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シャア・アズナブルにとって一番幸せなポジションは中間管理職だと思う件

ガンダムワールドにおけるミステリーの一つが、ℤガンダムと逆襲のシャアとの間でシャアが何をしていたかと言うところですが、第一次ガンダムサーガの終盤として第二次ネオ・ジオン抗争によってシャアとアムロは行方不明(恐らく死亡)となりました。

ガンダムユニコーンや閃光のハサウェイが出たことで、逆シャアが第一次ガンダムサーガの締めくくりではなくなったのですが、それにしてもシャア・アズナブルと言うのは実に面倒な男です。

ザビ家への復讐を考えていたのに、ガルマを謀殺したことで一番ショックを受けていたのはシャア自身ですし、第二次ネオ・ジオン抗争で総帥になったシャアがやりたかったことは結局、アムロとキャッキャウフフ・・・いや、私闘をすることだったのです。

逆シャアがあの展開になったのはスポンサーの意向もあるんでしょうが、結局のところシャアは敵であるアムロを好きすぎており、総帥になっても私情で動くこととなりました。

そんなシャアが一番幸せだった時期がクワトロ・バジーナ時代と言われており、実際その時期がシャアにとって最も輝けたときかと思います。
この時のシャアは中間管理職(プレーイングマネジャー)でしたが、恐らくシャア自身もプレーイングマネージャーが最適ポジションであるという自覚はあるんじゃないでしょうか。

✨黄金期だったグリプス戦役期

ℤガンダム時点でのシャアは黄金のモビルスーツに乗っていましたが、人生における黄金期もℤガンダム時代だったのではないかと思います。

シャアの搭乗機:百式

この時のシャアは尊敬できる上司(ブレックス准将)がいて、将来が楽しみな弟分(カミーユ・ビダン)がいて、理想のライバル(アムロ・レイ)がいて、モビルスーツパイロットとして前線ゲンバに出ていたので、ある意味でシャアが最も幸福だった時間かと思います。

会社で例えるなら、シャアは1つの課をマネジメントする能力は優秀です。
ちゃんと部下の面倒も見れるし、プレイヤーとしての能力は超一流です。
なのでシャアは課長~部長までの役職ならこなせます。

🌐シャアには総帥としてやりたいことが無かった…

果たしてシャアがなぜネオ・ジオン総帥になったのかと言うのは存じないのですが、逆襲のシャアを見る中で、少なくとも「総帥としてやりたいことと言うのは特に無かった」と言うことが考えられます。

例えば一年戦争を引き起こしたギレン・ザビは、作りたい社会の理想像ビジョンを持っていました。
流石はIQ240の天才頭脳、考えることはブッ飛んでいますが、優生人類生存説は彼より遥か年上のジャミトフにも影響を与えるとともに、ギレン自身も自らの考えに絶対の自信を持っています。

一方、シャアにはそれがありません。
そもそも総帥になっても何故か「大佐」のままですし、名乗りも「キャスバル・レム・ダイクン」ではなく「シャア・アズナブル」のままなのです。

アクシズ落としにしても、自ら行おうとする大罪に迷いや怯えがあり、その審判はアムロに頼ったのです。
アレな表現をすると、作中で恐らくシャアほどアムロを愛していた人物もおりません。
ℤガンダムの時と比べて逆シャアでは、シャアの精神的な退行ぶりが目立ちます。
成長(成熟)したアムロに対して、退行していくシャアという対比が逆シャアにはあります。

シャアがマザコンであることを認識させるシーン

ギレンとシャアの対比としても、ギレンは本当に地球と人類の未来のために戦争をおっぱじめたのに対し、シャアは完全に私情です。
極めつけが「アムロと対等なモビルスーツで決闘キャッキャウフフしたいから最新技術サイコフレームをアナハイムエレクトロニクスへ横流しした」というもの。

ギレンは本気で「地球のために人口削減が必要と思ったからコロニーを落とした」ことに対し、シャアは「アムロに叱ってもらうために元カノの家を地球に落とす」ことにしたのです。

結局、尊敬できる上司(ブレックス准将)が死に、可愛かった弟分(カミーユ・ビダン)が崩壊してしまった中で、シャアが縋ったのは「ライバルのアムロ」でした。

ここにギレンとシャアの大きな違いがあり、ギレンは会社で言うなら「社長しかできない人」なのに対し、シャアは「社長はできない人」です。
とは言え、現場指揮官としては優秀であることは間違いなく、悲しいことに「中間管理職がシャアの最も輝けるポジション」と言えるでしょう。

結局のところジオン・ズム・ダイクン(創業者)の倅と言う七光りがシャアに身の丈以上の期待が寄せられることになったことが、シャアにとって一番の不幸だったのかも知れませんね。


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