人生と特急

先日、久しぶりに特急に乗った。
新幹線じゃなく、「特急」

日頃、家事育児をしている者にとって
移動中や一人旅は何もしなくていいと
やっと思える至福の時間だ。

ゆったりと揺られていると
過ぎ去った人生の時間が
今もなお、すぐ横にあるように、
でも
心穏やかに眺めるように
様々な出来事を思い出していた。

ふと、ここまでの人生を
特急に乗っていたように感じた。
「飛行機」でも「新幹線」でも「在来線」
でもない。
「特急」なのだ。

「飛行機」ほど、飛ばせなかった。
「新幹線」ほど、スマートにいかなかった。
でも
「在来線」ほど、ゆったりと楽しめなかった。

「特急」
味わいながらも、
なんとなく急いでいるような。
ただまっすぐどこかへ向かうというよりも、
乗り継いで楽しむような。

私はこれからも、
特急に乗って進んでいくのだろう。

だけどもう少し、
寄り道をして
乗り継いで
揺れや真っ暗なトンネルまで
楽しむことを意識しよう。

もう少しだけ、ゆっくりと。