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「黒縁メガネとフラットシューズと、うっすいファンデ」でできてる女の子

就活とは少し関係ないんだけれど、3年くらい昔の話をばと思いまして。


大学1年の夏、アルバイト先の母校の高校が夏季休暇に入ると同時に収入を失った私は、短期単発バイトでお小遣い稼ぎをしようと考えました。

ただ就活もそうなんですけど、なんだってかんだって、いつだってそういう類は簡単なはずがなく
例えば本の校正のバイトに申し込んだと思ったら、説明会では「倉庫で肉体労働をしてもらうので、出勤の時には軍手とカッターを持参してください」と、募集案内時とは全く違う話をされたり
イベントの翻訳スタッフに応募したら「どうして貴女のような学歴の人がこんなところにいるんですか?もっといいところあったでしょう?」と謎の嫌味を食らったり…とまぁそこそこ奮わない職探しをしていたのですが

その中の一つに某業界の店頭営業というものがありました。窓口案内?詳細はもう朧げにしか覚えていませんが。
選考会では10人くらいの前で自己紹介とアピールをしてください。と言われ、なんか言ったんですよね。なんだったかな…ミュージカルを上演したり人前でプレゼンする機会が何かと多かったから、人前で話すことには慣れてます。とかそんな感じのことを言った、気がしなくもない。

選考会が終わって30分もしないうちに電話がかかってきて
「選考の結果、来週からお仕事に入ってもらおうと思います」と。
わぁ嬉しい、ようやっとお仕事見つかった!と思ったその時、電話の向こうからちょっと歯切れの悪い、お姉さんの遠慮がちな「あのぅ」が聞こえてきました。


「あのぅ、業務中メガネを外すことはできますか?」


一瞬何言われてるか分かりませんでした。ただ、もしかしてと思い
「メガネをかけていると安全上何か問題がある、ということでしょうか?」と伺ったところ

「そういう事ではなく…ただ店頭受付のスタッフなので、見栄えが、華やかさに欠けますので。コンタクトレンズを付けられますか?」

当時(というか今もですが)私は黒縁のメガネをかけていました。

華やかさにかける…とは…?
もしかして今、私知らない惑星にいる…?
最早そういうレベルの「謎」まさに宇宙ネコ。

実は選考会の時には、3人ほど男性の方がいらっしゃって、そのうちの1人はメガネさんでした。なんだか悔しくなった私は
「あの、今日1人男性の方でメガネをかけていた方がいらしてたと思うのですが、その方にも同じようにメガネを外すよう仰ったのでしょうか?」
と聞いてみましたが、それについては一切回答がありませんでした(まぁ当然か)

メガネを外さない、ということでしたら、今回の合格は「保留」とさせていただきます。コンタクトレンズを買ったらまた連絡してください。

それで終わりました。



実は高校時代を女子校で過ごした私は3年間、メガネがどうたらこうたら、という話をされたことがなかったんです。
ずーっと昔、中学校時代の3年間は、友人の女の子たちが

「アメリもメガネ外してコンタクトにしなよ。ほらAちゃん見て、アメリはメガネ外した方が可愛いよねえ。メガネっ子はモテないよ〜?」
「髪は長くなきゃ女の子らしくないよ?」
「足を長く見せるためにくるぶしソックス履いて、スカートを2段折るの(※ちなみに二つとも校則違反ですw」

と強迫観念にでも駆られているかのように「女の子らしさ」を求めて過ごしていました。人気になるために。モテるために。「女子」として確実に市民権を得るために。(そして、その「女の子らしさ」に当てはまらないと即刻異端者扱いなんですよねえ、ああいう空間)
ちなみに、そんな友人のありがたいアドバイスに、当時の私はどうしたかというと

「私の勝手よ、放って置いて」と言いながら
メガネはそのまま
髪をバッサリ男の子のように切って
スカートは膝下5cmにもなるロングに新調しました。
要は反抗したんですね。だって単純に "disgusting" だったんだもん。

そしてそういう「他人のための『女の子らしさ』の強要」から逃げたくて、高校は手っ取り早く女子校へ進学しました。
そしてちゃんと逃げられたんです。3年間。あの場所では誰も「女の子はこういう格好をしなきゃ云々メガネが云々」なんてクダラナイ話をしてきませんでした。アリガテェ。なんなら私、男装まがいのユニフォームで学校通ってましたし笑(スラックスが用意されていました)

そんなヌックヌクの環境に慣れきったまま大学に進学し、バイトを探した矢先の「アレ」です。
いつだって「冷水を浴びせてくれる」のは社会に揉まれた大人たち。…まぁそれもまた偏見かもしれないけど。


さて話を戻します。
受付嬢のお仕事を逃した私は、全く別の、今度はホテルのホールのバイトに申し込みました。
ただ、私ってばバカなので、仕事の説明と簡単な面接をされ無事に採用のお知らせを頂いたその瞬間に、大事な事を思い出したんです。
実はその時、ちょっとした諸事情で靴を買えない場所に滞在していた関係で、持っていた靴が黒革のフラットシューズしかありませんでした。しかもホテル。いかにも、受付嬢よりも「華やかさ」に気を配ってそうな職場じゃありませんか?

