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セテラ作品の思い出⑮ フランスの女優がエコロジーのドキュメンタリー映画を作ったら・・・

映画の買い付けはいつも私がポスターや写真で気に入って好きになったものだけを配給するわけではありません。昔は自分で決めて単独で社長の一声!で購入して“これを配給します”で絶対の権限がありましたが、最近は、スタッフが”これは難しい、ヒットしないと思う、“と言ったり、誰も社内で興味を示さずに見てもくれない、やりたくないオーラを発せられる場合は、すごすごと諦めることもあります。私も次第に年を取るわけで、驚いたことに31年間会社を続ける、ということは、会社を始めた年齢の2倍を超えてしまっていたわけです。若者にも従いますし、その間に映画の宣伝の仕方もどんどん変わり、新しい映画のプロモーション方法の波に乗る映画を買い付けすることも必要になってきます。
そういう中でフランスで口コミでどんどんヒットしているドキュメンタリーエコ映画『TOMORROW』があるという情報を入手しました。

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(フランスのポスタービジュアル)

シリル・ディオンとフランスの女優メラニー・ロランが共同監督をしている、どうしたら持続可能な世の中にできるのかを地球各地を巡って、明るい将来のための良い例を紹介していくエコロジーライフを提案する映画です。この映画を見たセテラ・ガールズは、早速この映画が気に入って熱心に次のような意見を言いました。

“日本でも受け入れられやすいテーマでしょうし、自主上映の希望もあるのでは? 社会的な関心をひくテーマとオシャレ感もあります。ローカルの視点も入ってるから地方にもいいと思います。農業やエネルギーだけではなく、教育やお金の話も出てきます。これからの未来の生き方を世界で考えよう、という映画です。世界からいいところのとりくみを学びあえて、視点も若者らしいfacebookみたいな繋がっていく映画で、映像もセンス良いです。”

ここまで熱心に勧められて、セテラ・ガールズたちのモチベーションも高いなら・・と配給を決めました。

フランス本国の動員も徐々に口コミで増えて40万人からどんどん増えて最終的にドキュメンタリーとしては異例の110万人を記録し、セザール賞のベストドキュメンタリー賞受賞のおまけまでつきました。
同時に、マイケル・ムーアの新作もエコロジーの話で似てるかも?配給は?ムーアは名前だけでひきがありそうだけど、ムーアがシニカルで攻撃的、メッセージ性の強いタイプだとすると、こちらはあったか系で、みんなでつながっていく、SNSみたいな映画で、提案型の映画で希望があります。自分たちで考えようというハンナ・アーレント的、ビートルズのイメージです、とリサーチと分析も熱心でした。

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農業、エネルギー、ビットコインなど、世界中それぞれに環境問題に取り組んでいる人たちがいて、みんな世界中でつながっているんだという、エコ活動ドキュメンタリーなので、メインの観客は、メラニー・ロランと同じ視点の2-30代の人たちに見てもらって広げるようにしていった方がいいと思うので、やはりFacebookやインスタなどSNS中心にWEB宣伝に力いれてく感じでしょうか。と、戦略もしっかりできていたようです。

そして、ただオシャレ感覚というだけでなく、環境問題に対して意識の高い人をちゃんと集めないといけないと思うので、やはり理想の劇場はイメージフォーラムだと思い映画チケットもエコを考えるとオンライン券だけにするとか、この作品のチラシとかには、エコマークいれたいです!と、セテラ・ガールズたちで劇場も決まりました。

結果、全国の映画館だけでなく自主上映団体からも大変オファーの多いまさに活発なドキュメンタリーがこの『TOMORROW パーマネントライフを探して』なのです。

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本作の自主上映については別記事を用意しましたので、こちらをご覧ください。

山中陽子

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本作品監督シリル・ディオンの著書『未来を創造する物語: 現代のレジスタンス実践ガイド』が2020年4月より日本でも発売となりました。書籍と合わせて本作もお楽しみください。

未来を創造する物語: 現代のレジスタンス実践ガイド
シリル・ディオン著 丸山亮・竹上沙希子訳


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