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【SS】誇り

サッカー部キャプテンの彼女としての意地をかけて、ひとり持久走を本気で走っていたあの子は幸せになっただろうか。


本来、1番幸せになるべき人間が不幸になる世界だ。

自分の彼氏が恥をかかないように、極寒の校庭を半袖で走り続けた彼女のような人間は、絶対に幸せになるべきだった。


3月、JK剥奪式が執り行われ、多くの女子が下品な咽び泣く中、彼女だけは毅然とした態度で前を向いていた。

僕は彼女とは一度も話したことがなかったけれど、いつも彼女を目で追っていた。

美人なのに周りに媚びたりしない。下品なまでにスカートを短くしない。友達はちゃんと選ぶ。そういう強い人だった。



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