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~西洋医学の歴史と問題点~『医学の祖』が信じた「自然治癒力」と、それを否定した"『現代医学の父』"、追放された"消毒法の先駆者"

コ〇ナ禍以降、世間一般の医療への関心が以前より高まったように思います。
ただ、一方でコロ〇後遺症で悩む人たちに対しての治療方法が、発症原因がわからない故に鎮痛薬や抗不安薬、睡眠薬の服用などに限定され、根本的な解決につながらないケースが多かった、そういった話もよく聞きます。

西洋医学というのは、身体をパーツと捉え、パーツ毎の病気の原因を手術や薬で除去する対症療法が中心で、即効性があり、結果が直ぐに出るというメリットがあるものの、一方でパーツ毎に区切る事で病気の原因が分かりにくくなる、体質を改善するなどの病気の根本的な治療が難しい、検査や治療の成果が見られない場合の心身への負担が大きい上に、薬を長期的に服用することでかえって他の病気を招くリスクがある、といったデメリットがあります。

そういった西洋医学の考え方やその問題点、そもそも現代において、医学=西洋医学となっている事については、あまり語られることがなく、とりあえず病気になったら病院で診察を受け、医師の指示に従い薬を飲む、それが当たり前になっているように感じます。

今回は歴史を遡り、今の医学の流れが生まれたきっかけについて書いていこうと思います。


◆『医学の祖』ヒポクラテス

ヒポクラテスは紀元前 5 世紀にエーゲ海のコス 島に生まれたギリシャの医師で、それまでの呪術的医療と異なり、健康・病気を自然の現象と考え、 科学に基づく医学の基礎を作ったことで「医学の祖」と称されています。

「人は生まれながら100人の名医(自然治癒力)を持っている」、に始まり、ヒポクラテスの数多くの箴言は、今日まで伝承され、医聖として今も称えられています。

ヒポクラテスは、原始的な医学から呪術や迷信を切り離し、人に元々備わる「自然治癒力」を医療の基本として「患者に利すると思う治療を選択し、害と知る治療を決して選択しない」「まずは害することなかれ」と説きました。
欧米の大学医学部の卒業式では、学生達は現在でもヒポクラテスが自ら誓ったこのくだりで始まる「ヒポクラテスの誓いに」誓いを立て唱和するといいます。

◆『現代医学の父』ルドルフ・フィルヒョウ

時は流れ、19世紀、
プロイセン王国・ポンメルンのシフェルバイン(現:ポーランドの西ポモージェ県シフィドビン)に生まれたルドルフ・フィルヒョウは、プロシアの陸軍士官学校で医学を学び、医師となるも、病理学、生物学、人類学、民俗学、考古学などの各分野で多大な業績を残しました
特に病理学では、細胞病理学、比較病理学の分野の基礎を確立し、癌の発生原因として刺激説を提唱し、『現代医学の父』と呼ばれることもあります。

フィルヒョウは、
「病気のもとは細胞にある」、
「すべての細胞は細胞から」、という格言を残し、
当時主流だった生気論(生命に非生物にはない特別な力を認め、生命現象には物理学及び化学の法則だけでは説明できない独特の原理があるとする説)の発想は、こういった細胞の見方によって否定的に捉えられることになり、その逆の機械論あるいは物理(化学)還元主義的な発想が細胞と結びつく事になります。

機械論というのは、簡単に言えば人の体は物質の集まりで、すべては物理的・科学的に説明できるという考え方です。

機械論を源流とする現代医学では、病気の原因は“臓器”や“器官”(=機械の部品)にあると考えるために、病気の原因は特定の臓器・器官・組織にある(特定病因論)とされます。
その考え方により、身体をパーツと捉え、パーツ毎の病気の原因を手術や薬で除去する対症療法が中心となっていったのです。

