📖りりちゃん事件の教訓:やはり零細企業にも営業マニュアルが必要だ

他の人のｎｏｔｅで初めて存在を知った〚頂き女子〛こと〚りりちゃん〛のマニュアルですが、そのマニュアルは今や流出していたので、私もマニュアルの中身を読んでみました。

りりちゃんマニュアルの原文を読むと、その手法はまるで魔法少女まどか☆マギカに出てくるキュウべぇ（冒頭のキャラ）の発展形で、ある意味キュウべぇ的なものをベースに、より安全で、大きな成果を得られるよう詳細な手段が書かれています。

キュウべぇの営業手法というのは、まどか☆マギカが放送された当時に大分分析されていたのですが、まずは「魔法少女になって」とテストクロージングをし、断られてからが本番という「よくある営業スタイルの延長」になっています。
もとよりキュウべぇを視認できる対象者が限られていますので、視認できる人には取り合えずアタックするしかないのですが、りりちゃんマニュアルは見込み客の選定からスタートしているわけです。
尤も、作中では鹿目まどかの契約を取ることで大きな成果が出ると分かった上でキュウべぇは営業してますが・・・。

まぁ詐欺幇助のマニュアルなので、そら逮捕されて当然と思うものではありますが、それはそれとして「堅気のビジネスでも充分に応用できる」という意味で、商材としては実に優秀やったんかなと思います。

👔営業プロセスを標準化したマニュアル

りりちゃんマニュアルとは端的に言えば〚パパ活マニュアル〛です。
パパ活が売春や詐欺罪として処罰されないところに日本の仕組みの甘さがありますが、りりちゃんマニュアルによって数百万円の頂き成果を出した女子がいるというのは、如何に営業手法を標準化することが大切かという教訓を提示してくれています。

とは言え、実は品質管理的な視点を持っている人に取って「営業手法を標準化すること自体」には何の教訓もありません。
というのも品質管理検定３級の範囲でさえ、業務標準化の重要性は口酸っぱく学ばされるからです。

ところで日本人は７割以上が中小企業で働いています。
この「中小企業が多い」というところに日本人の収入が上がらない要因があるのですが、ではなぜ中小企業が中小企業から脱却できないのか。
個々に要因を見れば色々あるでしょうが、やはり「営業プロセスの仕組み化ができていない」ということが企業の成長を阻む大きな要因であると考えています。

りりちゃんマニュアルの内容は営業プロセスの見える化です。
既に成果を出した頂き女子がいるということから、営業プロセスを標準化することで「如何に一部のエースに頼らずに仕事できるか」ということを事件を通して学べるわけです。

📖進まぬ零細企業の営業プロセス標準化

さて、なぜ零細企業が零細企業のまま成長できないのか。
そこには営業プロセスが標準化できないことが大きな要因としてあることを述べました。
実際に零細企業に勤務して実感しましたが、恐ろしいほど特定のエースに成果を依存しています。

一応私も新規契約は７件取りましたが、実は０を１にするより１を１０にする方が遥かに難しかったですね・・・。
この辺は個々人の主観によって０を１にする方が難しいか１を１０にする方が難しいかは分かれるところですが、営業の難しさの１つは会う度に話題を提供する（話を振る）ことなんです。

いくら「営業は聴くことが大事」と言っても最初はこちらから「話しかけなければいけない」のでね。
反響営業の場合を除き、どうしても此方が先攻になってしまうんです。

どういう話題を振れば良いかが最期まで全くわかりませんでした。
というのも上司や会長の方針がＫＫＤ（経験・勘・度胸）でしたので、ただ実戦経験を積むしかないのです。
この実戦経験というのが非常に難点で、ただ実戦回数を重ねるだけでは当然成果なんか出せないんですね。

そこでデータが必要になるのです。
まず売れる営業マンの契約数（数値データ）はどの企業も取っているでしょう。
問題はプロセスの方で、プロセスマネジメントは言語データも用いる必要があります。
ここで役に立つのが特性要因図や連関図と言った手法なのですが、零細企業ではＱＣ７つ道具や新ＱＣ７つ道具なんて恐ろしいほど浸透してません。
そもそもプロセス標準化という考え方自体が無いので、特定のエースに依存せざるを得ず、これでは企業は成長できないんですね。

🌐結局プロセス標準化が｢成長力｣の源である

りりちゃんマニュアルには見込み客の見極め方から最適な狩場、頂きが成功した際のＬＩＮＥトークの仕方まで、こと細かく示されていました。
確かにマニュアルとしては殆ど完璧な内容で、企業の営業プロセス標準化にも応用が利く内容とも言えました。

実際に成果を出している人もいるので「りりちゃん」なる人物が堅気の世界に居たら営業マネージャーとしての素質はあったでしょう。

りりちゃんマニュアル事件はニュースだけを見ると、ただの詐欺事件の１つにしか見えないと思います。
原典に触れることで営業職に必要な原点がわかり、企業が成長するためには営業プロセス標準化が必要であるということが学べます。
（同時に自分に営業職が向かないのも学んだ）

ただ、内容が内容なので、世のオジ達は覚悟しながら読んだ方が良いかも知れません（と言っても詐欺に騙されないようにするために詐欺師の手口を学ぶという点でも有効です）