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【女性に優しいサロン】失われたものがファンタジーとなり憧れを抱く、という原理<後編>

私の周りにはパワフルで
魅力的な女性がたくさんいます。
そんな彼女たちですが、
この数年を見ていると
「マインドや人生を変えた」
方々を多く見受けます。
自身もその内の一人。
リアルに体現しているからこそ、
彼女達も何故このタイミングなのか、
年齢的なものか、
そしてどう変わっていったのかを
お聞きしたいと強く感じました。
仕事のことや身体のこと、
将来のことで
立ち止まって悩んでいる女性たちへ。
お話の中から
ちょっとしたヒントを頂き、
人生の一歩を踏み出しましょう。
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第五回目のゲストは、旦那様との話し合いを幾重にも重ね、セカンドステージへ進んだ坂東さん(Bさん)。彼との関係上、老後先体験と笑って話していた彼女がとても印象的でした。そして、新しいことを初める年齢は、何歳からでも遅くないとも。

後半では、アパレル業界の内情とこれからの小さな会社のスキームについて、お聞きしました。<後編>

◼︎サロンオーナー(M)
ー折角なので、アパレル業界についてお話しを伺おうと思います。業界自体は他分野に比べて縮小の一途を辿っていると思います。それに至る原因は、様々な記事でありますから、ここではあえて取り上げませんが、Bさんが新しく立ち上げたブランドは、どういうポジションや方向性を考えていますか?

◼︎ Bさん
人口が減っているので購買数も減る、縮小していくのは当然だと思う。私たちのブランドに限らず、小さなブランドはよりニッチなマーケットを狙っていくんじゃないかな。1万人を狙うより、一千人を狙うような。少しでも賛同者がいればいいという共感理念にはなると思っている。
反対に、ユニクロなどの大企業はボリューム層がターゲットなので、そこはパワーやお金がある企業がやればいいと思う。
しかしここ数年、みんながそこを狙ってしまったのが、ショッピングセンターやモールで洋服が同質化、オーバーストアに繋がってしまった原因だと思う。

◼︎M
Bさんは、前職でセレクトショップのオリジナル企画をしていたから詳しいね。

◼︎ Bさん
大手企業やセレクトショップのオリジナルなどは売れる価格帯というものがあるからね。プライスありきでモノを作る。今では、燃料や工賃が上がってきている分、素材や縫製の工程を省くことで、プライスを保てている。そのことがクオリティを下げる原因に繋がる。

もちろん、モノありきで商品を作っているブランドもあるけれど、非常に少ないよね。ニットは専門的な分野でもあるから、その中でも少ないと思う。私と彼はニットオタクみたいなところもあるし、繊維業畑で糸に詳しい彼と2人で組んだら最強!なんて(笑)。

二人でやれることは、やっぱりニットしかない、そこに特化しよう、と。
勤め人時代はマーケティングありきのモノづくりが当たり前だったから、モノありきで作っていきたいと思っている。

仕事場に刺繍ミシンも入れて、ブランドネームも彼女が製作。

◼︎M
もう少し突っ込んで聞いてみようかな。

ー今でもすでに原材料費が上がってきています。今後円安も進んで今年いっぱいは、更に高騰すると思います。糸自体は海外からの輸入ですよね。
その辺はブランドのプライスに影響されてくるのかな?

◼︎ Bさん
そうですね。カシミヤなどの素材を使わない限り、凄く上げることはないと思うけれど、多少は上げざるをえないと思います。

◼︎M
ですが、多くの人の給与は上がらないですよね。そこはどう思いますか?

◼︎ Bさん
今年の春が初めての展示会でした。この秋からお取引が始まるお店さんで、紹介を兼ねて受注会をやらせてもらえたのです。すると、地方でも景気に左右されない、リッチなお客様が一定数いることに驚きました。プライスが上がると、若年層は厳しいと思いますが、より作るものをニッチな方向へ。そしてマーケットを間違えず選んでいければ、お客さんはいることに気づきました。

◼︎M
なるほど。

◼︎ Bさん
大手企業では、減価率はある程度一定で、どれか一つが高くてもダメだったりするけれど、私たちは、最終的にトータルの利益を生み出せればいいと思っていて。
すると、コストが上がっても、一部の商品は原価率を調整することで、プライスへの影響も少なく出来ると思っています。

セオリーに縛られずに、トライ&エラーを繰り返していけることこそ、自分たちでやっている醍醐味ですから。

◼︎M
そうですね。たしかに、利益を生み会社を経営することもデザインすることと同じです。
セオリーは何一つない。

◼︎ Bさん
長年アパレル業界にいると、毎年、「売り上げを前年比の10%伸ばしましょう。」というような予算が当たり前です。すると、毎年予算が上がっていきますよね。その為に出店し、お店を増やす。「全国で何十店舗になりました、売り上げ増えます。」みたいな。そういうマーケティングの理論がある。

◼︎M
現在問題になっているファッションロスの一つにもなりますね。過剰生産による余剰在庫、ましてや廃棄問題に繋がる大企業のマーケティング理論。作ることで売上を計上し、在庫が出ても焼却して終わり。そこに掛かるコストやゴミとして処分する環境問題へも繋がることなのに。まだまだ一部の企業では引き続いていますよね。

ー環境問題について何か取り組みをしていますか?

◼︎ Bさん
私たちはブランドの規模をしっかり把握し、受注生産することでロスを最小限にしています。

以前、NHKのプロフェッショナルで笹団子を作っているおばあちゃんが特集されていました。笹を取りに行くとこから始まり、全部1人で作っていて。もちろん、数は作れません。ですが、ものすごく誠実に作っていました。私はそれを見て、物作りに対する姿勢そのものが、その笹団子をみんなが欲しがり、買い求めている理由の一つではないか、と思ったのです。

若い子の中には、昭和レトロに憧れる子も多いですよね。それには、失われたものがファンタジーとなり憧れを抱く、という原理があると思います。世の中にある大半は、生産性や利益を考えて作られています。すると丁寧な物作りは、中々難しい。

◼︎M
物作りに対する姿勢=ファンタジーだと!

◼︎ Bさん
だから私たちも、おじさんとおばさんが始めたブランドなのだから、 成功や目先の利益は少し置いておいて、ファンタジーに近いようなモノづくりをしていこうと思っています。そしてきっと自分たちの価値はそこにあるのではないかと。そんな面倒くさい事は、企業では出来ないというところに価値がある。

2023年春夏に向けて試作中。
「自分達が本当に欲しいと思う雰囲気に仕上がるまで延々と続く作業。この時間が一番楽しい。」というBさん。

◼︎M
いいですね!

ー糸から紡ぐ、糸染めを自ら行うという考えは、なかったのですか?

◼︎ Bさん
綿(わた)から紡ぐということかな?
手を掛けて良いものを作りたいというのが基本ですが、 クラフト作家になりたいわけじゃない。あくまで、やはり工業製品、プロダクト。

私たちは、彼が糸をミックスして創りだす、思いもかけないニュアンスを、私が最大限に活かす。決して、新しいものを作ろう、他にはないものを作ろうと思ってはいません。
たまたま一番いい形として仕上げたら、たまたま他にはないものが出来た、というところ。それが、私たちのストーリーになってゆければいいですね。

◼︎M
無限に広げられるところが、ニットの面白さ、それがストーリーになる。


ゆるやかに、スローに。
まさにしなやかな生き方のBさんそのものですね。
お話しを伺い、ポジティブなマインドセットが大切なんだと強く感じました。
これからも作品を楽しみにしています!


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