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引くに引けぬ東京五輪に思うなにがし

物事というのは突き進むより撤退する方が難しいのでありまして、登山では引き際を誤ると遭難しますし、戦では撤退時を見定めないと部隊が全滅したりします。
「ここがベストだ」
と思う頃には最適な退却時は過ぎていたりするのですが、仮にベストなタイミングというのを逃したとしても、引くべき戦は引いた方が良いのです。
それにしても東京五輪というのは招致から現在に至るまで、ずっと迷走しているのですが、まぁ最終的には開催を強行するんでしょうね。
そして開催した後、世界の人からこんな目で見られるわけです。
「こんなご時世に開催するなんてクレイジーだね」と。
今や気付けば行くも地獄、引くも地獄な東京五輪ですが、もう東京オリンピック2020というよりは「東京インパール2020」と言った方が近いんじゃないかなと思えてきました・・・。

既存の五輪施設を使うんじゃなかったの?

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東京オリンピック2020は1964年に使われた国立競技場の設備をリフォームして活かす約束だったんですよ。
それがなんで「新国立競技場(解体して建て直し)」になってるのか、よくわからないんですよね。
仮にも財務省が「国の借金が増えて大変です!」って言ってる中、なんでこんな無駄な公共事業をやったんでしょうか。ちょっと理解できないんですよね。
この新国立競技場案件、大成建設を中心とした建設業界は、2次請けくらいまでは儲かったんじゃないかなとは思ってます。ただこう、ここに予算かけるくらいなら、防衛産業に金使った方が良いんじゃないかなと思うんですけどね・・・(ちなみに防衛産業は儲からないと言うことで小松製作所は手を引いてます)どうなの?

建設中の過労で亡くなった若者

残念ながらね、建設業界は普通にブラックですよ、業界として。
みんなの前で怒鳴られるとか普通にあるし、何より怒る時の言葉選びは本当に悪いです。
佐川急便何かは暴力が日常茶飯事でしたが、建設業界は今どうなのかしら?
まぁ現場における暴力を見たことは、あの2か月間では無かったけど、ただ怒鳴り方がね、本当に良くない。普通に尊厳削られますね。
仮にもオリンピックというのは「平和の祭典」です。取り合えず表向きとしてはね。平和の祭典である以上、上っ面だけでも「みんなが笑顔になれるゴール」を目指さなくてはならないのですが、建設中に最も起きては起きない事件が起きてしまいました。
当時23歳の若者が、劣悪な環境に心身を削られ、自ら命を絶ってしまったのでした。
僕はね、ここ最近で起きてる森喜朗の失言やら佐々木宏の容姿侮辱発言などよりも、これが一番あってはならなかった事件と認識しています。
❶労働者の尊厳が守られなかった
❷それにより若い命が失われた
これは「平和の祭典を開催する」にあたり、絶対にあってはならないことです。つまり、建設中の過酷な労働で若者が自ら命を絶つ事件が起きてしまった以上、五輪の「平和の祭典」たるコンセプトは、根底から崩れているのです。

コロナで中止を決断できなかった見積もりの甘さ

本来なら若い人が命を絶ってしまう労働環境があった時点で、五輪開催国としての資格など無くなっていると考えています。
それでも世論的には2019年までは何とかなってしまったのですよね。まぁ日本の労働問題って言うのは、森美菜氏(ワタミ)高橋まつり氏(電通)で様々な条件が複合的に重なって、やっと本格的に対処が始まったようなものです。悲しいところですが、非正規雇用って長時間残業を避けるために行きついたというか、小泉純一郎時代に労働者派遣が一気に普及したのは、長時間残業したくなかった労働者側のニーズと合ってしまった面があります。
ともあれ2019年までは何とか世論を丸め込むことはでき、何事も無ければ2020年に開催していたでしょう。ただし、そこでやってきたのがコロナ禍です。
個人的には「なんでコロナだけそんな特別に恐れなアカンの?」という気分ですが、これまでのnoteで何度か触れた通り、新型コロナの撲滅など不可能です。よってコロナの感染は1年2年で終わるものではありません。
世論を作るマスコミ的にも当面は「コロナは滅ぼすべき脅威!」として報道を続けるでしょうから(これは日本に限った話ではなく)当然、鎖国は暫く続くわけです。
「オリンピック不開催になったら4兆円の損失が出るで!」
なんて言われてましたが、結局外国人客を受け入れ不可にした段階で、経済的損失なんざ開催のする・しないが大して変わらない気がします。そもそも世界的にオリンピックに思い入れのある人は多くなく、数あるお祭りの1つでしかないんですわね。
ある意味、コロナ禍が2020年で終わると日本政府も都もIOCも踏んでたんでしょうが、そうはならなかったですね。
寧ろ下手に延期した分、余計な費用が発生したかもしれません。聖火リレーだって次々とキャンセルされてるし。

