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KNTの閉店力が怖すぎる極み…🚄

「GoToキャンペーンのお蔭で旅行業界大復活!」なんてお気楽な要素は一切なく、依然として厳しいのが旅行業界の置かれている現実です。というよりコロナ禍根で儲けてるのはIT産業くらいで、それ以外はすべからく損失を出しているわけです。
すかいらーく200店舗閉店はショッキングなニュースでありましたが、それに輪をかけて真っ青にさせられるのが、近畿日本ツーリストの店舗がなんと3分の2も閉店してしまうということです。

店舗は3分の1になる傍ら、従業員は3分の1を減らす予定とのこと。
退職者は35歳以上からのみ募るのが悲しいポイントですが(35歳の価値は転職市場ではゼロであるということは言うまでもありません)、今後はネットを主力に切り替えるということになります。
とはいえ170億円の損失はそうそうにカバーできるものでもなく、恐らくこの自粛ムードな流れは2022年度いっぱいまでは続くと考えられ、外食産業と並び、旅行業界にとっても厳しい局面になるのは間違いありません。
特に旅行代理店という産業は言ってしまえば仲介業。手数料で成り立っているビジネスです。利益率は決して高くはありません。そのため、170億円の損失をカバーするのは相当長い年月が掛かるでしょう。
店舗が3分の1になって従業員の削減は3分の1で済むのかが疑問ですが、ともあれ近畿日本ツーリスト一企業だけを見ても、失業率は33%に達するということになります。

🌏ネットで果たして成功できるのか

近畿日本ツーリストは今後、ネットを主戦場に移すようですが、果たしてネット戦術は上手く行くのでしょうか。
結論から言って答えは否であると考えています。理由は簡単。楽天トラベルやYahoo!トラベルと戦えないからです。
まずネット予約の特性を考えてみましょう。
ネットで旅行予約をする人は自己解決手段を知っている人になります。高齢者よりも若者が、旅行しない人より旅慣れした人がネットを使うわけです。
ある程度旅慣れしてくれば宿⇒足の順番に確保していくことを知っているわけですが、ともあれ、予約できる宿泊施設の多さという点に関しては、近畿日本ツーリストやKNTは楽天、Yahoo!に遠く及びません。キャンセルの柔軟性についても楽天、Yahoo!には敵わないため、近畿日本ツーリストがネットで戦っていくのはかなり厳しいわけです。
もちろん新幹線も言うに及ばず。旅行代理店を通すより、みどりの窓口、えきねっと購入の方が、変更の柔軟性は利きやすい。一人暮らしなら郵送でチケットを送られるより、窓口で受け取れる方が確実性が上がるため、わざわざ近畿日本ツーリストのネットで契約はしないわけです。飛行機ならエクスペディアでも使えばほぼ一発でしょう。
ネットでは敢えて旅行代理店を使うメリットが少ないのです。

🏢店舗には店舗の良さがある

のぞみ特急券❶

拙著:おら東京さ嫌だでも触れましたが、今は極端な田舎を除き、買い物も旅行の手配も全部ネットで解決できる世の中です。事務系の仕事に至ってはハンコを押すもの以外、ほぼ全て遠隔で行うことはできるでしょう。

今やファッションに関してはゾゾタウンで何でも買えてしまうし、パソコンだってAmazonで買える時代。それでもユニクロは店舗を出しますし、ビックカメラもお店を構えているわけです。これは店舗には店舗の良さがあるからであって、これについては旅行代理店だって大きくは変わりません。
個人的には切符収集の目的で(無駄に)色んな発券場所の特急券を集めたいのが主だったりしますが、GoToキャンペーンの時などは確実にキャンペーンを受けたいからこそ、その相談も直接できるのが良いところです。これはネットではできません。電話やメールでの問い合わせはできても、対面には到底敵わないわけです。

📰行政だけが悪いのか・・・?

コロナ対応に関しては行政の不手際があったのは間違いありません。東京オリンピック開催にこだわって初動が遅れ、国の補償対応も後手後手だったことは確かです。
しかし、今も続く旅行産業や外食産業の不況は決して行政だけのせいでは無いでしょう。
何しろ自粛警察と呼ばれる面々が「自粛しろ!」の声のもとに『他粛』をやってきたのは見過ごせない事案です。帰省した女性感染者を寄ってたかって叩くなど、その他粛の光景は異様としか言いようがありません。恐らく世界を見ても「感染したことそのもの」で悪者にされる国は日本だけです。なのにサラリーマンの通勤だけは無罪放免だったということは改めて指摘しておきます。

少なくともコロナ禍においてさえ、日本の全体死亡者数は過去三年間より少ないのです。むしろ経済活動を止めることによって失業が増え、自殺が増加することの方が遥かに心配だったのですが、こうなってしまったのは間違いなく行政のせいだけではありません。自粛警察などと言う他粛集団が生活のために営業せざるを得なかった飲食店を粛清し、帰省した感染者をネット私刑するなど、目に余るものがありました。そのツケがこれです。
ある意味、日本人は自ら日本経済に対する粛清を行ってきて、それを黙認してきた延長として失業者が増えることになりました。その意味では文字通り「自粛」のセルフ粛清であったわけです。なのに満員電車での通勤を続けた会社員を咎めた者は何処にも見当たらなかったわけです。尤も自粛警察と呼ばれた人達が旅行業や外食業に就いていたかはわかりませんが。
勿論コロナの責任でマスコミを「マスゴミ」などと言って擦り付けるのは簡単です。しかし、いくら擦り付けたところで「日本人自身で他の日本人に対する粛清をやったツケは消えない」ことに変わりはありません。
改めて近畿日本ツーリストの店舗が閉店していくことを寂しく思うと共に、従業員の未来を案じるばかりであります。

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