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生きものの名前を言えるようになりたくて、近所の沼地に通ってみたら。

 鳥も虫も好きだけど詳しくない、そんな中途半端なレベルから脱したくて、2023年初、今年は近所の沼地にできるだけ通って、季節の巡りに目を配ろうと思った。できれば月に2回。
 先日、おそらく年内最後となる沼地散策を終え、年間訪問回数を数えてみたところ17回でした。月2回は未達!それでも、ちょっとこの沼地の生き物のことは見れるようになった気がする。せっかくなので自分の備忘録がてら、スズメ、ハト、カラス以外の鳥の名前を知りたい方向けに、都市公園でよく出会える生き物[*1]たちを、写真とともにご紹介。

*1 特別なスキルを持たない人(1年前の私)でも、水辺や大き目の公園をウロウロすれば出会えるような生き物たちです。いわゆる「普通種」。珍しい生き物は紹介していません。普通種の「普通」は凡庸という意味ではなく日常、ということ。どんな生き物にも魅力はたっぷりあるのでご安心を。そしてその魅力に日常的に出会える環境を大事にしたい。


冬:1月~2月

訪問回数:1月は3回、2月は1回

麻機遊水池の冬

 啓蟄を迎えるまでの沼地は鳥の楽園。前年の11月頃から冬鳥たちが渡ってきて、この時期になると冬の水鳥たちがもっともたくさん見られるころ。数年まえからオオハクチョウが毎年訪れている。

オオハクチョウ(冬鳥)

 水辺のイツメンはサギ類。でっかくて嘴が黄色いのはダイサギ、二回り小さくて、嘴は黒だけど黄色い靴下をはいているのがコサギ。他にダイサギによく似たチュウサギもいる。私はダイサギとチュウサギを見分ける自信がまだない。

ダイサギ(留鳥)
コサギ(留鳥)
潜水からもどったところのカワウ(留鳥)。まだ瞬膜がおりていて、目が白い。
オオバン(冬鳥)。毎年とてもたくさんわたってくるけど、20年前は珍鳥だったらしい。
バン(冬鳥?)。オオバンもバンも足がとっても「恐竜」してるので注目してほしい。

 そして水辺のアイドルといえば、やっぱりカワセミ。清流の鳥のイメージが強いけれど、わりとそこらへんにいる。車がバンバン走る道路の脇の水路(駿府城のお堀)でも飛んでいるぐらい。高い声でピーッピッピと鳴きながら飛ぶので、一度覚えるとすぐに「いるな」とわかる。

カワセミ(留鳥)。まさに青い宝石。
芸術的すぎない・・?ちなみに、「静岡市の鳥」です。

 冬場は落葉しているおかげで、枝にとまった小鳥たちの観察もしやすい。

モズ(留鳥)。小さな猛禽類と呼ばれるとおり、狩りをする肉食系。
メジロ(留鳥)。全体的にシンプルで控えなのに、アイラインひとつで天才的な可愛さを発揮する。メジロにとってはしったこちゃないだろうけど、画竜点睛を感じる。
ジョウビタキのオス(冬鳥)。オレンジ色が美しくて、ほとんど毎回出会うけど、絶対に撮ってしまう。メスは落ち着いたカラーリングだけど、アイドルフェイスなので、雌雄ともに人気。
ジョウビタキのメス(冬鳥)。
カワラヒワ(留鳥?でも冬に見かける。)
ベニマシコ(漂鳥。季節に合わせて国内を移動している。静岡の平地では、冬に見かける。)
たぶんオオジュリン(冬鳥)。
ウグイス(留鳥ではあるけど、冬~春によく出会える)。
春にホーホケキョとなくあの鳥。多くの人の予想よりはるかに地味な見た目。
トビ(留鳥)。都会でみるといっても、やっぱり立派な猛禽類だ。

 2月のある晴れの凪の日、2時間ぐらい水辺周辺を歩いただけで、20種類の鳥に出会えていた。帰って写真を見返しながら驚いた。

春:3月~5月

訪問回数:3月は1回、4月は3回、5月は2回

一斉に緑になる。

 3月上旬、啓蟄けいちつの時期になると一斉に虫たちの姿を見かけるようになる。一方で、冬鳥たちは北へと帰っていく。そして4月、緑が茂り、小鳥たちの鳴き声は聞こえても姿は見えない。
 そんな季節になるので、撮影対象も昆虫が多くなります。(昆虫苦手な方は、春・夏を飛ばして、秋へ飛んでください・・)

