【D】竜のエース候補生たちが熱い

　昨年までの中日二軍は、本拠地のナゴヤ球場は暑くても戦績は冷えきっていたのだが、今季はウエスタン・リーグで圧巻の2桁貯金を記録するなど熱い戦いが続いている。今回は、そんな若き戦士たちの中でも特に目立つ投手陣の中から3人をピックアップして紹介することとしよう。

今最も支配下に近い男・松木平優太

　投手歴たったの1年でプロ入りしたことで話題となった松木平も、はや4年目を迎えている。昨季までは広い球場の多いウ・リーグでも防御率4点台と苦しんでいたが、今季は才能が開花。堂々の投球を続けている。

　この選手はフォームがいい。横浜の東克樹を右投手にしたような、バランスよく力みのない素晴らしい投げ方だ。このフォームがあってこそ、完投能力という武器がついてきたのだろう。今オフのドラフト候補にいたら、まずドラフト1位は確実な力を持っているはずだ。今期はまず二軍のローテーションを1年間守り、来季満を持して一軍デビューというのが青写真になるのではないか。

福田幸之助と被るあの選手

　ドラフト4位に見事なまでの掘り出し物。福田という選手が素晴らしい。この間のデビュー戦は救援ながらも150キロ前後の直球を見せた。豪快な上手投げからの豪速球。ここまで胸の空くような球を投げる投手は、中日では久しぶりだろう。名電高から中日に入団し、プロ初登板で阪神打線を完封した浜田達郎という投手を思い出した。

　ただ、豪快なフォームは少し故障をしそうで心配になる。前述の浜田も、豪快なフォームと引き替えに選手生命を縮めてしまった選手の1人だ。福田も同じ道を辿らないかが心配である。だからこそ大切に育てて欲しいものである。少なくとも今季1年間は二軍で身体を作ってほしい選手だ。

野中天翔はフォーム◎

　1年目は故障で棒に振ったが、今季から二軍で投げている｢実質新人｣という感じの選手だ。入寮時はアンパンマンのぬいぐるみを故郷から持ってきた事で、中日ファンにとってのちょっとした話題となった事で覚えている方も多いだろう。ここまで防御率7点代と苦しんではいるが、それでも将来の活躍を期待できるものを持っているのだ。

　その魅力はフォームにある。力感なく、体重移動を上手く使い、肩肘に負担をかけずに球を押し出すように投げているのだ。フォームに主眼を置くと、ソフトバンクの和田毅が似たようなタイプにあたるのではないか。課題は制球力。逆球が少なくなれば、一軍でも通用する投手になるだろう。

最後に

　この3人が一軍に台頭したら、龍の未来は明るいはずだ。FAやベテランの衰えで、数年後には崩壊するという噂が立っている中日投手陣に、少しでも貢献してもらいたいものだ。