セテラ作品の思い出⑩アルデンテな男たちとは・・・・？？

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🇮🇹セテラ作品の思い出⑨ 『あしたのパスタはアルデンテ』との幸せな出会い
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色々な映画の配給のたびに、その作品と6カ月から8カ月くらい宣伝活動で付き合うことになりますが、『あしたのパスタはアルデンテ』ほど、楽しんで宣伝した映画はなかったかもしれません。

まずこの映画はイタリア映画でパスタ会社のファミリーの話なので、映画の打ち合わせやスタッフや関係者との食事をするときには、イタリアンレストランかトラットリアにしました。その都度新しいイタリアンの店を開拓しては行ったので、都内のイタリアンに詳しくなりました。また、必ず、映画のチラシを置いてもらえそうな店に行くことにしました。

お店の人に映画の話をすると、パスタの話の映画なら、と興味を持ってチラシを置いてもらえましたし、是非見に行くと言ってくれる店のオーナーもいました。独立系の映画ではそういう地道な草の根運動も大事です。

この映画が楽しい理由の一つには出演俳優が美形ばかりで、可愛いイタリアン男子がたくさん出ることで、セテラが配給する映画に必要な条件の一つは、イケメンが出ていることです。美しい男子の出演はセテラ・ガールズたちのモチベーションを上げるためにも必要です。前回お話したセテラ・ウォッチャーだった黒田邦雄さんも、とにかく男女問わず、人間だけでなくインテリアや様式などすべてにおいて”美しいもの”がお好きで美的センスが抜群な方なので、きれいな男優が出ている映画を買いつけた時には真っ先にお見せして評論していただきました。

主演のリッカルド・スカマルチョは、当時からイタリアのブラピと言われるほどのイタリアの大スターでしたが、独特の濃い存在感はさすが。悩める弟役を好演していました。先にゲイと告白して父親から勘当される兄、そしてスカマルチョの友人役として出てくる4人のアルデンテな男たちがまたみんな可愛らしく、一目でゲイとわかるのに、訪問先のコンサバな家族たちの手前隠そうとして大笑いします。おばあさんの回想シーンの恋人役まで美男で、監督はどれだけ美形を集めたら気が済むの？と。

（画像：スカマルチョと4人のアルデンテな男たち）

極めつけはスカマルチョに恋するアルバ役のニコール・グリマウド。彼女みたいな美人でスタイルもよくファッションも抜群なのに、スカマルチョが心動かされなくてちょっとかわいそうでした。海辺でアルデンテ・ボーイズたちと遊ぶ彼女の笑顔が何とも切なくて・・・。この映画の見どころはキャラクター豊かな出演者たちによるコメディドラマですが、ブルジョアのファミリーの素敵な家のインテリアや、マドンナやトラボルタも絶賛した抜群のサウンドトラックなどもありました。そして南イタリア、プーリア州のレッチェの町が舞台で、バロックの香りが町全体に漂って素敵な場所が次々と登場して、見どころを上げたらきりがありません。

（画像：アルバ役、ニコール・グリマウド）

公開時に、何度も見に来てそのたびに違う友人を連れて来てくれた人がいたり、とても愛された映画でした。東京はシネ・スイッチ銀座で上映していただきましたが、思い出しただけでも楽しかったな〜と思える映画で、映画公開後のスタッフの打ち上げはもちろんイタリアン・リストランテでした。しかし、とうとう最後まで、最初に惹かれたタイトル、アルデンテな男たち、アルデンテ・ボーイズって、どういう意味だろう？と考えましたが、誰もこれといった答えは出せませんでした。

山中陽子

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