前述のヒポクラテスの考え方とは違い、人間の身体自体が治癒力を持っているという事は信じていなかったようです。

極端な話、フィルヒョウの細胞病理学説が浸透した結果、前述のように病気になったら病気は病院に行って、薬や手術で治療するもの、という価値観になっていった、とも言えると思います。

◆非業の死を遂げた、『消毒法の先駆者』センメルヴェイス

センメルヴェイス・イグナーツは1818年7月1日にブダ近郊のタバーン(現在はブダペストの一部)で生まれました。

19世紀中ごろには産褥熱(感染症の一種)の発生数が多く、産婦の死亡率も高かった。
特にウィーン総合病院に勤務していたセンメルヴェイスは、産褥熱の発生数を調査し、産科医が次亜塩素酸カルシウムで手を消毒することで劇的に産婦の死亡率を下げることが出来ることを発見し、『産褥熱の病理、概要と予防法』と題した本にまとめて出版しました。

センメルヴェイスは手洗い法が死亡率を1パーセント未満にまで下げられる科学的な証拠を数多く示しましたが、この方法は当時の医学界に受け入れられず、むしろ彼に怒りを示したり嘲笑したりする医師さえいたのです。
その中には、前述の『現代医学の父』フィルヒョウもいました。

当時最大の病理学者であるフィルヒョウの反対は影響力が大きく、センメルヴェイスはウィーンからハンガリーへ去る事になります。

一方のフィルヒョウは、「医療はすべて政治であり、政治とは大規模な医療にほかならない」 と宣言し、公衆衛生の改善を強く訴え、政治家として活動するようになります。

その後、センメルヴェイスは度を過ぎた大酒をあおるようになり、1865年、神経衰弱に陥っているという事で、同僚の手引きで精神科病棟に入れられ、何度も脱走を試みるも、衛兵から暴行を受けた際の傷がもとで、47歳にして非業の死を遂げる事になります。

しかし、センメルヴェイスの死後数年を経て、ルイ・パスツールが細菌論を、ジョセフ・リスターが消毒法を確立し、センメルヴェイスの理論は広く認められるようになりました。

そして皮肉なことに、コ〇ナ禍にあってWHO(世界保健機構)は感染予防の最も有効な手段の一つとして、手洗いを推奨しました。
「だから手を洗えと言っただろう」と怒るセンメルヴェイスの姿が目に浮かぶようです。

ちなみに、日本の神社には「手水舎」という、参拝前に手や口を清めるための場所があります。
古来より、参拝前の身の清めは「禊(みそぎ)」と呼ばれ、風習化していきました。
あるいは、本能的に病気という名の穢れを、手を洗う事で清められると感じていたのかもしれません。

◆現代医療の問題

あくまで現代医学の中心は対症療法で、「自然治癒力」は医療にとってはタブーとなっています。
医学大辞典、広辞苑、百科事典にさえも、この自然治癒力という言葉は出てこず、もちろん医大の教育でも自然治癒力を説くカリキュラムは存在しません。

全ての病気が自然治癒力で改善するとまでは言いませんが、例えば、風邪の処方薬のほとんどは、咳や熱などの症状の緩和しかできず、実際には体の中の免疫機能が病原菌と戦っています。
新型コ〇ナウィルスですら、薬もワク〇ンもそれら免疫機能を助けるものでしかありません。

ですが、現代医療の常識は、病気は医者が「薬」を使って「病院」で治すということになってしまっており、現代医療では薬物に依存しないで病気を治す手法は正当な治療法ではなく、あくまでも胡散臭い治療法と捉えています。

そして、薬による治療は製薬会社に多大な利益をもたらし、医療はもはや利権となっています。

さらに言えば、医者は「治療のガイドライン」に沿った薬物治療さえ間違いなくしておけば、患者が死のうがどうなろうが、まず自分の身だけは守れるように「システム」ができています。

◆薬が身体を蝕む?

