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品質保証における育成環境づくりとは? 〜ゲーム業界への登竜門、アカツキCAPSチーム〜

QA業務の幅が狭い、単純作業のイメージがある、ロールモデルがいない、自分のキャリアプランが見えにくい...。製品の品質保証を担う領域に関わる方なら、一度は感じたことがあるのではないでしょうか?今回は、「顧客とプロダクトの満足度最大化」を追求するアカツキ CAPS(Customer And Product Satisfaction、読み:キャップス)チームのメンバーがアカツキの育成環境づくりについてお話します。

動作チェックにとどまらない、課題創出力・課題解決力が求められるアカツキCAPS

―現在のミッションやポジションを教えてください。
渡辺:ゲーム品質の満足度最大化の価値貢献を担うチームのリーダーとして2つの領域を担当しています。1つはQA領域でゲームの満足度を向上させていく役割、もう1つはバランスの領域で面白さを作っていく役割を担当しています。

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CAPS - PE 渡辺佑太郎

玉井:現在の業務はQAテスターとして、アカツキのゲームをテストすることで品質担保を担っています。また、デバッグチームの組織づくりや立ち上げも担当しています。大規模なチームだと40名ほど、小規模なチームでも十数名と連携しながら業務を推進しています。

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CAPSチーム所属 QAテスター 玉井 耕輔

―CAPSのメンバーで同じような領域を担当されてる方はいらっしゃいますか。

CAPS全体の体制図

渡辺:CAPSの提供価値ごとにチームを統括して推進する役割をもつバリューリーダー、ゲームごとのQAを推進するタイトルリーダーが存在します。基本的にバリューリーダーはタイトルリーダーと密接に関わっていて、CAPSチーム外であればプロジェクトリーダー(事業責任者)や、事業部のボードメンバーと関わることが多いです。

現在は、ゲーム事業における中長期的なCAPSの戦略・方針といった上流部分から、事業推進や採用・育成に至るまで幅広く担当しています。

玉井:私はタイトルリーダーという位置づけなのですが、他にも6~7人ほどいます。

―CAPSメンバーを取りまとめる立場として活躍されている玉井さんですが、アカツキに入社された2018年頃、入社前と入社後のギャップはありましたか。
玉井:
入社前のQA業務のイメージは、ゲームの動作性や画の崩れ、違和感や不自然などを検知するといった、地道に画面と向き合う印象がありました。

もちろん実際そのような仕事もあるのですが、入社してみると抱いていた印象よりも深みのある仕事でした

アカツキCAPSの品質保証は「どう動くのが正しいのか」を各メンバーが咀嚼して理解し、動作検証の結果、正しく動かなかったときに「何が原因で動かなくなるのか」を踏み込んで考える必要があり、とても頭を使います。そこが入社前のイメージとギャップに感じたことです。

ゲーム業界未経験者8割。さまざまなキャリアプランを提供できる環境づくり

―CAPSはゲーム業界未経験者も含め幅広く採用をされていると伺っていますが、その採用する過程でアカツキに対する要望や意見、よく聞かれるような質問はありますか。
渡辺:採用候補者の方も「どうやったらプランナーになれるんですか?」、「プランナーに必要な素養はどのようなものがありますか?」など、未来を見据えて自分がどう行動していくべきなのかを問いとして持っている方が多い印象です。

「QA業務が未経験の状態から採用し、プランナーやエンジニアなど、さまざまなキャリアプランを描ける」というのが私たちCAPSチームの魅力的なコンセプト
だと思っています。「ゲーム業界に入るのなら、まずはアカツキのCAPSから」という印象をゲーム業界に興味のある方に届けていきたいです。

―幅広い可能性を期待して入社された後、CAPSチームではどのように彼らのキャリアプランに向き合っているのですか。
渡辺:1on1や評価面談でかなり綿密に話します。CAPSでは本人がやりたいことをベースにプロジェクトにアサインすることを大事にしており、キャリアへの意識は強く話しているチームだと思います。ゲーム業界未経験の状態で採用することが多いからこそ、キャリアプランについて本人と密にコミュニケーションをとることを意識しています。

―CAPSが組織として大事にしているポリシーやポイントを教えてください。
渡辺:「未経験から入ってキャリアを複数描ける」というのはアカツキCAPSの重要なポイントだと考えています。

未経験メンバーの育成面では、ただ作業を教えるのではなく、まずはじめに仕事に対する意義や思い、背景を伝えることで、自分自身のキャリアを考える力を養ったり、質の高いものをつくりあげていくマインドをつくる、という特徴があります。

また、これまでの品質保証のイメージを払拭したいという想いが以前からあります。たかがQAとは言わせない、期待以上の活躍をしていこう、というのが根底としてあって、社内で品質保証を行っているからこそ、領域にこだわらずにプレイヤーに喜んでもらえるよう、一人の人間としてやれることを何でもやるというのを大事にしています。

―実際に働くなかで、メンバーの共通点はどのようなところでしょうか。
玉井:ゲームへの想いや熱量の高さですね。ただ感情的にゲームが好きというだけでなく、ゲームへの示唆を出す方もいたり、行動に移せる方が本当に多いです。

そもそも関わっているタイトルを愛している人が圧倒的に多くて、CAPSチームは熱量が高いと感じています。

高い熱量を行動に移すことでゲームの理解度も上がっていくので、面白さをひねり出すことに関わるひとつの重要な素養だと思います。

―CAPSという組織の縦ラインでの組織体系や、横ラインでの他のプロジェクトとの関わり合いを教えてください。

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渡辺:ゲームごとにプロジェクトという形式に分かれていて、それぞれのプロジェクトにメンバーがアサインされて専属的に作業にあたっています。

