麦芽の草子


春はいちばん。一番搾り。やうやう白くなりゆく、グラスのふちは少し明かりて、黄金に泡立ちたる冠の、豊かにはじけたる。


夏はラガー。雨季のころはさらなり。やみくもにもなほ、泡の飛沫も多く飛びがちたる。また、ただ1回2回くらいは、エビスの光に吸い寄せられるもをかし。晴れても雨でも結局暑くなくても、麦酒はをかし。


秋は香り。夕日の差して定時のいと近うなりたるに、やらずの書類もどこへやらとて、3つ4つ、2つ3つなど、飛び交う様さへあはれなり。まいて秋の夕日とクラフトビールの色味が、いと重なり見ゆるは、いとをかし。日入りはてて、風の音、サンマ、戻り鰹、新米など、はたいふべきにあらず。


冬はサッポロ。雪のあしらうクラシックはいうふべきにもあらず、黒ラベルの泡のいと白きも、また さらでもいと寒きに、室温を28度設定に急ぎなして、瓶に汗かく赤星をもてわたるも、いとつきづきし。昼になりても、缶ビールはぬるくゆるびもてゆかない。冷たきものは冷たきままに、火桶の火とと調和するほど、顔色も赤くなりがちにて、されども飲み過ぎはワロス。草。


以上。他人にもらったワンテーマ、即興で何か書く遊びでした。金曜日なので、今日のテーマは「麦酒クズ清少納言」。おつかれさまでした。



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