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はじまりは好奇心

はじまりは好奇心

教育探究科学群は、色々なところで「はじまりは好奇心」であると話をしています。これは、最近の教育改革の議論の中で、「データ人材」、「グローバル人材」、「社会に役立つ人材」、「企業の求める人材」などなど…とにかく「人材」になれということが言われていて、高校生や大学生に対する人材像の押し付けがちょっと嫌だなと思ったのがキッカケです。もちろん、社会に役立つことはとても大事だし、生きていく上で仕事をするのも大事であり、求められる人材になるのも一つの選択肢だとは思います。
ただ、教育探究科学群としては、周りから役立てと言われてやるのではなく、本人のやりたいことが先立つべきだと考えています。また、そもそも本人が社会の役に立ちたいとか、人の役に立ちたいと思えるような社会であるべきであり、そう思えない若い子が多いとするのであれば、それはむしろ大人に責任がある気がします。
「人材の前に人間」そのために必要なものは好奇心や興味関心であると考えています。

教職員も同じ

はじまりは好奇心といった好奇心や本人の興味関心を重視する考えは、学生さんだけでなく、教職員の皆さんにも同じことを求めています。授業を進めていく上で、教員が楽しくやっていたり、一生懸命取り組んでいたりするのは、学群の教育の中で大事な要素だと思っています。そのため、先生については、研究者としての実績だけでなく、学生さんを対象とした研究に対する意欲や教育への意識を持っている方で構成をしています。
また、教育探究科学群の構想議論では、教職員の区別をしておらず、対等に意見を言い合い、職員さんの立場から見て面白そうなこと、学生さんのためになりそうなこと、今までの大学でやってこなかったことを色々考えてきました。日本の大学では、まだまだ職員の方はサポートだけをする補助的な役割とみる風潮も多々見られるのですが、教育探究科学群は職員の方にもまた本人のやりたいことを積極的に発信をしてもらっています。
教育探究科学群の組織の在り方のイメージは、学生中心ではあるのですが、イメージをしているのは学生中心主義というよりは、むしろ学習者中心のコミュニティであり、この学習者は教職員も含めて考えています。

好奇心を取り巻く社会的背景

好奇心重視の必要性を説明するための社会的な背景としては、令和2年版科学技術白書の「2040年の未来予測―科学技術が広げる未来社会(以下、2040年の未来予測)」に依拠しています。これは、科学技術や社会のトレンド把握(スキャニング法)、社会の未来像検討(ビジョニング法)、科学技術の未来像検討(デルファイ法)、科学技術の発展による社会の未来像検討(シナリオ法)の4手法を組み合わせ、様々な情報源からの情報収集やステークホルダーに対する調査やワークショップ等により実施されたものです。その成果の一部である「基本シナリオ」では、Humanity「変わりゆく生き方」、Inclusion「誰一人取り残さない」、Sustainability「持続可能な日本」、Curiosity「不滅の好奇心」の4つの価値を示し、そのうえで2040年に目指す社会は「人間性の再興・再考による柔軟な社会」であるとしています。Society5.0の社会に相応しい者を育成していく中で、人間らしさや幸福、コミュニティの価値の向上、異なる特徴を持つ人々が個々の特徴を理解し、それらがつながることでの進化、資源やエネルギーの持続可能性と市民活動の重視、探究心が求められるとしたうえで、「人間」に焦点を当てている特徴があると思います。

4つの価値と50の未来像
https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa202001/detail/1421221_00005.html



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