LINE流出に見る電通のコンプライアンス意識のNASA

佐々木宏のLINE流出は邪推ながら、内部告発があったのははじめてでは無かった気がするんですね。
ただ内部告発ってミートホープ事件の顛末を見るに、世に公表されるまで高い壁がそびえていたりするんです。あの事件の告発者も、それはもういくつものマスコミに情報を流したと言うのを、何かの書籍で見た覚えがあるのですが、最初は相手にされなかったと。地元のマスコミはシカトを決め込んだと書かれてあったのを記憶してます。
その記憶から察するに、多分、渡辺直美氏に対する容姿侮辱発言のチャットも、内部告発されたのは今回がはじめてではない気がするんですよね。
じゃあ何故いま文春が報道したかって、多分タイミングの問題です。
森喜朗の失言からようやく再起を図るタイミング。家のリフォーム中だったわけです。それで雨漏りするから屋根を張り替えようと思っていたら、今度は隕石が降ってきたと。
思うに電通という企業自体にハラスメント体質があると考えられ、社員の満足度が低い会社なんじゃないかなって気がします。
これ即ち、ちょっとしたバランスの乱れが今回みたいな内部告発に繋がりやすい土壌があるんです。森喜朗の失言からチョット間が空いたタイミングだったので、文春的には金になりやすいタイミングだったし、告発者にとってもココが会社に一矢報いるチャンスだと言うのが分かってたと見るのは邪推でしょうね。
ただ、1つだけ明らかなのは、五輪や電通に対する風当たりも強くなるんじゃないかなということです。まぁどれだけ世間の風当たりが強くても強行開催するでしょうけれど。

開催強行の為に取られる恐れのある緊急事態宣言

「五輪のことなんて忘れてたわ」
アメリカからこんなことを言われてたわけで、まぁそれが外国から見た東京五輪なんだと思います。
それでも開催強行したいって意思だけはわかるのですが、このために五輪前に再度緊急事態宣言が出されるというシナリオは目に見えてます。
恐らくそのタイミングはゴールデンウイーク。休日における人の移動を最大限に削るために発出されるであろうことは、想像に難くありません。
「五輪開催せな4兆円損失やで!」
と言ったところで、緊急事態宣言が出されると、目先の生活(経済)に困る人が沢山出てくるんですよね。まして五輪は東京しか恩恵を受けないのに対し、緊急事態宣言は他県も影響を受けます。特に地方の観光地に与えるダメージが大きく、いっそ五輪の中止を決断した方が、余計な緊急事態宣言を出さずに経済活動出来て良いんじゃないかという感じがします。
やっぱり緊急事態宣言が解除されてから沖縄と北海道旅行の予約が増えたでしょ?
で、ゴールデンウイークになったら再び緊急事態宣言が出るとなると、また倒産が増えるんですね。
「こりゃ五輪のために経済が潰れてしまうわ」という状態で、五輪を開催しない方が中長期的に見ると、経済的にも良かったりする。
株式投資でも損切のタイミングが必要な時がありますが、東京五輪はもうダメですね、こりゃ。
株式は損切しなくても、時間が経てば価値が上がることがありますが、新国立競技場はそんなものじゃない。減価償却で価値は下がる一方ですし、聖火リレーにしたってリスケに対応できない人が出るのは当たり前なんで、そりゃキャンセルも増えますよ。
でも引き際を見定められずにここまで突き進み、しかも熱中症の多い真夏に開催するオリンピックなんて、東京インパール2020の方が適切な名称なんじゃないかな、こりゃ・・・。

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