ああー!やらかしたー!!と思いながら恐る恐る、フラットシューズで勤務するだろうという事、そして顔面に黒縁メガネを装備していることを説明しました。これでも大丈夫でしょうか…?と。
その時は、まずメガネは問題ない。靴は現場で確認してもらって、もしNGだったら予備を貸します。と言われました。

お仕事当日、現場にてバイト指導担当のお姉さんに靴を見せて
「精一杯綺麗に見えるように磨いては来たのですが、やはりハイヒールとかパンプスじゃないとダメでしょうか?」
と聞きました。するとお姉さん

「黒革でしょう?スニーカーじゃないなら大丈夫よ。貴女まだ18なのに、かかとの高い靴なんか履いたら足に悪いわ。この仕事、3時間は椅子に座れないから足死ぬんだもの(聖母の微笑み」
って。
びっくり、なんてもんじゃありませんでしたが、お言葉に甘えてそのままフラットシューズで仕事をしました。
ちなみに当時はまだ、かの「#KuToo」のKの字も無かった頃です。


今でもふと思い出した時には「なんだったんだろう、あの対応の差…」とはなりますが、この一連の出来事の1年後くらいに「女子の職場メガネNG」について議論が起きていたので、その時は

「いいぞもっとやれw」

って思ってました。



私だって、「お砂糖とスパイスと素敵な何か」でできた女の子に生まれたかった気が、しないわけでは無いんです。
しかし残念ながら外見はタイトルの通り「黒縁メガネとフラットシューズと、うっすいファンデ」、そんでもって中身は「塩と胡椒と『異端』な何か」でできたような女の子なのですねー…はぁー(クソデカため息)

去年だったか、男友達に「アメリはコンタクトレンズにしないの?大学生になったんだしその方が良いと思うんだけど」と聞かれた時は

「ああそうね、したくなったらするわ。
でも今はいい。面倒。そのために処方箋をもらいに行くのも、安いコンタクトレンズを探すのも、時間をかけて指を目に突っ込むのも。アレって慣れるまで大変なんでしょう?」

そう答えました。


ただ私がズボラなだけなのかもしれないけれど、ここまで長々書いてきても、私にはやっぱり分からないんです。
「誰かのために、髪型をどうにかする、服装をどうにかする、コンタクトレンズをつける」
っていうのが。
メガネが場の華やかさを削ぐってのも、全く分からない。
好きな格好させてくれれば良いのに。私がどんな格好してたって、貴方の人生にはミリほども関係ないのに。それに、メガネっ子が店頭にいたって、「うわっこいつメガネだ不愉快不愉快」とかって、なります?

そんで私の情操教育みたいなのがぶっ飛んでるのかな、よくある「男の子にモテる髪の毛!メイク!ネイルで指先の女子力をアピールしよう!」…そんなこと言われても「へぇーえっと、だから?」としかならないんですね。

髪の毛いくら整えたって、年がら年中頭上に降ってくる木クズとシャクトリムシに全てを台無しにされる大学にいるからなのか、それともやっぱり私の感覚がどっかおかしいのか笑
指先ネイルも、かわいいなとは思いますけどそんなことしたら、ピアノ弾く時には鍵盤カッツカツうるさくなるし、何よりお米ってどうやって研ぐんです?

別に、そういう格好をするかわいい女の子たちを否定するつもりは全くありません。おしゃれは労力もセンスも要りますから、尊敬します。
ただ単純に、私にはあまりよくわからないってだけの話であって。



黒縁メガネ、黒髪を後ろに束ねて、顔面は薄いファンデ。お洋服も流行とはかけ離れた場所にいて…
今は大学が、環境が私を許してくれています。嬉しいことにこの4年間、「誰かのためじゃない、自分の好きな格好でいればいい」という価値観の友人に囲まれて過ごしてきました。それに実の所、おしゃれよりも勉強の方に労力を割きたい子が多かったのも事実です。

でも社会は?分かりません。もしかしたら許してくれないかも。
多様性だ、個性の尊重だって言ったって、今の社会じゃたかが知れてる...といったら口が悪すぎますね、まぁ限界があると思うんです。
また、かの「ちょっとませた女の子たち」みたいに「女性らしい格好、女性らしいヘアスタイル、女性らしい華やかさ」を求められる、かもしれません。


きっとこればかりは、蓋を開けてみなけりゃわからない。
でももしまた中学当時のような事が日常の風景になったら、今度こそ私はどうすれば良いのかな…ってちょっと思います。


そんな山もオチもない、私の考え事でした。長々とお付き合いいただきありがとうございました。笑

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