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実践と活用を重視した教育学

教育探究科学群における「教育学」は、別記事で書いたように、以下の日本学術会議の教育学の定義に依拠しています。

「教育学とは、ある社会・文化における人間の生成・発達と学習の過程、及びその環境に働きかける教育という営みを対象とする様々な学問領域の総称である。教育は人間の生涯にわたって、また、学校、家庭、地域、職場などおよそ人間が生活するあらゆる場所で行われる。教育学はこのような教育という営みの目的、内容、方法、機能、制度、歴史などについて、規範的、実証的、実践的にアプローチする学問分野である。」

日本学術会議「分野別参照基準ー教育学」

実践と活用
今回は、教育探究科学群におけるもう一つの「教育」に対する価値観を紹介します。

Education is the acquisition of the art of the utilization of knowledge.
(教育とは知識を活用する技能を身に付けることである。)

A. N. Whitehead, 1929, “The Aims of Education”, p.4

日本において、「学校の先生になりたい=教育学部へ行く」は、一般的な教育学の見方になっています。しかし、教育探究科学群は教員養成課程を持たない教育学系の学群です。その中で、ひとつ大きな特徴としていることは、学びの過程において、実践と活用を重視していることにあります。
実習やフィールドワークはもとより、日常的な授業においても、「教えて学ぶ」のコンセプトの実践を通じ、それぞれの授業で獲得した教育学関連の知識や技術を日々活用していきます。教育と実践を切り離すことなく、知識と応用の統合を当たり前のものと捉えています。

例えば、英語の科目(通称:Speak Out)は教育探究科学群の大きな特徴の一つで、カナダのバンクーバーを主たる居住地とする教育探究科学群の専任教員を中心に運営をされるものです。ここでは、TOEIC等の語学試験の点数を上げるといった目的ではなく、言語の活用と運用に特化した教育プログラムを展開していきます(教育探究科学群におけるカナダのことは、またどこかでちゃんと書きます…)。

一般的な教員養成課程においても、教育実習をはじめとする実践的な学びが行われていますが、その目的は学校の先生になるためというのが基本です。しかし、教育探究科学群では、教育が生涯にわたってあらゆる場所でなされるものとした上で、いつでもどこでも使える知識や技術を身に付けるための実践を重ねていくことに焦点をあてています。

もちろん、大学としても学問としても理論は大事ですし、実際に学ぶ機会も用意されています。ただ、教育探究科学群においては、まずやってみよう精神というか、理論よりも実践が先んじている傾向にあります。これは、今改めて振り返ってみると、構想者(筆者)の価値観を多少反映しているものだと思います。教育学の学びを進めていく中で、実践とか活用とか運用とか、実際に使ったり、実際に試したりすることを大事にしています。ここら辺の実践や実験重視の姿勢は、こちらもそのうち後述するであろう探究とか科学とも親和性が高いかもしれません。

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