『知ってはいけない薬のカラクリ』の著者の谷本哲也医師によれば、日本人は世界で2番目に薬にお金を使っています。
谷本医師いわく「日本人は世界有数の薬好き」というわけです。

特に高齢になると複数の持病を持つ人が増加し、それに伴い薬局で処方される薬の種類と量も多くなり、75歳以上では5種類以上の薬を服用している人が4割以上にも達しています。
これを「多剤服用」といい、多剤服用によって副作用などの有害事象を起こすことを「ポリファーマシー」と呼び、近年問題になっています。

そもそも「薬はリスク」と昔から言われるように、元来、毒と紙一重です。太古の昔からの試行錯誤と犠牲の上に、薬として使える毒物の種類や量が見極められ、慎重に使われてきました。その基本は現代も変わりません。
効果と副作用を切り離すことはできないのです。

ここで、『医学の祖』の言葉に立ち返りたいと思います。

「患者に利すると思う治療を選択し、害と知る治療を決して選択しない」
「まずは害することなかれ」

海外ではむしろ薬を使わない治療にシフトしつつあります。

例えば、アメリカなどでは抗がん剤を使わないがん治療が行われています。

抗がん剤はがんを治す上で無意味であり、むしろがんを増やす結果になっていると公表されたからです。

日本ではそういったことは報道されません。
それは儲からないからです。

◆現代型免疫低下がもたらすもの

『自然治癒力』の中には免疫力も含まれます。

免疫力は通常、20歳前後がピークであり、加齢とともに低下していきます。しかし、現代社会では、加齢とは関係なく免疫機能が低下している傾向がみられます。
これは現代型免疫低下と呼ばれるものです。

現代型免疫低下とは、生活環境や生活スタイルの現代化によって引き起こされた免疫機能の低下を指します。
低下の原因は、現代人の生活が24時間社会となることで、不規則でストレスフルな生活を送る人が増加したことです。
さらに、昔よりも衛生的な環境になったことで、感染症などに侵される機会が少なくなり、免疫が適切に機能しづらくなっていることも原因の1つだといえます。

現代型免疫低下の状態になってしまうと、風邪やインフルエンザにかかりやすくなり、かかったときにも症状が重くなって、ここぞという重要なときに寝こんでしまい、本来の能力を発揮できない可能性があります。

そして、現代人の生活スタイルの中では、免疫が低下している事は病気になるまでなかなか自覚できない事が多いです。

◆病気になる事が前提の社会

日本は平均寿命が男女で世界一となっているものの、一方で寝たきりの期間も世界一となっており、平均寿命と健康寿命との差が男性は8.73年、女性では12.07年もあり、この差は世界の中でも決して短くはありません。
(この差が問題かどうかについては異論もありますが)

日本は医療レベルが高く、制度によって医療費が比較的安いため、病院にも行きやすい事が寿命が延びている理由の一つと言われていますが、それは病気になる事が前提で、手術や薬を飲む事でとりあえず延命している、根本的な資料や体質改善を後回しにしている、とも言えると思います。

僕自身、実はあまり病院に行く事を好んではいません。
病院が必要がないとは思っていませんが、何でもかんでも病院に行き、薬を飲むことが必ずしも本質的な健康に繋がるとは言えないと思っています。

むしろ、大事なのはまず病気にならないように予防する事。

センメルヴェイスの言う通り、昨今問題となっている感染症の予防として手洗いなど衛生面に気を付ける事は勿論ですが、日本人の死因の上位を占める、がんや心臓病、脳卒中といった生活習慣病の対策として、運動習慣を持つこと、栄養バランスのとれた食事を規則正しく摂る事、禁煙、節酒、質のよい睡眠を取る事、ストレスとなる問題を解決する事などの生活習慣の改善を行い、健康寿命を延ばす事の方がよっぽど大事です。

また、生活習慣の改善は免疫を上げる事にもつながります。

ちなみに「予防」は保険が効かないって、みなさん知ってますでしょうか?
一番大事なことを国は認めていない、そういう事です。






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