ベテラン同士の電撃トレード

 今季オフの主役となっている中日またも波乱。昨日、ゴールデングラブ賞についての投稿で書いたベテランの阿部寿樹を放出し、これまたベテランの涌井秀章を獲得したのだ。今回は、両者の思惑と「中日の涌井」に期待することを書いていく。

中日の思惑と涌井への期待

若手投手の親分的存在に

 涌井の年俸は1億を超え、中日の日本人選手の中では3番目となるが、選手としてだけではなくコーチとしての役割も考えるとこの金額は安いだろう。彼は3球団で最多勝を獲得した唯一の選手だ。それだけ長くNPBで一軍の一線級で活躍しているということは、非常に身体のマネジメント能力に長けているはずである。

 現在、中日には故障持ちだが才能豊かな右腕が多数いる。特に育成の竹内龍臣、松木平優太は涌井と同じ力感の無いフォームからキレのいい直球を投げ込むタイプなので学ぶことが多いだろう。また、今季一軍で台頭の予感を見せた髙橋宏斗も、昨季は肘の故障に泣いたので涌井から様々なことを吸収し、大投手へと成長して欲しい。

「シュート習得の大号令」、この上ないお手本

 現在、沖縄とナゴヤ球場で行われている秋季キャンプで立浪和義監督が口々にしているのが「内角をえぐるシュートを覚えよ」ということであるが、涌井は鋭く曲がる昔ながらのシュートと近年主流となっている直球と同じ速度で少し変化するいわゆるツーシーム系の球の2種類を使い分ける選手である。

 現在、シュートを猛練習している柳裕也は横浜高の後輩ということもあり、こちらもコーチングへの期待となるが培ってきた物を彼に惜しげも無くさずけて欲しい。来季で37歳となるため、一軍の戦力としての活躍を期待することは難しいが、要所要所で勝てる投手なので無理のない範囲で確実に貯金をして欲しい。その中で7、8勝出来れば御の字ではないか。

楽天の思惑

 楽天が来季33歳となる阿部を獲得した思惑は主力選手に右打者が乏しいことだろう。レギュラー陣には右打者は浅村栄斗に続く名前がおらず、正捕手には来季安田悠馬というこれまた左打者の選手が座ることが予想されているので本当に右がいない状態なのだ。こうした不安定な状態が続いたことこそがBクラス転落の要因とみている。

 石井一久監督はGM時代、左のワンポイントとして大いに活躍した高梨雄平や左キラーのウィーラーを放出したことから左右にこだわりはないと思われていたが、やはり現場に立ったことでその重要性が分かったのではないか。

最後に

 賛否両論あるトレードだが、僕はいいと思っている。ドラフトで二遊間の選手を多く指名したので、飽和状態であっただけに阿部のトレードは飼い殺しを避けるためにも必要だったということだろう。

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