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言葉だけ謎に踊るDX:マツコ・デラックスじゃないよ

「DXって何ですか?」
「え? デラックス」
勿論おふざけで交わされている会話ですが、ビジネスの世界で使われているDXとは紛れもなく「デジタル・トランスフォーメーション」のことです。
デジタル・トランスフォーメーションとは一言で言うなれば「電子化による変革」というところですが、実のところ「デジタル」しか見ていない組織は少なく無かったりします。
よく耳に入るDXの取り組みとやらには、主にRPAの導入とか、紙業務の電子化とか、何となくそういう「各論的な作業方法の変更」だけしか聞かないのですが、それってデジタル・トランスフォーメーションじゃなくて、ただのデジタル化なんじゃないのかって話なんですよね。
みんなデジタルは見ているんだけど、トランスフォーメーションの部分は見向きもしていなかったりします。テレワークの導入だって、導入しただけだと単なる業務のリモート化でしかなくて、核の部分であるトランスフォーメーションは置き去りになっているんですよね。

💻デジトラで大事なのは「変革」の部分よ…

デジタル・トランスフォーメーションという言葉は見ての通り、デジタルとトランスフォーメーションの2単語によって構成されています。
デジタル、これは「電子化」で解り易いと思うのですが、肝心の「トランスフォーメーション」というのは見向きもされていないのが、少なくとも私の身の回りで聞こえる惨状です。
トランスフォーメーション(変革)の部分こそ最初に見ないといけないところなのですが、なぜこうもデジタル・トランスフォーメーションと聞くと業務のデジタル化の部分ばかり取り沙汰されてしまうのか、よくわからないんですね。
「ウチはRPA導入しました!」
「紙業務を電子化しました!」
なんて全然自慢するようなことじゃないし、そもそもデジタル化なんていうのは大なり小なり、多くの組織で既にやっていることです。既に多くの組織で「デジタル化そのもの」はやっているわけですから、改めて紙でやってた業務をデジタル化したとか、手作業でやっていた作業を自動化したとか、そこ自体は大して重要ではないんですね。これはテレワークなんかも同じで、導入しただけでは実はデジタル・トランスフォーメーションでもなんでもない、ただの業務のリモート化です。
これもDXなんて叫ばれる以前から、在宅ワークの活用なんて既に言われていることでした。それが外注から単に雇用された社員に拡大されただけでしかないです。

🏢組織・社会が問題ないと思うならDXをやる必要なし

極論ですけど、自分の属する組織や社会が特段問題ないと、現状維持が最適なんだと思えるのなら、何もDXなんかやる必要はありません。
現状維持が最適なところにDXなんか持ち込んでも軋轢が生まれるだけですし、まぁ年齢層の高い人は大抵既存のやり方から変わるのは嫌いです。DXなんてやるだけ反発を喰らうだけです。小手先だけ変えても元通りに戻ります。組織そのものは何も変わっていないわけです。
最近3月Windowsアップデートを当てるとプリンターで印刷をかけた時にOSがクラッシュするなんてのがありました。
「これでカラープリンターを使う社員に罰を与えることができるw」なんて常駐先の人が大喜びする光景を見たのですが、まぁこのカラープリンターにしても、もうペーパーレスが叫ばれて10年以上は経っていても、紙出しを禁止すると反発する人間が出るんで、そんな反発に付き合うだけストレスになりますから、現状維持で良いと思うならDXなんてやろうとしない方が良いわけです。

🌐あるべき姿と今の乖離具合の認識から始まる

そうは言っても、心から「ウチは現状維持で問題ない!」と言い切れる人って、そんなに多くは無いんじゃないかなと思います。
そもそも社会構造そのものが変わっていくし、日本の抱える問題としては少子高齢化とそれに伴う社会保障の圧縮。国際的な枠組みとしてはSDGsの取り組みが求められる中で、現状維持がベストだと自信たっぷりに言いきれる人は、そう多くないんじゃないかなと思います。
ただ人間は変化が嫌いな生き物で、少なくとも日本人は保守派が大多数なわけですから、いきなり「変革しよう!」と言ってもまぁ変わりません。腰の重い人が多いから「まずはやってみよう」もなかなか通用しません。
となると、デジタル・トランスフォーメーションの出発点はRPAの導入とか脱マクロとかそういう個々のオペレーションベースではなく、もっと根本的にビジョンを見つめ直す必要があるわけです。
今は一応SDGsで17の世界的な達成目標、169の達成基準があるわけですから、これをベースに自分の組織・地域のあるべき姿を描くのも良いかもしれません。
そのあるべき姿と現在の乖離から変革すべき方向性を打ち出し、そこにデジタルをどう関わらせていくのか。つまり、まずビジョンからの変革ありきがベースであり、フォーメーションありきでデジタルがどう関わっていくのかということであります。

有料記事になりますが、私はこの記事を「政治の世界にはポリティカル・トランスフォーメーションが必要だ」と締めくくりました。
ビジョンがなく、オペレーションだけデジタル化しても、その姿形は何も変わっていないわけであります。
今のところ成功事例としては白浜町(和歌山県)があるくらいではないでしょうか。
DXの始まりは「あるべき姿の設計図」から。でないと、デジタル・トランスフォーメーションなんて言わずに「デラックス」と思っていた方が幸せなのよね、マツコ・デラックス。

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