セイヨウミツバチ
ニホンミツバチ㊧とセイヨウミツバチ㊨が並ぶ。
並ぶと、ニホンミツバチのほうが黒く、一回り小型なのがよくわかる。
ヒメアカタテハ
ルリタテハ
セグロアシナガバチ。よく見かけます。よく青虫を食べている。
ナガメ

 6月末に、昆虫のグループ写真展を開催したため、その作品を必死で撮りにかよっていました。ちょっと変わったカメラ(Foveon)縛りのグループ展だったので、出撃回数は多くても撮影枚数は極端に少ない。たぶんもっとたくさんの生き物をみかけていたのですが・・。

未熟のアジアイトトンボ♀かな・・?
※イトトンボは難しい!間違ってるかもしれません。(photo by sd Quattro)
シオカラトンボ♀(photo by sd Quattro)

 一年通してみかける、綺麗な青色のシジミチョウたち。実は何種類かいます。春先にたくさんみかけるのは、ツバメシジミ。

ツバメシジミ
しっぽがあって、裏側(地味な側)の下にオレンジ色あり
ツバメシジミの表面はこんな鮮やかな瑠璃色
(photo by sd Quattro)

 同じくシジミチョウの仲間で、オレンジ色のものもいます。

ベニシジミ
チャバネセセリ。セセリの仲間はみんな目がまん丸黒くてかわいい。
(photo by sd Quattro)

小さいけれどよくみると美しい虫たち。

ユスリカ。よく蚊柱になっていたり、頭のまわりをとびかうあれです。翅の反射、触覚のぽわっとした感じがとてもいい。(photo by sd Quattro)
ハエの仲間(翅が二枚なので)。模様がかっこいい。
(photo by sd Quattro)
シロヘリクチブトカメムシの幼虫?
南国のカメムシだったが、2000年代以降北上してきてるっぽい。温暖化だ・・。
(photo by sd Quattro)
アシナガグモ?アレチハナガサにひっついてるのをよくみかけます。(photo by sd Quattro)
夕方ににみかけたセマダラコガネ(photo by dp0 Quattro)

サギたちはいつでも出会える。

コサギは頭のぴょん毛がファニー。羽が白すぎて、かなりアンダーに撮影しないと白飛びして羽が解像しない。
アオサギ先輩。街でみかける鳥のなかでは最大クラス。今年は某映画でもメインキャラクターとして描かれて、全国のアオサギファンは狂喜しましたね!あのアオサギを見るためにももう一度映画をみたいぐらい。


夏:8月~9月

訪問回数:8月3回、9月1回

緑は濃く、生い茂る。

 6~7月は前述の「蟲展」で燃え尽きて訪問できず。あまりの暑さに外出意欲もそがれていたのですが、沼地のトンボを撮りたくて、頑張って通いました。

コフキトンボ。「へ」の字にとまってることが多い。

 暑いけど諦められなかったのは、こいつのせい。今年こそチョウトンボを撮るんだ!と強い気持ちで35℃の炎天下でも望遠レンズを担いでウロウロしたかいがありました。

チョウトンボ。ひらりひらりと飛び交います。想像よりも飛翔スピードは速い。
この色。これが見たかったので、ぶじに出会えて大満足です。

チョウトンボ飛び交う真夏の沼地の動画もぜひ。音声ONにすると、より真夏を思い出せるので、おすすめ。

 他にもトンボはたくさん。

夏空とウチワヤンマ
イトトンボの交尾
シオカラトンボ♂
シオカラトンボ♀(別名、ムギワラトンボ)
ハグロトンボ

 トンボだけでなく、蝶もたくさんみかけました。

ヒメアカタテハにもよく出会いました。
おなじ同じくオレンジでも、こちらはコムラサキ
ふわりとモンシロチョウ
夏の風物詩といえば・・アブラゼミ。
虫ばかり撮っていたら、足元にぱやぱやのセキレイの幼鳥(たぶん)が。
長いしっぽ(尾羽)がしっかりセキレイ。


 9月にはいると急にトンボの数がへり、なんとなく空気も秋の気配が漂ってました。

ヒメジャノメ
イチモンジセセリ
ダイサギ

秋:11月

訪問回数:11月に1回(10月は0回)

 イベントの前後で、10月~11月はほとんど生き物探しにいけませんでした。2か月ぶりに訪れると一気に秋になっていた驚いた。木々は紅葉し、もう昆虫よりも鳥に目がいく季節。

