【知らずに使うな!】新NISAの罠6つ

こんにちは。今回は2024年より開始された新制度である、新NISAを使うときの注意点について解説します。新NISAは基本的にはメリットの多い制度なので、使うことを推奨しますが、短期投資をしたり、制度の内容をよく知らないまま使ってしまうと、かえって損をすることもあるので気をつけましょう。

始めに言っておくと、これから紹介する罠を、なるべく回避する新NISA使い方は、米国全体に投資するインデックス投資信託であるS&P500を長期的に積み立てていくのがおすすめになります。

新NISAについて

まずは新NISAについておさらいしていきます。通常の口座で投資信託や株式を購入した場合、利益に対して約20%の税金がかかります。新NISA口座の場合はこの税金が全くかからなくなる、という制度です。

新NISA口座で購入できる金額には上限があり、年間で積み立て枠が120万円、投資成長枠が240万円の合計で360万円です。全体の合計で1800万円となっています。

積み立て枠というのは、月に10万円まで掛け金を設定することができ、毎月の積み立てとして行う枠であり、主にこちらを使うことになるでしょう。

積み立て枠以上に投資したい人は、投資成長枠を使います。こちらは一般の口座と同様に、240万円分までなら一括購入することもできます。積み立てではなく、まとまった資金で一度に購入したい場合はこちらを使います。

1年で360万円、全体で1800万円というのはかなり大きな数字ですので、ほとんどの人は上限まで使い切ることは無いと思います。なので、新NISAと言えば、利益に対して税金がかからなくなる制度だと考えておきましょう。

旧NISAと新NISAの違いについて

今までもNISA制度は存在していましたが、新NISAとなり、掛け金や非課税となる期間が大幅に増えたことで、より多くの人がお得に利用できる制度となりました。

ここでは、旧NISAと新NISAの違いについておさらいしていきます。

旧NISAには、つみたてNISAと一般NISAの2種類があり、どちらかを選ぶことができるという仕組みでした。

どちらのNISAも、利益に対して非課税になるという点は変わりません。変わるのは、掛け金と非課税期間の2点です。

まず、つみたてNISAは年間40万円まで利用することができ、非課税期間は20年間でした。月に約3万円を積み立てることができるので、多くの人はつみたてNISAを使って、お得に投資をしていました。

月に3万円じゃ少ないという人向けなのが、一般NISAです。こちらは年間120万円まで利用できますが、非課税期間は5年と短めです。短期間でまとまった資金を使える人向きの仕組みでした。

一方、新NISAでは、年間360万円まで利用することができ、非課税期間は無期限となっています。掛け金も期間も大幅に伸びたことによって、投資をするなら使わない手はないと言える制度になりました。

新NISAの罠1つ目: 投資枠の制限

新NISAの罠1つ目は、投資枠の制限です。年間360万円まで使えるので、ほとんどの人にとっては十分過ぎる枠だとは思いますが、まとまった資金が入ってきたりして、一気に投資したいとなった場合、上限に引っかかってしまうことがあります。

その場合は、一部の株式を一般の口座で買うか、次の年まで待つことになります。せっかくの投資機会を、上限を超えてしまったからといって、現金で保有するのはもったいないです。その時の株価状況次第ではありますが、すぐにでもまとまった資金を投資するなら、一般口座も使いましょう。急がなくてもいいと判断したら、来年のNISA枠に空きが出るまで待てばいいと思います。

上限があることに惑わされないよう、もしNISAの上限額以上の資金を投資したいと思ったときにどうすべきか、基準を決めておくといいでしょう。

新NISAの罠2つ目: 選択できる金融商品の制限

新NISAで投資できる金融商品は限られているので、投資したいと思った銘柄が対象ではない場合もあります。新NISAは基本的には全世界インデックスファンドに投資するためにあると思っていいでしょう。

株式のデイトレードには向かない仕組みになっていて、長期投資に適しています。なので、投資信託や、長期保有する予定の銘柄を購入することをおすすめします。

もし、ハイリスク・ハイリターンの銘柄に投資をして、トレードを行いたいのであれば、NISA口座ではなく、一般口座を使うことをおすすめします。

新NISAの罠3つ目: 長期的な投資が求められる

新NISAは、長期的な投資を前提として設計されています。そのため、資金を短期間で回収したい場合や、市場の変動に応じて頻繁に売買したい投資家にとっては不向きな場合があります。

