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歌誌『塔』2024年12月号掲載歌「二歩先の季節を運んでくれる便箋」

皆さま、こんにちは。
今日は雲ひとつない青空。何も予定のない休日が尊い。
先日読んだ横山未来子さんの歌集を思い出しました。

2014/12/10
なにもなき空ゆ欅の葉の降るをながめてゐたり雪を待つごと(横山未来子)

横山未来子著『午後の蝶:短歌日記2014』(ふらんす堂・2015年)


それでは『塔』2024年12月号の掲載歌。小林信也選です。

なめくぢの銀の道すぢたどりつつ春の終はりを感じてをりぬ
否定から入る人とは距離を置くすみれの花に水をやる朝
ゆふぐれはほのかに藤のかをりして母の言葉を思ひ出すとき
六月にひまはり届く二歩先の季節を運んでくれる便箋
夏までに離婚するから断捨離を始めたといふ人のくちびる
あたためただけのさみづを白湯とよぶけさのこころは白いキャンバス
<木蓮も沈丁花も白が好き>川本千栄さん塔のブログに

『塔』2024年12月号p169-p170

6首目、「さみづ」は「素水」の意。


今月は題詠四季もありました。題詠は「書」でした。溝川清久選です。

亡き人の歌集ばかりが並びをる水中書店に夏の来りぬ

『塔』2024年12月号p150

題詠四季は前回の「酒」に初めて投稿しましたが落選。今回の「書」が初掲載となりました。

「水中書店」は東京都武蔵野市にある古書店で「すいちゅうしょてん」と読みます。私はここで『山中智恵子全歌集』の上下巻セットを購いました。

さて、note開設以来、セルフアーカイビングに近い思想でずっと歌誌『塔』の掲載歌を記事化して参りました。来年はどうしようか(このまま続けるか否か)思案中です。

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