プロジェクト内に、新機能を開発するチーム(以下、システム検証)と、ガチャやイベント等のコンテンツを設計運営するチーム(以下、コンテンツ検証)が存在していて、それぞれのチームの中にCAPSメンバーがアサインされている構図になります。

さらに、できあがったゲームがユーザーの皆さんにとって面白いかどうかを検証するゲームバランスの役割を担うチーム(以下、バランス検証)も存在します。

―新規のタイトル開発において、CAPSはどのフェーズから関わるのでしょうか。
渡辺:
タイトルにもよりますが、α版の途中やβ版開発に入る段階から関わります。もう少し早い段階で入っていってもいいのではないかという話もでていて、上流部分の企画概要段階からプランナーやディレクターの意思とすり合わせながら、お互いのイメージを”共通認識”に変換することでより質の高いゲームを開発したいと考えています。

―プロジェクト内での関わり合いや動き方について教えてください。
玉井:
基本的には、現場を動かしていくのはプロジェクト内の品質保証セクションをリードするセクションリーダーで、各所調整を行っています。

例えばシステムの場合、次のversionに新規機能を入れようという話が立ち上がった時に、セクションリーダーがその検証のスケジュール調整をします。コンテンツ検証であればマスターデータの入稿や仕様書のFIXスケジュールをもとに、検証のスケジュール調整を行います。

セクションリーダーはタイトルの規模や仕様、複雑さに応じて必要な人数配置されていると思います。

―CAPSの皆さんの提案できる範囲など、裁量の部分についてはいかがでしょうか。
玉井:仕様書のコンセプトを見たうえで、ゲームのメイキングやエピソードを崩していないかなど確認をしていくことはあります。

内製開発であるがゆえに、第三者的なデバッグチームであれば汲み取られづらいと思われるような意見も、ちょっとした疑問に対してプランナーがひとつひとつ真剣に向き合ってくれます。

―他社の品質保証との違いや、アカツキならではだと思う点を教えてください。
玉井:
他社と比較して、職種間の領域や裁量の制限が少ないのがアカツキCAPSの特徴だと思います。第一成果として「品質保証」という点では共通していますが、加えてそもそも仕様としてどうなのかという点や体感としての面白さはどうなのか、という点をみています。

不具合を防ぐ点においても、デバッグという行為だけでなくプロジェクトの業務プロセスを改善していくことにも関わっています。

渡辺:雇用形態や職種の垣根がなく、自分の意思で色々進めていけるというのは特徴です。

他社だと稟議を通さなければいけないなど複雑な意思決定フローがありますが、QAは基本的に権限が委譲されていて、意思決定するのに余計なフローがないので動きやすいですね。

一人前になるまで伴走する入社後の育成環境

―入社後のオンボーディングの体制など育成環境について教えてください。
玉井:
第一の育成目標としては、「プロジェクトできちんと活躍できる」という部分です。
どのプロジェクトでも業務のラーニングはOJT形式で実践していて、一人の裁量でデバッグをまわしていけるようにようになるまでトレーニーをトレーナーが支えています。基本的には1,2か月ほどで一人前になるような体制となっています。

業務面以外の支援では、人事と協力してオンボーディングを進め、チームやアカツキとの文化マッチを支援しています。具体的には、入社前の段階で採用の経緯や期待値を伝え、そこで自身の活躍などをイメージしてもらっています。

入社後は、CAPSが抱えるビジョンやミッション、大切にしている価値観などを伝える時間も設けています。また、各プロジェクトごとの目標やビジョンを共有したうえで、チーム文化も理解してもらっています。

その後、入社3、4カ月後以降、人事を交えた面談など多角的な視点でのメンタル面のケアに取り組んでいます。

中長期的な育成の関わり方としては、定期的な面談などで、今後どのような価値を出していくのか期待値の話はもちろん、今後何をしたいのかをしっかりヒアリングしたうえで、挑戦機会の提案などでキャリアを支援しています。

―このような体制を確立するまでの苦労はありましたか。
渡辺:昔は「とにかくやる」みたいな文化で、採用しても育成しにくい環境でしたね(笑)。

各プロジェクトが積み上げていったノウハウをしっかり他のプロジェクトに横展開していくという地道な積み重ねで、今の体制が整ってきました。

そこからCAPSが起点となって、オンボーディングなどさまざまな取り組みが社内へ広がりました。

昔は自分がやるしかなく、やれば成長できるという環境だったんですが、今は整いすぎているので成長機会が減っている点はあると思います。ある程度独り立ちする分には困らない環境になったのですが、それ以上の負荷をかけてチャレンジをしようと思ったときにその環境があまりないのは良くも悪くも、整ってきたがゆえの課題です。

意識的に新しい領域を見つけてやっていくのも重要だと感じています。

―CAPSとして大事にしているメンバーのスタンスやポータブルスキルを教えてください。
玉井:主体性は求められます。私自身も主体性がないとこのチームで頑張れていないと思っています。

環境は整っているものの、ゲームを良くしていくためにはまだまだ課題もあります。そもそも良い状態を自分でイメージできなくても誰もその正解を教えてくれない場所ではあるので、考え、行動できる主体性は強烈に求めたい要素です。

渡辺:「課題創出力」も大事ですね。長期的にゲーム事業と共に成長していくには未来を考える必要があるので、そこで逆算して未来の課題を考えられるようになっていかなければいけないと思います。

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今回は、アカツキCAPSの体制や育成環境についてお話しました。次回は、もう一歩踏み込んだ「品質保証領域のキャリアステップ」について、今年度から新たに設置されたポジションなどのお話も交えてご紹介します。お楽しみに!



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