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教えて、学ぶ

教育探究科学群のコンセプト

Homines dum docent discuntはラテン語の格言的なもので、人は教える間に学んでいるという意味です。ローマ帝国の哲学者・政治家であるセネカさんという方が『ルキリウスへの倫理的書簡』の中に記したものだそうです。そして、教育探究科学群のコンセプトは「教えて、学ぶ」となっています。

教育探究科学群の基本的な学習スタイルは、同学年あるいは異なる学年同士の学びあいであり、学生は他の学生に教える活動から自らの学びや理解を深めていくものです。学生同士が相互に教え、学びあう形式を積極的に採用することにより、教育学の知見を活かしつつ、自他の成長に繋がる学びを目指していきます。

「教えて、学ぶ」を実践するために、教員の役割も異なり、講義型授業による知識の伝達だけでなく、ファシリテーションを通じた学習活動の促進にも積極的に関わり、教員であると同時に、学修者である学生さん中心の学びを支えていく役割も担っています。

年齢主義への挑戦

日本の学校教育のイメージでは、「教えて、学ぶ」というと、先輩が後輩に教えるイメージを持たれやすいですが、教育探究科学群では、学習者の共同体という理念のもと、先輩後輩や年齢に関わらず、相互に「教えて、学ぶ」を実践していける場にしたいと考えています。
日本社会における年齢の影響力は強く、年功序列の考え方もまだまだ強いため、難しいチャレンジになると思いますが、学習者の共同体を実現させるためには、上から下に教えるということだけでなく、年齢の上下に関わらずそこに関わる全ての人に「教えて、学ぶ」意欲が必要です。
また、この考え方は、学生さんに留まるものではなく、教員もまた同様の価値観を持っています。ただ授業をして研究をするだけでなく、学生さんを教える中で学び、ある時は学生さんから教わりながら、常に成長を続けていくことが求められます。

学而事人

桜美林学園のモットー(信念や行動指針)は、学而事人(がくじじじん:学んだことを人々や社会のために役立てる)です。教育探究科学群は、教育学のニュースタイルを標榜し、様々な新しい取り組みをしていきたいと考えながら作ってきたものですが、同時に、一私立大学としての原点回帰へのこだわりも持っています。

「教えて、学ぶ」は、学んだことを人のために役立てるという学而事人そのものであると定義しています。桜美林大学の全ての学群において、もちろんこのモットーは反映されていると思いますが、教育探究科学群は、より強く、明確に、学群のコンセプトとしてモットーを埋め込みながらカリキュラムを築いています。卒業後に学んだことを人々や社会のために役立てることだけでなく、在学中から日常的に、自らの学んだことを自分にも他者にも活かしていく場所にしたいと考えています。

教育探究科学群の構想は、個人としては一高等教育分野の研究者として、また、私立大学の振興や推進に関わる者として、私立大学の改革はどうあるべきなのかを考える取り組みでもあったと思います。その中で、社会の流行りやトレンドといった社会的ニーズに応えるだけでなく、桜美林学園の原点に立ち返っての大学改革が一つの道だと捉え、多くの方々と協力しながら教育探究科学群を作ってきました。

教育探究科学群の「教えて、学ぶ」は、学群のコンセプトであり、桜美林学園のモットーでもあることを知って頂けたら嬉しいです。


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