長期で投資するためには、投資した資金を引き出さないと決意することが大事です。無理に多くの資金を注ぎ込まず、20年後も引き出さないであろう、余裕資金だけを使って投資をしましょう。

年収や貯金額が少ない人にとって、余裕資金は少ない金額になると思います。少ない金額で投資をしてもリターンはほんの少ししか生まれないため、わざわざ投資をするリスクを取る必要はないと感じます。その場合は、余裕資金を作るために、年収を増やすために動いたり、貯金額を増やすために家計を見直すことが先決です。

インデックス投資の平均リターンは4%ほどですが、年収を上げるためにスキルアップにお金を使えば、リターンはさらに大きくなる可能性があります。例えば、プログラミングの教材やパソコンを全部で30万円分買ったとします。1年間勉強して、転職活動をしたら、今の300万の年収が450万に上がったとします。1年のリターンは、30万円が150万円にまで増えたというわけです。これは500%のリターンであり、通常の投資では考えられないリターンです。

このように、年収が低い人ほど、自己投資をしたときのリターンは大きくなりますし、株式などの配当金から得られる絶対額は少なくなります。

例えば、3億円を投資している人が年利5%のリターンを得られるなら、絶対額は1500万円になりますが、300万円の投資をしている人は、15万円にしかなりません。同じ年利であっても、絶対額の違いがあるので、お金持ちはさらにお金持ちになる仕組みとも言えますし、お金がない人が投資をしても大したリターンは得られないのです。

新NISAの罠4つ目: 税制の変更リスク

旧NISAから新NISAに変わったことで、投資がしやすい環境ができて、私達にとっては嬉しいことですよね。ただ、仕組みが変わるということは、今後何十年の間に、また変わる可能性があるということです。

今回のように改善されれば良いのですが、逆に制限されるようになったり、税金を取られるようになってしまう可能性だってあります。これはあくまで想像の範囲でしかないのですが、新NISAによって多くの人が投資を始めるようになり、眠っていた現金が市場に出回ることになります。

その後、NISA口座からも税金を取るように仕組みを変えれば、口座から引き出さなかった資産に対しては、税金が発生するようになるのです。新NISAには、多くの人に投資をしてもらい、眠っていた現金を市場に出してほしいという狙いを感じますが、その先には、出てきた資金から税金を取ろうと考えているのかもしれません。

そこまでネガティブに考える必要は無いかもしれませんが、可能性として、頭の片隅に入れといたほうが良いでしょう。NISAのお得感が無くなる可能性がある、と思っておけば、余裕資金以外の大切なお金を投資に回すことは無くなります。もし大切なお金で損をしてしまったら、生活ができなくなってしまうからです。

将来どのような制度変更が行われるか分からないので、必ず余裕資金だけで投資をするようにしましょう。

新NISAの罠5つ目: 非課税にならないパターンがある

新NISAは、利益が非課税になる制度ですが、非課税にならないパターンが2つあります。

1つ目は、米国株式を購入した場合です。通常、米国株式を購入して利益が出ると、まず米国に対して10%の税金がかかります。その残りに対して、日本で20%の税金がかかります。

例えば、10万円の配当金が出たとすると、まず米国で1万円の税金がかかり、残りは9万円になります。そこから日本で20%の税金が取られるので、18000円引かれて、残りは7万2千円となります。およそ28%の税金が取られてしまうのです。

新NISAで非課税にしてくれるのは、日本でかかる20%のみです。なので、米国でかかる10%の税金は非課税にならず、10万円の配当金は、9万円になって、手元に振り込まれます。

それなら国内株式を買えばいいと思うかもしれませんが、株価の伸び率が、全体的に米国の方が上回るので、10%を差し引いたとしても米国株式を購入したほうが資産が増えることも考えられるのです。

通常の口座を利用していると、米国と日本で二重課税されるわけです。実は、この場合は、確定申告をすることで、米国から課税される分を非課税にできる制度があります。日本株を買ったときと同様に、20%の税金だけで済むのです。

新NISA口座利用時には、日本でかかる税金が非課税となりますから、二重課税にはなりません。なので、確定申告をしても米国分が非課税にならない点に注意が必要です。

それでは、一般口座とNISA口座で、日本株と米国株を買った場合の税率をそれぞれ比較してみましょう。

一般口座で日本株を買った場合は、税率20%です。一般口座で米国株を買った場合も、確定申告をすることで、税率20%です。一般口座を使えば、どの株を買ったとしても、一律20%になりますね。

