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頂き物の茶葉で淹れたお茶がめっちゃ美味しい謎が、解けた。

 お茶の消費量と生産量は年々右肩下がり。静岡の景色を代表する美しい茶畑が減っていくのは悲しいし、一消費者としてもお茶文化は守りたい。なにか微力ながらも個人でできることってないですか?と聞くと、お茶関係者は必ず「茶葉を飲んでほしい」おっしゃる。それだけ?それ以外になにかできない?と思っていたところ、同じ思いの関西人の友人と話していて気が付いた。
 お茶は、もらって・贈ってなんぼなんよ。

贈答用のお茶を久しぶりに頂いた

  仕事のお礼にお茶缶に入った茶葉をいただいた。たっぷりある。いかにも贈答用といった包装紙にくるまれた古風なデザインで、中身の説明などもとくになし。静岡にきて、そこそこ産地とか見ながらお茶を楽しんでいたのだけど、久しぶりにこういうオーソドックスなお茶も嬉しいな、とでっかい急須にガサガサと茶葉を入れて抽出した。え、美味し~~~なにこれ、なんか美味しい~。
 そういえば、私が日本茶の魅力に気づいたのも、貰ったお茶のおかげだったと思い出す。まだ東京で暮らしていたとき、友人が静岡茶を手土産に家に来て、「ティファール借りるな」といって勝手にお茶をいれてくれたのだけど、それがとっても美味しくてびっくり。当時は紅茶が好きで、リーフティの缶を集めたりして、日本茶には興味がなかったし、関西で飲んでいた日本茶で感動したことはなかった。
 友人は「うちも最近知ってんけど、お茶は60℃ぐらいのお湯で抽出しなあかんねん」と言いながら、新茶と書かれた茶袋を置いて帰った。

日本茶の現在地

静岡のお茶は「山のお茶」と呼ばれ、山間部の傾斜地で作られる割合が高い。
写真は大井川上流の抜里ぬくりの茶畑

ご存じの通り、お茶とくに茶葉の消費量は減っている。昔は飲み物として購入するものの1/4は茶葉だったのに、今や5%。日用品から嗜好品へ。

出典)令和6年3月「静岡県茶業の現状」P38
「1世帯当たりの飲料品目別支出金額」の表よりChatGPT4.o作成

 
 静岡は全国一の茶生産地なので、茶葉離れの問題は深刻だ。茶葉が日用品だった昭和40年に比べて、現在の茶農家の数は8.5%に激減し、今後も減少が予想されている(下図)。

出典)同上、P9「県別茶栽培経営体数」の表よりChatGPT4.o作成

 お茶がもうかる産業だった時代は贈答用の購入が多かった、とも聞く。けれども今は、仕事の付き合いでのお礼もお菓子のほうが主流で、お茶を贈るってあんまりない(※静岡の企業は除く)。日常的な消費も贈答など特別な目的での購入も、両方減ってるよなぁ。

お茶の真価はたっぷり茶葉にあり

海と富士の茶の間」で都内から来てくれたメンバーとお茶会

 お店やお茶農家さんでお茶をいただくと、すっごく美味しい。家で淹れたのとはやっぱり違うな、と思いながら聞くと、

  • 鉄瓶で湯沸かし

  • 専用の急須を使っている

  • どうやら水も水道水じゃなくてミネラルウォーターを使うらしい

  • (そしてなにより)たっぷりの茶葉

とな。それで実は鉄瓶も購入していたりします。一番の問題は「たっぷりの茶葉」。静岡生まれでない人間から見ると、想定の3倍ぐらい茶葉を使います。急須の底に分厚くたっぷり。

こんな贅沢に使ったことあります・・?

かつてのように、お茶を贈ろう

 昨夜、たまたま同郷出身の友人と、お茶について話す機会が。関西では静岡茶ってみないよね。こっちにきて初めて静岡茶を飲んで、日本茶の美味しさに気づいたよね。でもなかなかたっぷり茶葉を使えなくてケチっちゃうね~。
 ほぼ同時に二人で解に至ったのですが、「いただきもののお茶って、使い切らなきゃと思って遠慮なくざくざく茶葉使ってたわ!!」
 お恥ずかしいことに、自分でお茶屋さんで厳選したお茶って、思い入れも乗っかってなんだかもったいなくて、慎重に、ここぞというときだけに淹れがち。本当はお茶屋さんが口をそろえて言う通り、毎日茶葉をたっぷり使うべきって、わかっていたのに…。私と友人がとくにケチなのかもしれませんが、おそらくお茶慣れしてない人には程度差はあれ共通する心理じゃないかと思っています。

黄金の茶の間

 一消費者としてできることは少ないけれど、お茶を応援するためにできることがあるとしたら、遠慮なく使いやすいようにたっぷりの茶葉を贈ることかもしれません。できれば家に上がり込んで、たっぷり茶葉を入れて少し冷ましたたお湯で抽出「茶葉はこれぐらい。お湯は少し冷ましてね。」と伝えながら。
 日本茶の真価を味わったとき、きっと人はお茶に目覚めるはず!




 静岡のお茶、ほんとに美味しいです。ぜひ飲みに来てほしいし、茶畑の景色も楽しんでほしい。

抜里ぬくりの茶畑と大井川鐡道
牧之原にある「大地の茶の間
日本平の「全景の茶の間
藁科川中流の風景


 急須や鉄瓶、お茶にまつわる道具についても知れば知るほど面白い。こちらは静岡のまちなかで商うこと300年以上の老舗なのに、敷居の高さを感じさせず日常に寄り添う道具をいつも教えてくれる三保原屋さんのnote。


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