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投手生命の延命治療

 先日、楽天との練習試合に登板した岡田俊哉が凄惨な怪我をしてしまった。右足が完全に折れてしまい、マウンドで蹲りながら「痛い、痛い」と泣き叫ぶ様子はまさに悲惨そのものであったが、彼の故障の大きな原因が横手投げへのフォーム改造なのではないかと言われている。今回は、そんな崖っぷちの投手が復活をめざして捨て身の覚悟で挑むフォーム改造について、僕の意見を書いていくこととしよう。

不完全燃焼の選手が行き着く死に場所

 言葉は悪いが、横手投げへの転向を表すにはこの言葉がピッタリだろう。「身体は元気だが結果が出ない」というもどかしい選手達が一縷の望みにかけて肘を下げるのだ。かつては故・野村克也監督の代名詞である「野村再生工場」の下でこの手法が多く使われ、ヤクルト時代には廣田浩章氏、野中徹博氏、そして阪神時代では「遠山葛西スペシャル」で有名となった遠山奬志氏を蘇らせた。この挑戦を「投手の使い捨てだ」と批判する人も多いが、今まで積み重ねてきたものを壊してまで成功してやるという男の挑戦を蔑ろにしてはいけないはずだ。

 今回の岡田の挑戦も故障で先行きが分からなくなってしまったものの、彼は胸を張っていいと断言出来る。血行障害に苦しみ、直球を捨て、抑えという地位を捨て先発に挑戦し、それでもダメでたどり着いたのが横手投げなのだから。

中日ファンを襲ったデジャブ

 今回の故障の瞬間を映像で見て、多くの中日ファンがデジャブを起こしてしまったことと考える。投げた瞬間に分かる故障、マウンドで蹲る投手、駆け寄っていく首脳陣…肩を壊し、失意の中亡くなった故木下雄介氏と被ってしまうのだ。

 しかしながら、岡田にはまだまだ復活する為の命がある。命があるということは「挑戦する権利」があることと同義なのだ。復帰しても故障に対する恐怖など、様々な障害があると予想するがそれでもカムバックを遂げて欲しいものだ。

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