一方、NISA口座で日本株を買った場合は非課税になり0%です。米国株を買うと、日本分の税金が非課税になるため、10%になります。

このことから、もし日本株をNISA口座の上限である1800万円以上購入する予定なら、米国株は一般口座で買い、日本株はNISA口座で買ったほうがお得になると考えられます。日本株は買わない、もしくは1800万円分も買う予定はないという人は、NISA口座で米国株を買ったほうがいいでしょう。

ただ、毎年確定申告をするのは大変という人もいるはずです。今回想定したのは、利益を現金に戻すときにかかる税金の話です。配当金を受け取ったり、株を売却して現金化するのではなく、投資信託を購入して、ずっと再投資してしまえば、現金化するのは最後に売却するときだけになります。

投資信託であれば、どちらの口座を使っても、最後に売却するときまでは非課税のまま再投資してくれるので、NISA口座で米国投資信託を買ってもいいと思います。

結局、新NISAを始めるなら、米国全体に投資するインデックス投資信託であるS&P500を長期的に積み立てていくのがおすすめ、というわけです。

新NISAの罠6つ目: 損益通算できない


株を購入すれば、必ず上がっていくというものではなく、ときには下落してしまうこともあります。新NISAの場合は、できるだけ利益を出した状態で売却するのがおすすめです。

なぜなら、損失を他の利益と相殺する、損益通算ができないからです。一般口座での損益通算の例を考えてみます。株式Aで10万円の損失が出たとします。株式Bでは、20万円の利益が出ていたとすると、全体の利益は10万円となり、かかる税金は10万円に対してのみとなります。利益が出すぎてしまったとしても、損失を引くことができるので、全体の税金を下げることができるわけです。

一方、NISA口座で、株式Aの損失が10万円出たとします。一般口座の株式Bで20万円の利益が出た場合、NISAの損益通算はできないので、利益は20万円となります。一般口座と比較すると、10万円利益が大きく、税額は2万円高くなってしまうのです。

新NISAでは、利益に対する税金がかからない一方、損失を節税に利用することができないというデメリットがあります。既に一般口座で資産運用をしていて、利益を出しているという人は注意してください。

この損益通算という仕組みは、短期トレードを行う人にとっては、とても重要な制度です。利益が出るたびに税金を支払うのに、損失が出ても何も起こらないのでは、資産は目減りしていく一方ですよね。つまり、新NISAは短期トレードを行う人には向いていない制度になっているのです。

新NISAを始めるなら、長期投資が基本です。もし短期で解約したいとなった場合でも、利益が出ている状態が望ましいです。そうなると、株価が乱高下するような株式ではなく、比較的安定して上がっていくインデックスファンドがおすすめです。

5つ目の罠でも触れたように、新NISAを始めるなら、米国全体に投資するインデックス投資信託であるS&P500を長期的に積み立てていくのがおすすめ、となります。

まとめ

今回は、新NISAに関する6つの罠を紹介しました。新NISAの仕組みについてもある程度理解していただけたかと思います。新NISAはメリットの多い制度ですから、始めるとどんな良いことがあるのかを解説している人はたくさんいます。

ただ、デメリットを知らずに始めてしまうのも危険です。6つの罠を抑えておけば、ほとんど問題ありませんし、インデックスファンドを長期投資する、という基本を抑えておけば、罠にハマってしまうこともないでしょう。

長期投資を推奨していますが、私は旧NISAをしていたときは、3回ほど引き出したことがあります。余裕資金以外の大切な資金も投資に回してしまい、現金が必要になったからです。その時は利益が出ていたので、非課税のメリットを受けることができたものの、余裕資金以外のお金を使ってしまう危険性を実感した経験でもあります。

新NISAによって、今までは月に3万円しか積み立てできなかったところ、月に10万円以上も積み立てできるようになりましたが、月に10万円の余裕資金を出せる人は多くないと思います。

無理をせず、月に3万円くらいの積み立てにしておいて、それ以外の資金は自己投資に使ったりして、もっと大きく稼ぐことに力を入れたほうがいいのかもしれません。

新NISAはいい制度ですが、使い方を間違えると、損をする可能性もありますから、まずは少額から始めてみることをおすすめします。




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