してなければ難しいと思う。
・顧客(どんなターゲット?)の何?を解決するか、が曖昧なまま、新アイデアを発想してもらうのは、難しいと思う。誰の何を解決するために力を発揮すれば良いか従業員にとって分からないと本気で考えられないと思う。
4、従業員の過保護
・人的資本重視といって、間違った方向の従業員保護と間違える弊害の可能性がある。(給与と業務アサインで)メリハリのない処遇を継続する懸念がある。例えば、産業構造上陳腐化してしまっていたり、自社の強みとのシナジーがなくなっており不採算となっている既存の事業に従事している従業員を、引き続きその不採算な仕事に従事させながら、イノベーションを起こしてくれというのは中々無理筋な要望と思う。レイオフはしないとしても、不採算から撤退して高採算事業や新規成長事業に従事してもらうなど再配置で働いてもらう方が、全社の業績が上がり、会社・本人にとっても良い可能性がある。
5、仕組みの構築
・解の一つは、好きかつ得意な仕事に従事してもらうために、業務をアサインする側(本部・現場の人事権がある所管・権限者)が、やりたい・良くやれる仕事を任せて、最大限の実力発揮(価値創出)をしてもらうこと。その過程で、自分のやりたいことの中の親和領域から新しいビジネスを発想してもらう。その各人の得意業務・スキルを自他共に把握できるようデータベースなどで見える化するというのは解になるかもしれない。
・上司が全て指示しないで、従業員が自由に課題を見出し解決・対応をする小さな自主的タスクをこなしていく経験を積み重ねていくことも一つ有用なのではないかと思う。そのため、営業であれば、営業目標・ノルマ達成目的Onlyでない時間、バックオフィスであれば、事務だけをこなす目的Onlyでない時間を確保する・させることが重要だと思う。
・株式報酬というインセンティブ付けはあるが、株価は会社全体の評価なので、新事業の担当者の成果と、既存の高採算事業と不採算事業の担当者の実績が織り混ざるため、各事業に分かれて執行を担っている従業員にインセンティブを持たせるのは若干難しいように思う。
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