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新庄剛志日ハム監督2年目のホンキ

 ここ数日、日本シリーズと中日の事しか書いていなかったが、久しぶりにパ・リーグの事を。流行り言葉にもなったBIGBOSSという名前を捨て、ありのままの新庄剛志という登録名で来季指揮を執る新庄日ハム監督について書いていくこととする。

今季の低迷は球団も計算内?

 日ハムは今季、81試合もの敗戦を経験し団子状態の混戦となったパ・リーグから1つ蚊帳の外という状態であったが、これは新庄監督、日ハム球団の両者にとって想定内だったのではないか。15年もの間、ユニフォームを着ていなかったブランクを懸念する気持ちよりも、新庄監督のグラウンド内外でのショーや強烈な個性から繰り出す采配を見たいという気持ちを優先したのだから、少々の失敗はお構い無しという感じであろう。

中嶋聡オリックス監督との共通点

 新庄監督の采配は、パ・リーグ連覇を達成し今季は日本選手権奪取に成功した中嶋監督と似ていると感じる。余力を残して引退し、久しぶりにNPBの舞台へと帰ってきた新庄監督とおよそ30年間、本当に燃え尽きるまで現役生活を全うした中嶋監督では今までの経歴が対照的だが、采配で似ているなと感じる点をいくつか紹介しよう。

 まず、レギュラー選手がかなり少なく、守備位置や打線がかなり流動的であるということが最も似ている点だ。新庄監督の談話では「長いオープン戦をやった感じ」と今季を振り返っているが、その時々の相手投手との相性や球場の特性、そして第一に選手の調子を見極めて傭兵していたと感じる。SNS等でファンにとっての「理想のSHINJO」を演じており、ちゃらんぽらんに見えるが、支配下の選手を全員出すという公約を守りつつ、143試合の長丁場を達成したことに彼が「きちんとした監督」であることがわかるだろう。

 次に、いわゆる勝利の方程式を固定しない点だ。オリックスは抑えの平野佳寿は固定したものの、それまでのセットアッパー的なポジションを担う救援投手を全く固定しなかったのだ。その平野が日本シリーズで村上宗隆に大本塁打を浴びると即座に抑えをワゲスパックにスイッチし、これが功を奏し栄冠を手にしたことは言うまでもないことである。今季、新庄監督率いる日ハムの最多セーブは開幕投手を務めた新人の北山亘基が記録したたったの9つだ。その次に故障からカムバックした石川直也が6つ、期待の堀瑞輝が5つセーブを記録しているが、続く選手はいないのだ。また、プロ入り以降連続して50試合の登板を達成していた御大の宮西尚生の登板数は半減の24。今までの実績に忖度をせず、「いい選手をいい時に使った」ことが分かる数字だ。

新球場での「新庄劇場」に期待

 来季、長年使用した札幌ドームを離れ、エスコンフィールド北海道へと本拠地を移す日ハムだが、来期浮上するためには「バッテリーを含めたセンターラインのレベルアップ」をしなければならないだろう。前述の通り、状況に応じて柔軟に選手の登用をする新庄監督の良さを消してしまわないように「固定」をしてはいけないが、発展途上のチームなので個人個人のレベルアップが浮上の鍵となるはずだ。

 最下位だったチームだが、加藤貴之、上沢直之、伊藤大海の先発三本柱は優勝チームのオリックスやソフトバンクと遜色のないレベルである。打撃不振が深刻では無い限り、投手が安定している球団は強いのだ。移転後いきなりAクラス、さらに言うと優勝もあり得ると思っている。

最後に

 新庄監督の評判は「意外と」ちゃんとしているという趣旨のものが多いが、全く意外ではないのだ。2年目の本気を今から期待している。

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