今年も着ました、ジョウビタキ♂オレンジのお腹がかわいいなー。
コサギ。近寄ってもあまり逃げないこでした。
コサギの飛翔姿は美しい。
カイツブリ
㊧白黒のカイツブリはハジロカイツブリ(たぶん)、㊨の茶色はカイツブリかとおもったけど、ハジロの幼鳥なのかな・・?
ヒドリガモたち
カワウの編隊飛行

冬:12月

訪問回数:12月下旬に1回

「夏」の動画で上げた、トンボがとびかっていた池の冬の姿。見通しがいい・・

 この日は強風で、小鳥たちは藪のなかからでてきません。そんななかでも、枝にしがみついて高なきするモズたちが目立ちました。

モズ
シュッ!
このモズは大きくて、あまり人を怖がらず、5mほどのところから撮らせてくれた。
オオバン
トビ


来年への抱負

 一年通して同じ沼地に通い、撮影していた鳥は31種、昆虫は41種(たぶん)でした。毎回撮影しては名前を調べて、を繰り返したことで、牛歩だけども少しづつ生き物のボキャブラリーが増えてきた気がします。とくに麻機遊水地でよくみかける鳥であれば、名前がスッとあてられる(はず)。ただし虫は・・まだまだ難しい。(あまりにも多様すぎるのです!)

 来年こそは月に2回の訪問を実現して、もっとたくさんの生き物を撮りつつ、記録写真じゃない、作品撮りもできるようになりたいな。

まだまだまだまだ修行中の身、もしも同定ミスあれば、ぜひともご指摘ください。

 生き物ログ用のX(Twitter)アカウントで、見かけた鳥や虫のこと、生き物がらみのニュースについて投稿しています。

参考

 生き物の名前を知りたい(初心者)の人におススメの図鑑や本です。

鳥を知りたいとき

 鳥の図鑑は、この一冊あれば大丈夫。


虫を知りたいとき

 生き物界隈すべての人がおそらくマストハブに上げる図鑑。それが学研の昆虫図鑑。

誕生秘話もとてもおもしろです。虫屋の方々の生態を垣間見れる。

難しいイトトンボ問題も、この本があれば一人でなんとかできそう!と勇気がでた図鑑。そしてこの図鑑のおかげで炎天下の沼地に通う気力が湧きました。

チョウの1冊目はこれ。

 個人的に一番好きな虫がハチ、とくにトックリバチがすきなので、この図鑑はとてもおすすめ。そもそも国内にハチが1400種もいるなんてしらなかった。

このハンドブック系はとてもわかりやすいので、何冊も集めてしまいます。

 昆虫写真家の尾園さんのファンなので、尾園暁さんの本が多めになっております。

  学研の昆虫図鑑さえ持っていれば、あとは好きな分類群のハンドブック片手に野外にいくと、だいたいの昆虫の名前は調べられるはず。インターネットで調べるときは、いつも昆虫エクスプローラさんから調べ始めることが多いです。

読み物としておススメ

 昆虫の美しさをこの二冊で堪能してほしい。


 そんなにチョウや虫に興味がない人にも読んでほしい。面白くて手に汗握り一気に読んでしまった。この本を読んで、生態学に進む人が増えるんじゃないだろうか。

 上記と同じく、虫に興味のない人にも、そういう人だからこそ読んでほしい。著者はたぶん、かなりの変人。表紙の人。

 鳥の本で面白くておススメの本はこちら。日本も大きな島の一つではありますが、それよりもっと小さな離島(たとえば小笠原諸島)で独自に進化した生き物たちのことを、楽しく考えることができます。挟まれるエピソードが面白過ぎて、何読んでるのか忘れそうになります。

生き物の名前をどうやって同定すればよいか、足掛かりになります。日々鍛錬。

 画家であり絵本作家の甲斐さんが見つめたアシナガバチの生態。これを読めば、ハチにいとおしさが芽生えるはず。

  虫からは少し離れますが・・里山とはなにか、どうして里山を守らなければならないのか、一気に腹落ちしまいた。著者の永幡さんの深いご知見に裏打ちされた文章が素晴らしく、繰り返し読んでしまいます。



もしよければ過去のnoteも読んでほしい・・

 近所の沼地、こと麻機遊水池については過去に何度か書いています。

 私の生き物や生態系に対するスタンスは、このときから今も変わっていません。

 今年の6月末に開催したFoveon×昆虫しばりのグループ展についてはこちら。静岡市内のギャラリーでやったのですが、とてもマニアックな空間になって楽しかった。


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